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2023年12月20日 (水)

・新しい野菜の登場(1)赤チコリの仲間でバラの花のようなカステルフランコ

 

先に京都園芸倶楽部の創立百周年のプレ講演につき、「栽培技術の革新」を紹介しました。講演では

その折に「新野菜の登場」としてイタリア野菜10種類(バジル、カステルフランコ、タルティーボ、

イタリアンパセリ、ズッキーニ、コーンサラダ、スイスチャード、フローレンスフェンネル、エンダ

イブ、ロケットと映え野菜10種類(チコリ、トレビス、テーブルビーツ、メキャベツ、グリーンカ

リフラワー、紫カリフラワー、コウサイタイ、ナスタチウム、ボリジ、青パパイア)を紹介しまし

た。

イタリア野菜と言ってもイタリア原産という意味ではなく、イタリアで広く利用されていて、日本で

はまだなじみが少ないかもっと利用されてほしいと言った野菜を含んでいます。また映え野菜として

は料理を用意する際に見栄えを良くして、食欲を掻き立てるにはどういった野菜の組み合わせが良い

か、といった点に焦点を合わせています。野菜と書きながら、エディブルフラワーと未熟果物の利用

も含んでいます。

今回はその中から、まだ利用は殆どありませんが、バラの花のように豪華な野菜のカステルフランコ

もあることを紹介します。

 

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〇赤チコリ

赤チコリ(別名レッドレタス)のイタリア名はラディッキオ・ロッソで、キク科キクニガナ属のヨー

ロッパ原産の野菜です。キクニガナ属の野菜にはエンダイブ、チコリ、トレビスなどがありますが、

カステルフランコの名前はまだ園芸学用語集・作物名編に記載はありません。外葉は開いていますが、

内側の葉は結球している半結球野菜です。

栄養成分はミネラル(特にカリウム)とビタミンA、葉酸とビタミンCを含んでおり、赤色のアントシ

アニンは眼精疲労の回復や抗酸化作用があります。サラダや料理の付け合わせにしたり、前菜などに

利用され、豪華さを添えます。心地よい苦みとほのかな甘みがあります。生食できますが、加熱する

ことで甘みが一層増します。

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バラの花のようなカステルフランコ

外葉ほど展開し、内部の葉は結球していています。葉には赤紫色の斑点模様があり、栽培中に葉を結

束することにより軟白すれば、葉緑素が抜けて赤味が増してきます。食べるのがもったいないくら

い、バラの花のような豪華な野菜です。

 

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カステルフランコの栽培

葉数が増してくれば、外側から葉を結束して軟白します。そうすれば葉緑素が抜けて赤の斑点が鮮や

かになってきます。赤の斑点の出方の違う品種により、多様な彩のカステルフランコが出来上がりま

す。

 

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カステルフランコの栽培時期と赤チコリの仲間

カステルフランコは1,2年空けて栽培します。タネまきは6月下旬~9月上旬で、中央の葉が立ち上が

ってきた2か月後から緩く結束して軟白します。20~30日くらい軟白すれば収穫できます。赤チコ

リの仲間には、カステルフランコ以外に丸型のトレビス、縦長のプレコーチェ(早生)とタルティー

ボ(晩生)などがあります。

 

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チコリ

チコリは英語読みから来た和名で知られていますが、アンディーブ(フィランス名)で呼ばれること

もあります。チコリは軟白されてパリッとした食感があり、ほのかな甘みとほろ苦さがあります。西

洋料理では定番の食材で、近年のグルメ志向で家庭でも利用が増えてきそうです。低温には耐性があ

るので7~8月にタネをまき、秋に生育させて11月頃に根株を堀上、暗所で育てる約1か月の軟白処

理で苦みを減らし、12月下旬から収穫できます。

 

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チコリの特性

ある程度生長した根株を利上げ、写真のようにコンテナに植えこみ、軟白処理をします。ミネラル

(特にカリウム)やビタミンA、ビタミンCを含んでいます。チコリの軟白した葉には、レタスには

ないパリッとした食感と、ほのかな甘みとほろ苦さがあります。サラダに使えば一層いろどりが良く

なります。ブルーの花はエディブルフラワーとしても用いられます。

 

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トレビス

トレビスの英名はレッドレタス、イタリア名はラディッキオ・ロッソです。赤キャベツに似ています

が、赤キャベツは葉も軸も赤いのですが、トレビスの葉は赤色ですが、軸は白色です。最近ではサラ

ダ需要などで赤い色の野菜が求められており、トレビスなどの赤チコリはその点で高級感もあり、消

費拡大が期待されます。チコリには苦みがあり軟白して利用されます。しかし赤チコリには苦みは少

なく、多くの種類で軟白する必要なく利用できます。

 

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トレビスの特性

丸型のトレビス以外に、縦長のプレコーチェ、タルティーボなどもあります。ミネラル(特にカリウ

ム)、ビタミンA、葉酸、ビタミンCを含みます。また赤色色素のアントシアニンを含み、眼精疲労

回復や抗酸化作用が期待されます。

 

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トレビスの栽培

冷涼な気候を好むため、一般には夏に直まきまきをして11~12月に収穫します。連作を避け、1~2

年空けて栽培します。高冷地では春まきして初夏に収穫できますが、夏まきの方が生育、収量共に安

定します。外葉をはがすと、色鮮やかな結球が出てきます。

 なお、カステルフランコ、チコリ、トレビスなどの詳しい説明は、私の著書の「初めてのイタリア野菜-60

種の育て方と食べ方」.2015.藤目幸擴.農文協 をご覧ください。

 

関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。

 

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