・今年の晩秋は暖かかったためか、京都府立植物園ではフウとイロハモミジの紅葉が鮮やかでした
今年の晩秋は比較的に暖かくて、葉緑素のクロロフィルが徐々に分解してきたためか、秋の紅葉・黄葉が色
鮮やかなようです。府立植物園にはフウの木があり、毎年その紅葉を見に行っています。
葉が紅葉・黄葉して落葉するのは落葉樹ですが、常緑樹では落葉しません。なぜでしょうか?冬に寒さが増
す地方に生えていた常緑樹では、葉を作り維持するエネルギーより、葉緑素を使って作る栄養分の方が下
回ってくることになります。そこで、冬季には落葉して暖かい期間にだけ葉をつけて光合成をした方が、効
率が良い事になります。そのため長い進化の過程で、落葉樹ができてきたのでしょう。
落葉樹では秋の気温低下に伴い、葉を落葉させる準備を始めます。葉に含まれるクロロフィルや黄色色素
のカロテノイドを分解して、少しでも養分を回収して幹に運ぼうとします。普段でも葉にはカロテンが含ま
れていますがクロロフィルの方が多いため、緑色に見えています。まず多量に含まれているクロロフィルが
分解されるため、残されたカロテノイドの黄色が目だってきて黄葉が起こります。紅葉するタイプの種類で
はクロロフィルが分解されると同時に、赤色色素のアントシアニンが作られてきます。クロロフィルが分解
されるに伴い、アントシアニンが増加してくるため紅葉が起こります。
今回は府立植物園で見た、フウとモミジの鮮やかな紅葉を紹介します。
フウ
フウはフウ科フウ属の落葉高木です。原産地は台湾、中国南部で、日本には江戸時代中期に入ってきまし
た。高さ20mほどで、葉は3裂して周辺にギザギザの鋸歯があり、秋に紅葉します。写真では、特に先端部
と周縁部が紅葉してきています。
フウの説明
説明版です。晩秋に紅紫色に色づき美しいとあり、毎年多くの人が見にきます。
フウ(先端部)
先端部では綺麗に紅葉しています。緑色から黄色味を帯び始め、やがて紅色に染まってきます。
フウ(先端部の拡大)
先端部を更に拡大しました。先端ほど紅色が濃くなっているようで、枝の内側になるほど黄色がまだ勝って
いるようです。
フウ(先端部の直下部)
紅葉程度の違いが、よりはっきりと見えるようです。
フウ(幹からの紅葉)
黒っぽい幹から小枝が出て、その葉も綺麗に紅葉していました。
フウ(中央部)
木の中央の紅葉です。外側の葉では黄色から紅色への紅葉が進んでいますが、内側ではまだ黄色の葉が多い
ようです。
フウ(基部の横)
基部の横の紅葉です。1本飛び離れた位置にあるこの枝では、鮮やかな紅色に紅葉して綺麗でした。
フウ(基部)
幹の基部です。基部になるほどまだ寒風に当たらないせいか、黄色の葉やまだ緑色の葉も見られました。
モミジ
フウの木から少し池の方に行くと、鮮やかに紅葉したモミジがありました。
モミジ(拡大)
拡大してみると、いっそうその紅葉の鮮やかさが際立っていました。
イロハモミジ(全景)
更に園内を西側に進むと芝生の広がる所に、1本のイロハモミジがありました。なかなか綺麗な樹形で、紅
葉が進んでいました。一般にモミジというと、カエデ類を代表してこのイロハモミジを指します。
ムクロジ科カエデ属の落葉高木です。日本を含めた東アジア原産の木です。植物学ではカエデとモミジを区
別していません。園芸的には、葉が鋭く深裂する場合はモミジと呼び、浅く切れ込んでいる場合はカエデと
呼んでいます。
イロハモミジ(先端部拡大)
先端部を拡大してみましたが、紅葉の鮮やかさが一層はっきりと見えてくるようです。
イロハモミジ(側部)
側部を拡大しましたが、この木でも外側では紅葉が進み紅色に色づいています。枝の内側では黄色の葉が多
くなり、まだ緑の葉も見られます。
関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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