・ユリの花も品種によっては花弁の数が異常に増え、超八重の品種もあります
ユリ(百合)は、ユリ目ユリ科のうち主としてユリ属(学名:Lilium)に分類される多年草です。日
本には15種があり、沖縄や九州の7種は日本の原産種です。2018年6月中旬に丹波篠山へ10万株の
ユリが咲いているユリ園にユリの花を見に行き、その事を紹介しました。 その際、花弁数が増えて八
重化する一方、雄しべの数が減少している品種があり、その事を紹介しました。詳しく見ると、6本
あるおしべの数が減少しながら、その雄しべの減少した分だけ花弁数が増加していました。
一般的に八重咲きとはABCモデルに基づき、雄しべなどの花器が変化して花弁となる現象(弁化)に
よって,八重の花になったと考えられています。ABCモデルの図は後に紹介します。この説明では、
八重咲きはC遺伝子の機能が失われたため,雄しべは 形成されず花弁になります。
その後になって時折頂いたユリの花に花弁に異常が見られるものがあったりしましたが、最近花弁が
かなり増えた超八重とでもいうべきユリの花も頂きましたので、それらを紹介します。
百合
頂いたユリとバラの花ですが、ユリの花の幾つかに花弁の異常が見られます。普通のユリでは、外花
被(ガク片)3枚、内花被(花弁)3枚で、6枚の花弁が見られます。雄しべは6本ありその先端に葯
がありますが、花を長持ちさせるため、受精しないように葯は除いています。その内側に雌しべが1
本あります。
ABCモデル
花の花器形成と遺伝子の関係を示すABCモデルです。ユリではガク片(外花被)と花弁(内花被)が
同じ形と色をしています。花弁と雄しべは同じ原基から分化してきて、外側に花弁が、内側に雄しべ
ができてきます。花弁ができるにはB遺伝子とA遺伝子が要ります。B遺伝子にC遺伝子があると雄し
べになるのですが、何らかの条件でC遺伝子が正常に働かないと、雄しべができないで花弁になって
しまいます。
百合花弁の増加
これは先に丹波篠山のユリ園で見た、花弁数の増加したユリの花です。左上では雄しべは6本減っ
て、花弁が6枚増加して12枚になっています。右上では雄しべは5本減って1本となり、花弁は5枚
増えて11枚になっています。左下では雄しべは4本減って2本となり、花弁は4枚増えて10枚になっ
ています。右下では雄しべは2本減って4本となり、花弁は2枚増えて8枚になっています。このよう
に丁度雄しべの数が減った分だけ、花弁数が増えています。
正常な百合花弁
この花では花弁数と雄しべ数に異常はなく、花弁も外側に3枚、内側に3枚あります。
百合花弁の異常
しかしこの花では、内側の花弁(内花被)の1枚から、花弁状の小組織と雄しべが引っ付いて、融着
しています。
百合花弁の異常
この花では、内側の左の花弁の端と雄しべの1本が引っ付き、融着しています。
百合
これら3本のユリは、また違った時に頂いた同じ品種のようです。
百合花弁の異常
花弁数は6枚ありますが、内側の花弁の内1枚の上の方に、小さな花弁状のものができています。
百合花弁の異常
この花では、外側の花弁は3枚は変わりはないようですが、内側の上方の花弁の1枚は正常な大きさで
すが、他の下側の2枚はかなり小さくなっています。雄しべの基部はかなり肥厚して大きくなってい
ます。
百合花弁の異常
この花では、3枚の外側の花弁はほぼ正常なように見えます。しかし、内側の花弁の1枚は減って花弁
は2枚しかなく、雄しべの基部は互いに融着して太くなっています。この品種では内側の花弁がかな
り変化していて、雄しべの形状にも変化が見られるようです。
超八重の百合
これはお花の先生から最近頂いた、ユリの花です。私がユリの品種には雄しべの数が減ってそれだけ
花弁数が増えて八重になる花があると言っていましたので、この花芯(雄しべと雌しべ)の無い超八
重の百合の花を頂いたようです。
超八重の百合(拡大)
頂いたどのユリの花も、6方向のぞれぞれに花弁が重なっていて、合計で24枚以上の花弁があるよう
です。その中心にもまだ若い花弁が折りたたまれていて、雄しべと雌しべは完全に無くなっているよ
うです。
関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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