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2021年6月28日 (月)

・ガクアジサイが咲いてきたので、中央の両性花と周囲の装飾花の発達を観察しました(1:両性花)

 

よく見かけるガクアジサイは、アジサイ科アジサイ属に属する、落葉性低木です。日本が原生地で、これに

他の種類が掛け合わされて、多くの品種が育成されています。一般にガクアジサイ、ヤマアジサイ、ハイド

ランジアなどの西洋アジサイ、カシワバアジサイなどの外国種のアジサイに分類されますが、どんどん多く

の品種が育成され、その関係は複雑になっています。ガクアジサイの仲間で、花序全体が装飾花のものをホ

ンアジサイと呼びます。

たいていのアジサイの花には中央部に小型の両性花(完全花)が無数にあり、周辺に大型の装飾花がありま

す。一般にアジサイの両性花と装飾花の形態については、図鑑でもあまり記載されていません。両性花には

雄しべ・雌しべがありますが、それらの数や形態は明らかでありません。装飾花では雄しべ・雌しべが退化

した中性花と書かれたりしますが、その形態と特性は明らかでありません。

そこで先にピンクのガクアジサイで装飾花が八重の品種と、最近よく見かける白色の装飾花ばかりの‘アナベ

ル’について、その形態を観察して紹介しました。このガクアジサイでは、花弁は3~4枚、雄しべは0~3

本、雌しべは3本に分かれており、装飾花は花弁だけで、雄しべや雌しべは見られませんでした。装飾花だ

けの‘アナベル’では、おそらく4枚のガク片だけが発達していて、中央にある小突起が花なのかどうかは確認

できませんでした。そこで今回はこれらの点を明らかにするため、ガクアジサイの両性花と装飾花の発達過

程を観察しました。今回は、まず両性花の発達につて紹介し、次回に装飾花について紹介します。

  • 1dsc_0062a

ガクアジサイ

ブルーのガクアジサイについて、特に中央の大部分を占める両性花の発達過程を示しました。ブルーの奇麗

な品種です。

  • 1dsc_0063a

ガクアジサイ

周辺にある大きな装飾花が、まるで額縁の絵のように見えることから、このタイプの花がガクアジサイと呼

ばれます。

 

  • 2dsc_0049a

ガクアジサイ

アジサイの花序がまだ未発達の時で、中央では両性花が増加しています。両性花を4個の装飾花が取り囲

み、その大きな1枚のガク片の先端がブルーに色づいてきています。

 

  • 3dsc_0050a

ガクアジサイ

中央ある両性花の幾つかも、ブルーの色が着きかけています。周辺には7個の装飾花が見られ、4枚のガク片

のそれぞれ先端部からブルーの部分が広がってきています。

 

  • 4dsc_0047a

ガクアジサイ

この花では4個の装飾花にある4枚のガク片が、ほとんどブルーになっています。

中央部の両性花でも、かなりの花の花弁がブルーになり、更に花弁が開いて中から雄しべが突き出ている花

も見られます。

 

  • 5dsc_0048a

ガクアジサイ

この花では周辺の7つの装飾花が見られ、それぞの4枚のガク片は完全にブルーになっています。中央部にあ

る、両性花の花弁は薄いブルーになり、短いまま開いています。多くの両性花から雄しべが突き出ていま

 

  • 6dsc_0064a

ガクアジサイ

これはかなり発達した花です。裏表ともブルーの花弁が開き、中から10本くらいの雄しべが突き出ていて、

その中に3,4本に分かれた雌しべが見えます。

 

  • 7dsc_00644a-2

ガクアジサイ

花の発達の順に並べてみました。

左上の①花では花弁が5枚、雄しべが10本見え、その中に3本に分かれた雌しべが見えます。

右上の②の花では花弁が5枚、雄しべが10本見え、その中に4本に分かれた雌しべが見えます。葯の発達程度

がかなり異なり、2輪に分かれてついているようです。

下左の③の花では花弁が6枚、雄しべが10本見え、その中の雌しべは3本に分かれています。

右下の④の花では、花弁は離れています。雄しべは10本あり、葯から花粉が沢山出ているようです。雌しべ

の先は3本に分かれています。

 

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ガクアジサイ

良く発達した3個の花が見え、それ以外の花では4枚の花弁はしっかりと閉じています。ブルーの染まった蕾

の中に、まだ黄緑色のままの蕾が沢山見えます。

 

  • 9dsc_0082a

ガクアジサイ

ここには良く発達したたくさんの花が見え、ブルーの花弁は大きく開き、中から約10本の雄しべが大きく開

いて見えます。右にはよく発達した装飾花の基部が見えます。

次回には、装飾花の発達を紹介します。

 

 

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