・段飾りにおける内裏雛、三人官女並びに左大臣・右大臣の飾り方について

弥生三月にはお雛様が飾られますので、2013年には皇室ゆかりの宝鏡寺で皇女和宮に愛された有職

雛や孝明天皇ご遺愛の御所人形を紹介しました。また、2015年には京都市内のホテルロビー数カ所

に飾られた段飾りのお雛様を紹介すると共に、「うれしいひなまつり」の歌詞のうっかりミスを紹介

しています。更に、2019年には西陣織物で栄えた豪商の集まる千両が辻で開催された第4回「千両

ガ辻での雛祭り」での、江戸期から昭和までのお雛様と、段飾り以外の親王飾りと立雛などを紹介し

ました。その後コロナ騒ぎで開催が延期されていた雛飾りが、今年は5年ぶりに第5回「千両ガ辻での

雛祭り」が開催されましたので、見学に行ってきました。今回は特に、「千両ガ辻での雛祭り」で見

た京雛の飾り方におけるお内裏様、三人官女と左大臣・右大臣の並べ方について紹介します。

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お雛様（ホテルグランビア京都）

ホテルグランビア京都で2015年二見たお雛様です。段飾りのお雛様では第1段には内裏雛、第2段に

三人官女、第3段に五人囃子、第4段には左大臣・右大臣、第5段に下働きをする仕丁（しちょう）を

飾ります。

京雛では内裏雛の男雛は向かって右に、女雛は左に並べますが、関東雛では逆になります。これは内

裏雛の男雛は本来天子であり、「天子南面す」といわれるように、天子は正式な儀式では必ず南を向

いて席につきます。更に東西南北の方角にもランク付けがあり、最高位は太陽の昇る東でした。その

ため男雛も南向きに置かれていて、右側に飾ります。同様にして左大臣は東側に、右大臣は西側の席

に着くので、向かって右に左大臣、左に右大臣を並べます。

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内裏雛と左大臣・右大臣

「千両ガ辻での雛祭り」では江戸期から昭和までのたくさんのお雛様が飾られているため、多くのお

雛様は段飾りを省略して飾られていました。この江戸期のお雛様では、男雛は右側に置かれ、左大臣

も右側に、右大臣は左側に置かれています。左大臣は年配者でありひげを生やしています。花飾りも

右近の橘は左に、左近の桜は右に置かれています。

 

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内裏雛と左大臣・右大臣

この昭和期のお雛様でも、男雛と左大臣は右側に置かれています。お内裏様の後ろになりますが、桜

は右に、橘は左に置かれています。

 

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内裏雛と左大臣・右大臣

この江戸末期のお雛様でも、男雛と左大臣は右側に置かれています。同様に桜は右側に、橘は左側に

置かれています。

 

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内裏雛と左大臣・右大臣

このお雛様は京雛と異なり、関東雛風に飾られていて、男雛は左側に、左大臣も左側に置かれていま

す。明治期になって外国の王族の並び方に倣い、向かって左に天皇陛下が立たれるように変わり、関

東雛はその影響を受けているようです。しかし桜と橘の飾り位置は、京雛と変わっていないようで

す。

 

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内裏雛、左大臣・右大臣、三人官女

このお雛様は京雛で、右に男雛と左大臣が置かれています。2段目に三人官女が飾られています。3人

官女は雌雛のおつきの女官で、皇后がまだ幼いころから身の回りのお世話をしてきた人たちで、その

うちの一人は教育も担当する既婚者という設定で座っていて、お酒を注ぐ杯を乗せる「三方さんぽ

う」を持っています。右に立つ官女はお酒を注ぐための「長柄ながえ」を持ち、左の女官はお酒を入

れておく鍋のような「提子ひさげ」を持っています。

 

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内裏雛と左大臣・右大臣、3人官女

このお雛様でも、男雛と左大臣は右側に並んでいます。三人官女の座った女官も真ん中に配置してい

ます。

 

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三人官女

このお雛様は関東雛の飾り方をしています。男雛が左に位置し、3人官女の位置は京雛と同じ配列で

す。

 

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五人囃子

この昭和期の京雛では、3段目に飾る五人囃子が内裏雛の前に飾られています。左端がリーダーで太

鼓を持ち、その次が大皮（おおかわ）、次が小鼓（こつづみ）を、4人目が笛を持ち、5人目の右端が

唄う謡（うたい）担当です。

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