・あなたはバジルを長く収穫できるように葉を摘んでいますか
バジルはシソ科の1年草で、熱帯アジア・アフリカ・太平洋諸島などに広く分布します。別
名にはバジル、バジリコ(イタリア名)、メボウキなどがあります。中世以来ヨーロッパで
は普通に用いられてきたハーブで、現在ではトマト料理によく用いられ、チョウジのような
芳香が尊重されます。我が家では毎年バジルを栽培していて、2012年に「これからますま
す需要の伸びるスイートバジルの栽培と利用」を、2017年に「秋に室内に移動したバジル
は元気に生長し、今も良い香りがして花盛りです」を紹介しています。
日本には江戸時代に中国から薬草として導入され、種子を水につけると吸水してできるゼリ
ー状の膜を、洗眼に利用したことからメボウキと呼ばれました。
葉縁には細かい切れ込みがあり、強い芳香があり、花穂の出る時期にもっとも香は強くなり
ます。花は小さくて白色あるいは淡桃色で、シソ科特有の唇形花が茎頂に総状に着きます。
芳香の精油主成分は、メチルチャビコールとリナロールです。精油以外にミネラルやタミン
を豊富に含み、葉の新鮮重100g当たりカリウムを420mg、カルシウムを240mg、β―
カロテンを6300μg、ビタミンCを16mg含んでいます(七訂日本食品標準成分表)。
我が家では毎年ベランダにプランターを置き、春に2,3株植えれば秋に寒くなるまで、い
つもパスタやサラダなどに適宜摘んで利用しています。花が着くと葉の生育が悪くなるの
で、早めに摘み取り天ぷらなどにしています。
バジルの利用
上段左は生育を開始したバジルで、右は花をつけたバジルです。
下段左は収穫をしているバジルで、右はバジルの収穫方法を示しています。
生育を開始したバジル
バジルのタネは20℃前後で発芽し、生育には20~28℃くらいの暖かく日当たりの良い環境を好みます。
葉を左右に2枚ずつ、交互につけてきます。
吸水したバジル種子
バジルのタネをウレタンの種子ベッドの切れ込みに入れ、吸水させるとこのように膨らんで
きます。タネはグルコマンナンを多く含んでいて、水分を含むと乾燥状態の約30倍にも膨張
してゼリー状の物質で覆われます。この膨らんだゼリー状の物質により、目の汚れを取り去
る目薬とされ、メボウキ(目箒)の名前が付きました。
栽培中のバジル1
今年は夜もかなり暑くて株の生育も弱りましたが、それでも何とかよく育ち、収穫もたくん
できました。夏ごろに花が着いてきましたので、早めに花を取る切り戻しをして、生育が旺
盛になってきました。
栽培中のバジル2
この株も花が着きましたので、切り戻しをして、生育が再開しています。毎週のように家人
が葉をつんできて、パスタやピザ、パンやスープに利用しています。
バジルの収穫
葉数が増えて来てから、先端の葉を収穫します。図のように下に葉を4枚残して、赤線部で
収穫します。するとその下の2枚の葉の横から、右の図のように側枝が2本伸びてきます。
この側枝が6枚以上葉をつけてから、また葉を4枚残して赤線部で収穫します。しばらくす
ると、同様にして、今度は側枝が合計で4本伸びてきます。これを繰り返せば、側枝の数が
増えてきます。あまり側枝が増えて込み合ってくると生育が悪くなりますので、適当に側枝
を間引きます。側枝が増えると追肥も必要になり、化成肥料を少量施肥するか、希釈した液
肥をスプレーしてやりましょう。
花をつけたバジル
花が開花してくると、香りが一層強くなります。しかし花が種子を着けるのに養分が取ら
れ、葉の生育が悪くなりますので切り戻しをします。すると養分が葉に回るようになり、
また旺盛に葉が生長してきます。
バジルの花穂
花を摘むのが遅れて、このように花穂が伸びても大丈夫です。花穂の基部で摘心してやれ
ば、葉の生育は再開します。切り取った長い花穂は穂ジソのように、天ぷらにして頂きまし
ょう。
バジルの花穂と葉の天ぷら
長く伸びた花穂と若い葉を、てんぷらにしています。
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