・今年の晩秋は暖かくて雨も少なかったためか、12月中旬でも大徳寺塔頭での紅葉は素敵でした
温帯地域に生えている落葉樹では、秋には紅葉が見られます。海外でも何度か紅葉を見ましたが、日本ほ
ど色鮮やかな紅葉はお目にかかった事はありません。ヨーロッパなどでの秋の紅葉を思い出してみると、紅
葉ではなく黄葉が殆どなのです。一方日本では黄葉から紅葉へと進み、段々と紅葉の割合が増してきてい
るようです。
日本では紅葉の彩も豊富で、真紅から赤、橙、黄色と彩の変化にも微妙な差が見られます。これは日本の
地形が複雑で、落葉広葉樹の生息地に高低差も乾燥・湿潤の差もあり、広葉樹の種類も豊富なためだろう
と思われます。ヨーロッパの秋・冬の気候は日本と比べるとかなり寒く、寒さに弱い落葉広葉樹はあまり育
たなかったものと思われます。東アジアの中でも日本は黒潮の暖流に囲まれているため、東アジアの他の
国と異なり、常に緑の植物が育つ恵まれた環境にあります。
落葉広葉樹は元々、寒さに弱い種類の木で、そのため氷河期には北米とヨーロッパではほぼ死滅してしま
いました。日本に生えている落葉広葉樹の種類は世界でも最も多く、その種類は欧米のほぼ倍以上あるよ
うで、私たちは世界でもまれな鮮やかな紅葉・黄葉を鑑賞できているのです。
今年は比較的に昼間が暖かくて昼夜の温度差が大きく、また雨も少なく空気が乾燥していたためか、例年
に無く紅葉が色鮮やかでした。先に、12月初めの京都府立植物園での紅葉を紹介しました。今回は12月中
旬の大徳寺の塔頭で見た、見事な紅葉を紹介します。
先に紹介しましたように、落葉樹では気温の低下に伴い光合成の効率が低下してくるため、葉に含まれる
クロロフィルや黄色色素のカロテノイドを分解しながら、少しでもその養分を幹に回収しようとしていま
す。同時に赤色色素のアントシアニンが作られて紅葉しながらクロロフィルの回収を助け、やがて養分の回
収が終わると落葉していき、冬の寒さに備えていきます。
大徳寺紅葉
大徳寺塔頭の大慈院、正受院、龍光院などで見た、見事な紅葉です。
大慈院1
精進料理の鉄鉢・泉仙もある大慈院の見事な紅葉です。塀越しに見た紅葉ですが、どちらかというとくすん
だ渋い赤色をしています。
大慈院2
更に道を進んで、泉仙近くに来た時に見た紅葉です。幹の茶色あるいは苔の緑と対照的な、鮮やかな赤色
の紅葉です。
大慈院3
反対側にあった木の紅葉です。こちらも見事な紅葉ですが、やや黄味がかった赤色で、幹の茶色、苔の緑
を背景に美しく見えます。
大慈院4
こちらの紅葉も前の木と同様に、やや黄味がかった赤色の葉が奥にあります。それ以外に、手前には鮮や
かな赤色の紅葉が混在しているようです。
大慈院5
幹の苔や背景の緑とは対照的に、鮮やかな綺麗な赤色の紅葉でいつまでも見とれてしまいます。
大慈院6
ブルーの壁を背景に、紅い葉を拡大してみました。鮮やかな赤色の紅葉がとても綺麗です。
大慈院7
大きな木の紅葉です。手前には鮮やかな赤い紅葉があり、その奥にはやや黄味がかった赤色の紅葉があ
り、それらの彩を黒い幹の色が際立たせています。
大慈院8
大きな木の黄味がかった赤色の紅葉が見られる部分を選んでいます。中央に黄味がかった赤の紅葉がたく
さん見られますが、綺麗で鮮やかな赤色の紅葉もその周囲に見られます。
大慈院9
こちらは鮮やかな赤色の紅葉が見られる部分を選んでいます。殆どの葉が綺麗で鮮やかな赤色で、どの葉
もくっきりと色鮮やかに見えます。
大慈院10
道を元来た道に引き返しました。最初に見た紅葉の木と同じなのか、寺院の建物を背景に、ややくすんだ赤
色の紅葉ですが、鮮やかな赤色の紅葉とやや老化した紅葉が混在しているようです。
正受院1
道を引き返し、山門横の正受院に来ました。まだ小さな木ですが、色鮮やかな赤色をしてとても綺麗でし
た。
正受院2
正受院は残念ながら非公開の塔頭で、門から見えるお庭の紅葉を撮りました。少し黄味がかった赤色と鮮
やかな赤色の葉が混在して、綺麗な紅葉でした。
正受院3
こちらの木は色鮮やかな赤色の紅葉が、濃褐色の幹を背景に綺麗でした。
龍光院1
道を北にさらに進み、龍光院迄来ました。黄味がかった赤色の紅葉が緑の木々を背景に綺麗で、更にその
手前には鮮やかな赤色の紅葉が見られました。
龍光院2
鮮やかな赤色の紅葉と、その奥に黄味がかった赤色の紅葉の部分を拡大しました。背景の緑の木々の色
が、手前の紅葉を際立たせていました。
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