東北大震災の頃、テレビコマーシャルで何度も流れていたことから、話題になった詩集がありました。
‘こだまでしょうか’という詩で、作者金子みすゞは1903年山口生まれの女性童謡詩人です。それほど知られることもなくうずもれていた詩人ですが、没後80年以上経ってもその詩はまったく新鮮さを失っていません。
物質文明に毒されていない、大正期の20歳のみすゞは、わずか5年間に500をこえる詩を創作しました。複雑な家庭環境もあり離婚を決意しますが、娘の養育権を取り上げられ抗議の自殺を遂げ、26歳の短い生涯を閉じました。
彼女の詩が世に知られるようになったのは、仲の良かった弟が、3冊の作詞ノートを保存していたことを童謡詩人の矢崎節夫が見出し、世に出るきっかけとなりました。詩人西條八十は若き童謡詩人の中の巨星と賞賛しています。
彼女の目は自然のあらゆるものを新鮮な心で見ており、世の中の常識、欺瞞を剥ぎ取り、新鮮な心の動きを歌っています。彼女の作品には、特に小さな動植物に対する深い愛情や悲しみ、そして子供の持つ独特の感性などが、みずみずしい言葉で綴られています。
そんな彼女の詩の中から、‘こだまでしょうか’と動植物のことなどを題材にした4編の詩と、比屋定篤子さんによる‘利口な櫻んぼ’の歌を紹介します。
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金子みすゞ名詩集(文庫、金子みすゞ )