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2023年5月 8日 (月)

・4月末の千本ゑんま堂では八重銘桜の普賢象桜が満開に咲き、ツバキのように花ごと落花していました

 

八重桜は特定の品種を言うのではなく、八重咲きに咲くサクラを総称して言います。一般的な桜では花弁は

5枚で、この咲き方を一重咲と呼ぶのに対して、6枚以上の花弁になるものを八重咲と区分しています。更

に5枚と6枚の花弁が混じる咲き方を一重・八重咲、花弁が20枚~70枚の咲き方を八重咲、100枚以上の咲

き方を菊咲と細分しています。菊咲については、先に平野神社の突羽根櫻を紹介しています。

八重桜は私の好きな桜で、よく見に行くサクラに千本釈迦堂の普賢象桜があり、先に紹介しました。そこ

にも書きましたように、普賢象桜の大元は千本ゑんま堂にあり、今回は千本ゑんま堂の普賢象桜について

介します。

千本ゑんま堂は名前の通り、この世とあの世の間におられる閻魔法王をご本尊としている珍しい寺です。

本殿と本殿の手前左側には見る者を圧倒するような大きな閻魔像が鎮座していて、裁きの間が再現されて

います。

普賢象桜は里桜群の1品種で、花は八重で大輪になる晩生品種で4月中下旬に花は最盛期を迎えます。開

初めは薄紅色をしていますが、その後徐々に白くなっていきます。普賢象桜と呼ばれるのは、花の中央

から2本の雌しべが細い葉のように葉化して突き出ているためです。この雌しべが普賢象菩薩の乗る普賢象

の牙(きば)のように見えるため、普賢象桜と呼ばれています。普賢象桜のもう一つの特徴は、花弁がひ

らひら個別に落ちるのではなく、花全体がツバキのようにポトリと落ちます。ツバキはサクラと異なりこ

の普賢象桜のように花ごと落花するのが普通ですが、先に紹介しました地蔵寺の散り椿のように、サクラ

と同様に花弁がひらひら落ちる種類もあります。

船岡山のふもとに古くから咲いていた桜が普賢象桜で、室町時代には既にこの桜が銘桜として知られてい

ました。

 

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普賢象桜

左側には満開の普賢象桜、右側上には花ごと落花した様子と、右側下には雌しべが葉化して、象の牙の

に曲がっていることを示しています。

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普賢象桜

遅咲きの桜で4月中頃、満開の普賢象桜の開花の様子です。開花初めは薄紅色をしており、その後徐々に

くなっていきます。

 

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普賢象桜のチラシ

千本ゑんま堂境内に貼ってあった、「普賢象桜の夕べ」のチラシです。後小松天皇が千本ゑんま堂の普賢

桜に感心されたことや、この枝が足利義満に献上されたことが記録に残っています。室町時代頃この辺

りに無数に桜が咲いていたことから、千本通の地名の由来になったと記されています。

 

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千本通界隈マップ

千本通りは京都以外の人にはなじみがない通りですが、北側に船岡山があり京都が都になって50年ほど経

った頃、このあたりは平安京3大墓地の一つで蓮台野と呼ばれ風葬の地でした。その関係でこの辺りには上

品蓮台寺、千本釈迦堂、千本閻魔堂や石像寺など幾つかの寺があり、少し離れた南側には京都の人が良く

買い物に行く昔ながら市場があり、更に今出川通くらいまでくると、古くらからの老舗があちこちに店を

開いています。後になって知りましたが、この千本通りはかっての朱雀大路であったようで、それでお寺

や古い老舗があることが納得されました。

 

 

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閻魔法王

ゑんま様と聞くと「地獄の王」で「嘘をつけば舌を抜かれる」と思っている人も多いですが、実のところ

はそうではないのです。この世とあの世の間、地獄と極楽の間にいる裁判官で、人間界を見守ってくれて

いるのだそうです。ゑんま像の怖い表情は、地獄の恐ろしさを諭(さと)すためであり、また地獄の苦し

みを自らも感じている表情ともいわれています。

 

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可愛い石像

本殿前には可愛い石像が置かれていました。怖いゑんま大王を見る前には、この可愛い像を見るとちょっ

と心も和みます。

 

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普賢象桜

満開の普賢象桜の開花の様子です。開花初めは薄紅色をしており、その後徐々に白くなってきます。ここ

の花では奥の花弁がやや白っぽく見えます。

 

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落花した普賢象桜の花

これは赤い花が咲いているのではなく、普賢象桜の株元にはこのように、花弁が一枚ごとにひらひら落ち

るのでなく、花がごとポロっとこのように落花するのがこの桜の特徴です。

 

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普賢象桜

花弁数が多い八重の花であり、小花柄が長いためこのようにすべの花が下向きに咲いています。また晩生

の花であり、満開時にはこのように、葉も多く見られのもその特徴の一つです。

 

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普賢象桜

花が満開するにつれピンク色から白色に変わってきますが、最初から花弁の内側が白く外側がピンク色を

しているため、全体として淡いピンク色に見えます。開花と共に赤紫がかった茶色の若葉が展開し、やが

て緑色になってきます。

 

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普賢象桜

柔らかい八重の花が満開してくると、数個の花が群がって塊になって咲いてきます。

 

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普賢象桜

ここにはかなりの花が集まって、ひと固まり状に柔らかいかなりの数の花弁が重なって咲いてきています。

まるで豪華なブーケのように見えます。

 

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普賢象桜

花の中央部を下から見ると、矢印で示しましたように雌しべが緑色で細長い葉化して突き出て、やや湾曲

しているのが見られます。この変形した雌しべが、普賢象菩薩の乗る普賢象の牙(きば)のように見える

ため、この品種が普賢象桜と呼ばれています。

 

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普賢象桜

一つの花を大きく撮り、雌しべが先祖返りして細長い葉状に変化し、突き出てやや湾曲しています。この

花では更に、中央部に雌しべ状の器官も見られているようです。

 

関連の記事が 京の街角 にもありますので、ご覧ください。

 

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