ここには私の尊敬する先輩である中村先生の翻訳による、独語あるいは仏語で書かれた、有機的な農業に係る本を紹介致します。先生は語学の才能豊かな方で、私も大学院入試の折には、独語の特訓をしていただき無事入学できました。英語、仏語、露語が堪能で、ケニアのODAでは私の後任として、2年間行って頂きましたが、その間にアフリカの共通語であるスワヒリ語もマスターして帰られました。
「有機農業の基本技術―安全な食生活のために」はカトリーヌ ドゥ・シルギーイ著による本で、彼女は有機農業の技術を研究する農学者の一人で、フランスの「農業会議」の専属コーディネーターを勤めています。本書に先立つ1891年には「クセジュ文庫」に、ヨーロッパにおける有機農業の政治・経済的な発展に主眼をおいた「西欧諸国の有機農業」を出版しています。
大地は、祖先から受けつぃだのではなく、子供達から借りているのだ!わが国で初めて紹介される、有益で汚染のない有機農業の体系的な知識と技術を紹介しています。若干の農業知識のある広範囲な読者に向けた、優れた生産技術を取りまとめています。各国の有機農業運動の歴史と、その法制化も収録しています。いつか見たテレビの報道で、韓国でもこの本で勉強をしている若者を見かけました。
目次
第1章 生産技術(施肥、輪作ほか)
愛2章 有機農業での経済、作物の質、環境負荷についての収支
第3章 規約の制定
第4章 有機農業運動史
訳者のコメントは次のとおりです。
農業という仕事は、技術の具体的な発展によって支えられており、有機的な農業についてもまったく同じである。しかし日本ではまだこのような農業が技術として現実的に安定して行われていないのではないだろうか。それは、有機農業では国民または人類の生存は支えられないという見通しがあるためである。また、農業という営みが自然という恐ろしく複雑な系の中で行われており、有機農業の技術そのものを研究することの困難性もある。本書はこのような困難の中で行われてきた、有機農業技術体系の骨組みを紹介している。
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