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2024年1月18日 (木)

・あなたはシクラメンの花が反転するところを見ていますか

 

シクラメンはサクラソウ科シクラメン属の多年草で、塊茎を作ります。原産地は地中海沿岸で、トル

コからイスラエルにかけて原生種が自生しています。地中海沿岸では日本とは異なり、夏ではなくて

冬に雨が降ります。ところがシクラメンの花は冬に咲くため、上に向かって花が咲いていると雨がか

かり、雨に弱い花粉は濡れてしまい受精できません。そのためシクラメンの花は下向きに咲き、花弁

だけが反転して上に向き、上から見ても横から見ても咲いているように見えます。原種のシクラメン

の花はとても小さいミニで、花茎は塊茎の上からくるくるまいていたようです。そうして花の中の花

粉が雨に当たらないよう保護していまして、今のような咲き方に変わってきたようです。チューリッ

プなども上向きに咲いていますが、雨の日には花弁は閉じるようです。

しかし、シクラメンの花を見ているとたくさんの花が咲いていても、どの花も下向きに咲き花弁は反

転して上を向いて咲いています。花弁が下を向いた花や、花弁が横に開いた花を見ることは殆どあり

ません。それが不思議で、シクラメンの花は誰も見ていない夜中にコソッと速く、花弁が開き上に反

転するのだろうかと思ったりしました。ある時シクラメンの花を見ていると、つぼみが膨らんでいる

のがたまたま見えました。そこでこのつぼみを見ていると花弁が開いてくる過程が見えるかと思い、

慌ててカメラを取りに行き、写真記録を取る事にしました。

先には、しぼんだり咲き終わって落花した花は、早めにその花がらを取る方が長く咲くことを紹介

ました。今回は、つぼみが開き花弁が開きながら反転する様子を、観察した結果を紹介します。

 

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シクラメンの開花

これは前回にもお見せしたシクラメンの花の開花の様子です。花は下を向いたままで花弁が膨らみ、

全に開いた後花弁は反転して上を向き、かたく締まって上に伸びています。

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地中海と日本の気候

先に書きましたように、地中海(ナポリ)と日本(東京)では気候のパターンが違います。気温の変

化は似たようなものです。しかし雨の降り方は違っていて、日本では6月~10月にかけて雨がよく降

ります。一方地中海では10月~4月にかけて雨がよく降っています。そこで冬に咲くシクラメンにと

って、雄しべに雨にがかからないように下向きに咲くように、変化してきたものと思われます。

 

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シクラメンの草姿(園芸植物大事典2,小学館)

シクラメンの塊茎の上の中心部から葉と花芽が伸びています。そこで水やりをするときに塊茎の上に

水がたまると、花芽が腐ってしまいますので底面吸水するのが安全です。

タネが取れるように下向きに咲き花弁が反転していますが、シクラメンはタネでふやす種類ではあり

ません。塊茎が大きくなって、たくさんの花をつけるようになります。他の球根植物のスイセンやチ

ューリップ、ユリなどは咲き終わった後にできる分球で増えます。しかし、シクラメンは分球するこ

とは無いので、タネでふやす必要があるのです。

 

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シクラメンの花(園芸植物大事典2,小学館)

花は下向きに咲きますが、5枚ある花弁(花冠裂片)は雄しべと雌しべを包むように丸くなったあ

と、180℃反転して上向きに伸びていきます。花の中心には雌しべを5本の雄しべが取り囲んでい

て、雌しべの基部の子房は受精後にタネをつけます。子房が膨らんだ実の中に、褐色のタネができま

す。タネから育てると、発芽後3週間~半年くらいで開花します。

歌手の小椋佳は「シクラメのかほり」という曲を作っていますが、今のシクラメンには香りはありま

せん。

原種シクラメンには香りはあるのですが、花が大きくて綺麗なものを選んで改良してきた過程で、香

りは殆どなくなりました。最近では小椋佳の歌のせいで、香りのあるシクラメンを求める人が増え、

香りのある芳香シクラメン品種が育成されています。原種シクラメンのタネも売っていますので、自

分で育てることもできます。タネを育てることはわりと簡単です.

 

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シクラメンの花弁の反転(写真)

2024年1月12日晴れで気温は22℃くらいでした。10時30分頃シクラメンのつぼみがねじれて少し

大きくなっていました。これは花弁が伸びてくるのかと、カメラを取ってきて観察することにしまし

た。

10時30分 ①これより前からつぼみのねじれが緩んできていました。

11時26分 ②閉じていたつぼみが膨らんできました。

12時12分 ③花弁の先が開いてきました。

12時13分 ④5枚とも花弁が開いてきました。 ⑤間もなく花弁がほぼ水平に開いてきました。

12時16分 ⑥花弁が水平に開きました。

12時20分 ⑦花弁の先端が反転を始めました。

13時    ⑧花弁の基部辺りも反転してきました。

15時06分  ⑨花弁の基部は180℃反転してきました。花弁先端部はこの後かたく締まってきます。

 

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シクラメンの花弁の反転(表)

花弁が反転する様子を、時間を追って整理してみました。

①~②のつぼが膨らみかけるのに、56分以上かかっています。②~③の膨らみかけたつぼみが、開き

始めるのにも46分かかっています。

しかしそれからの花弁の動きは速く、③~④と⑤には1分、⑤~⑥には3分で、合計で4分後には花弁

は水平に開き、8分後には⑦に達して花弁は反転を始めています。このように8分間という短時間に花

弁の反転が終わっていますので、反転する前の花弁の動きを目にする事は殆ど無いのだと思われまし

た。

⑦~⑧へと花弁の反転が進むには40分かかり、更に⑨の花弁がかなりきつく反転するのには、2時間

6分もかかっています。

しかし私の原稿を校正してくれている家人は、1回の観察では不十分で他の花の例も見ないといけな

いのではと、厳しくコメントしています。まったくそうですが、この1回の観察だけで、10時半から

15時6分までかかっていますので、他の例を観察する余力はありませんので、参考例にして下さい。

 

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シクラメンの花がら

これは咲き終わって花弁が落ち、子房が膨らんで実ができかけています。子房から雌しべの柱頭が、

まだ突き出ています。

 

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花の正面

落花した花弁全体(花冠)を、正面から見ています。

 

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花の正面(拡大)

花弁基部に5本の雄しべが見えます。花弁の基部は丸く膨らみ(赤い部分)、180℃反転している様

子が認められます。

 

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花の裏面

落花した花弁全体(花冠)を、裏面から見ています。

 

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花の裏面(拡大)

花弁は折れ曲がって邪魔ですので、見やすくするために基部以外を切り離しています。花弁の基部の

赤色部の下側は透明で球状に丸くなり、その先で花弁が180℃反転しています。雄しべがこちら側に

も残って見えています。

 

 関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。

 

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