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2024年6月 4日 (火)

・「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」の杜若を、上賀茂の大田神社の池で見てきました

 

菖蒲(アヤメ)、杜若(カキツバタ)と花菖蒲(ハナショウブ)、それにジャーマンアイリス、ダッ

チアイリス、キショウブなどもすべてアヤメ科アヤメ属の花で、花の咲く時期も5~6月に咲くため

何の花かは分かりにくいものです。そこで「いずれ菖蒲か杜若」は、どちらも優れていて優劣が決め

いという意味で言われるようになりました。

5月になって上賀茂神社の摂社の大田神社のカキツバタが見ごろを迎えているとの新聞報道がありま

したので、5月14日に見学に行きました。参道の脇の「大田ノ沢」では、約2000㎡の敷地にカキツ

バタ約25,000株が自生しており、「大田ノ沢のカキツバタ群落」と呼ばれています。この大田ノ沢

は平安時代からの名所で、尾形光琳の『燕子花(カキツバタ)図』のモチーフになったとの言い伝え

もあるようです。毎年5月上旬から中旬にかけての開花時に、沢一面に濃淡さまざまな紫色の花をつ

け、多くの観光客の目を楽しませてくれています。

大田ノ沢は古代には深泥池と同様に沼地であったといわれ、かつて京都盆地が湖であった頃の面影を残

すものであるとして、カキツバタ群落とともに、昭和14年(1939年)に国の天然記念物に指定され

ています。

文治6年(1190年)には、『千載和歌集』の編者で著名な藤原俊成が、紫一色に染まる様子を一途

な恋心に例えて次の歌を詠んでいます。

神山(こうやま)や 大田の沢の かきつばた ふかきたのみは 色にみゆらむ


歌の意味:神山(賀茂別雷命の降臨地)の近くにある大田神社のかきつばたに、深くお願いする色事

は、かきつばたの色のように一途で美しく可憐なのだろうか。— 藤原俊成

 

さてアヤメ類の花の種類を見分ける基準ですが後に示しますように、①生息地が畑地か水辺か、②花

と葉ではどちらが上にあるか、③ガク片由来の外花被基部にある模様・色の三点で区別できるようで

す。内側の3枚の花弁由来の内花被は花心を包むように立ち上がり、外側3枚の外花被はだらりと垂れ

下がっています。

カキツバタは、①水辺に生えており、②葉が花より上に出ており、③外花被の基部に白い目型があり

ます。③の白の目型があればカキツバタと決めて良いようです。それでは実際に大田ノ沢で見た花

で、それを確認してみましょう。

  • 1dsc_0005a

大田ノ沢のカキツバタ

ちょっと行くのが遅れて、開花盛期をやや過ぎていて、咲き終わった花がらも見られました。日差し

がきつくて、影の部分にピンと合わせていると、写真では日の当たっているところは白くなってしま

いました。手前の花を見ると、花より上に葉があるのが分かります。

また、葉の先端は下に垂れています。

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大田神社へのアクセス

御園橋を渡り上賀茂神社へのロータリーを経て神社の駐車場に車を置いて、東に500mほど歩きま

す。混雑時期でなければ、太田神社近くにもパーキングは何カ所かあり利用できるでしょう。

 

  • 1_20240604164101

アヤメ、カキツバタの仲間

上段左から、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブを、下段左からダッチアイリス、ジャーマンアイリ

ス、キショウブの写真を示しています。

 

  • 1_20240604164201

アヤメ、カキツバタの仲間の特徴

アヤメ類の特徴を一覧にまとめています。畑地に咲くのはアヤメ、ダッチアイリスとジャーマンアイ

リスです。水辺に生えるのはカキツバタで、水辺で多く見られるのはハナショブとキショウブです。

花が葉より上にあるのは、アヤメ、ジャーマンアイリス、ハナショウブで、花と葉が同じ位置にある

のはキショウブで、花が葉と同じか上にあるのはダッチアイリスです。ガク片由来の下側にある外花

被の基部に網目状があるのはアヤメか、キショウブです。外花被基部に黄色の目型があればダッチア

イリスかハナショウブ、白の目型があればカキツバタ、外花被基部に黄色模様があればジャーマン

アイリスです。ジャーマンアイリスの黄色模様の中に、更に特徴的なひげ状突起があることを先に紹

しています。

  

  • 2dsc_0012a_20240604164301

大田ノ沢のカキツバタ

先程の写真とは反対側のカキツバタです。手前の方では濃い青色の花が緑の葉の中に見え、また葉の

先端が垂れているのが分かります。

 

  • 3dsc_0011a_20240604164401

大田ノ沢のカキツバタ

写真に上の方は白く光っているため、そこはカットして花が良く見える部分だけにしてみました。花

が葉に中に隠れるように見え、葉が花より上にあるのが確認されます。また葉の多くの先端は垂れ気

味になっています。

 

  • 4dsc_0023a_20240604164401

大田ノ沢のカキツバタ

多くの花が見えますが、どの花でも垂れた外花被基部に白い目型があるのがよく見えます。

 

  • 5dsc_0009a

カキツバタ

葉の下にある花の外花被基部に細い白の目型が、やはりどの花にも見えます。

 

  • 6dsc_0007a_20240604164501

カキツバタ

中央に見えるどの花も葉より下にあり、外花被の白い目型がはっきりと見えます。

 

  • 7dsc_0022a

カキツバタ

花を少し大きく撮りました。中央の花では2枚の垂れた外花被の基部に白くて細い目型が鮮やかに見

えます。それより上にある花は、葉の下に隠れて全体がよく見えません。

 

  • 8dsc_0010aa

カキツバタ

中央にある2つの花について、手前に見える垂れた外花被の基部にある白い目型に、黄色の矢印をつ

けています。

 

  • 9dsc_0014a

カキツバタ

この花では外花被の裏側を見ていますが、やはり白い目型が見え、裏表に目型があるようです。

 

関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。

 

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