・あなたは何故あの可愛いいキンギョソウが「噛みつきドラゴン」と呼ばれるのか分かりますか?
キンギョソウはオオバコ科キンギョソウ属の宿根草で、地中海原産の花です。旧分類ではゴマノハグ
サ科でしたが、今ではオオバコ科に分類されるようになりました。開花後に大きなタネが着くため株
が弱って枯れることが多くて、一般には1年草として扱われています。先には開花後に花がらを取る
事で、その後も咲き続けることを紹介しました。主な開花期は春~初夏ですが、品種を選べば促成栽
培で真冬に花を咲かせる事もでき、暖冬では冬遅くまで咲き続ける事を紹介しています。
甘い香りと豊富な色があることで人気のあるキンギョソウですが、名前の通り花はまるで金魚が泳い
でいるような可愛い形をしています。甘い香りがするのもあり、キンギョソウはエディブルフラワー
の一つで栄養もあり、ビタミンCはレモンの2倍も含んでいます。キンギョソウには、花を食べると
若さや美しさを保つことができるという伝説があったようで、古代の伝説が栄養の面でも正しかった
ことと驚きます。
またタネからは良質の油が取れるようです。花の色は白、赤、ピンク、オレンジ、黄色と豊富です。
可愛い名前とは別に、ちょっと怖い一面もあります。それは英名がスナップドラゴン
(Snapdragon)ですが、花の形がドラゴン(dragon)が口を開けて近づいた虫に嚙みつく
(snap)ように見えることからで、「かみつき竜」という意味もあるようで、意外な一面を見せます。
もっとも咲き終わった後にできる実が怖い骸骨のように見えることを、2018年と2020年にも紹介
今回は、なぜキンギョソウがかみつきドラゴンと呼ばれるようになったのかその理由を、写真で紹介
したいと思います。
キンギョソウの白花
キンギョソウが金魚草と呼ばれるのは、金魚草の花弁が2唇弁で、上唇弁のフリルが金魚の「ひれ」
のようで可愛く、下唇弁のふっくらとした膨らみが、あの金魚の胴体を思わせるからでしょうか。
花を拡大すると一層、金魚のようなふくらとし
た胴体と、可愛い「ひれ」がリアルに感じられます。
キンギョソウの赤花
こちらは赤花で、赤花の方が白花より旺盛に咲くようです。
キンギョソウの赤花(拡大)
白花と同様に拡大すると、可愛いフリル状の上唇弁と、ふっくらと膨らんだ胴体のような下唇弁が、
まさに金魚をイメージしてきます。
キンギョソウの開花後のドクロ
この可愛いキンギョソウの花が咲き終わった後にできる実には、3つの小孔があき、まさにドクロの
顔に見えてきます。西洋では古代には、金魚草を庭に植えると魔除けになるという言い伝えがあった
ようですが、これも咲き終わった後にできた実がドクロ状になっていたのを見て、そう思ったのでし
ょう。
キンギョソウの白花
キンギョソウの花は2唇弁で、上唇弁は垂直に伸び横に2裂して、フリル状になっています。雄しべ
と雌しべを包んだ下唇弁は丸く膨らみ、その先端は上唇弁に触れるあたりで3裂して反転していま
す。反転部の真ん中には黄色の模様があることが多く、これを目印にして訪花昆虫が集まってきま
す。
口をあけたキンギョソウの白花
訪花昆虫が黄色の模様を目印に飛来して下唇弁にとまると、その重みで下唇弁が開き中の雄しべが見
えるようになります。指を離すとすぐ閉じるため、写真では昆虫の代わりに、指で下唇弁を引っ張っ
ています。
口をあけたキンギョソウの白花
この花でも同様で下唇弁に触れていると、下唇弁が開き中の雄しべが見えてきます。下唇弁の黄色の
模様は、雄しべの葯に触れると黄色くなることを補っているようです。
ドラゴン(竜)
これが西洋の人から見たドラゴン(竜)です。東洋人から想像する龍とはかなり異なります。ドラゴ
ンはウロコに覆われ、鋭い牙と爪を持ち、しばしば口や鼻から炎や毒の息を吐き、空を飛び回るよう
です。訪花昆虫が下唇弁にとまり、あいた口から中の雄しべの基部にある蜜を吸っているところを、
ドラゴンに嚙みつかれていると考え、「噛みつきドラゴン」と呼ばれたのでしょう。
キンギョソウの花弁と雄しべ
写真では左に上唇弁があり、右側の黄色の模様のある反転部で、下唇弁を切って右側に開いていま
す。
キンギョソウの花弁と雄しべ
こちらでは縦に上唇弁を開いて示し、下唇弁を切り取っています。上唇弁の基部から4本の雄しべが
伸びています。その基部で雌しべ(右側)を包んだ下唇弁と繋がっています。2穂の雄しべはやや長
く、残りの2本はやや短いようです。
キンギョソウの赤花
キンギョソウの赤花です。下唇弁の反転した中央部に黄色の模様が見えます。
口をあけたキンギョソウの赤花
下唇弁を指で引っ張っていると、下唇弁の反転部から開き、中の雄しべが見えるようになります。
キンギョソウの花弁と雄しべ
左側に上唇弁のフリル部が見え、下唇弁の反転部から下は切り取って右側に置いています。
下唇弁を切り開くと4本の雄しべが見え、その葯から出た黄色い花粉は、下唇弁の黄色の模様部にも
付着しているのが明らかです。
関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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