・ガクアジサイが咲いてきたので、中央の両性花と周囲の装飾花の発達を観察しました(1:両性花)
よく見かけるガクアジサイは、アジサイ科アジサイ属に属する、落葉性低木です。日本が原生地で、これに
他の種類が掛け合わされて、多くの品種が育成されています。一般にガクアジサイ、ヤマアジサイ、ハイド
ランジアなどの西洋アジサイ、カシワバアジサイなどの外国種のアジサイに分類されますが、どんどん多く
の品種が育成され、その関係は複雑になっています。ガクアジサイの仲間で、花序全体が装飾花のものをホ
ンアジサイと呼びます。
たいていのアジサイの花には中央部に小型の両性花(完全花)が無数にあり、周辺に大型の装飾花がありま
す。一般にアジサイの両性花と装飾花の形態については、図鑑でもあまり記載されていません。両性花には
雄しべ・雌しべがありますが、それらの数や形態は明らかでありません。装飾花では雄しべ・雌しべが退化
した中性花と書かれたりしますが、その形態と特性は明らかでありません。
そこで先にピンクのガクアジサイで装飾花が八重の品種と、最近よく見かける白色の装飾花ばかりの‘アナベ
ル’について、その形態を観察して紹介しました。このガクアジサイでは、花弁は3~4枚、雄しべは0~3
本、雌しべは3本に分かれており、装飾花は花弁だけで、雄しべや雌しべは見られませんでした。装飾花だ
けの‘アナベル’では、おそらく4枚のガク片だけが発達していて、中央にある小突起が花なのかどうかは確認
できませんでした。そこで今回はこれらの点を明らかにするため、ガクアジサイの両性花と装飾花の発達過
程を観察しました。今回は、まず両性花の発達につて紹介し、次回に装飾花について紹介します。
ガクアジサイ
ブルーのガクアジサイについて、特に中央の大部分を占める両性花の発達過程を示しました。ブルーの奇麗
な品種です。
ガクアジサイ
周辺にある大きな装飾花が、まるで額縁の絵のように見えることから、このタイプの花がガクアジサイと呼
ばれます。
ガクアジサイ
アジサイの花序がまだ未発達の時で、中央では両性花が増加しています。両性花を4個の装飾花が取り囲
み、その大きな1枚のガク片の先端がブルーに色づいてきています。
ガクアジサイ
中央ある両性花の幾つかも、ブルーの色が着きかけています。周辺には7個の装飾花が見られ、4枚のガク片
のそれぞれ先端部からブルーの部分が広がってきています。
ガクアジサイ
この花では4個の装飾花にある4枚のガク片が、ほとんどブルーになっています。
中央部の両性花でも、かなりの花の花弁がブルーになり、更に花弁が開いて中から雄しべが突き出ている花
も見られます。
ガクアジサイ
この花では周辺の7つの装飾花が見られ、それぞの4枚のガク片は完全にブルーになっています。中央部にあ
る、両性花の花弁は薄いブルーになり、短いまま開いています。多くの両性花から雄しべが突き出ていま
す。
ガクアジサイ
これはかなり発達した花です。裏表ともブルーの花弁が開き、中から10本くらいの雄しべが突き出ていて、
その中に3,4本に分かれた雌しべが見えます。
ガクアジサイ
花の発達の順に並べてみました。
左上の①花では花弁が5枚、雄しべが10本見え、その中に3本に分かれた雌しべが見えます。
右上の②の花では花弁が5枚、雄しべが10本見え、その中に4本に分かれた雌しべが見えます。葯の発達程度
がかなり異なり、2輪に分かれてついているようです。
下左の③の花では花弁が6枚、雄しべが10本見え、その中の雌しべは3本に分かれています。
右下の④の花では、花弁は離れています。雄しべは10本あり、葯から花粉が沢山出ているようです。雌しべ
の先は3本に分かれています。
ガクアジサイ
良く発達した3個の花が見え、それ以外の花では4枚の花弁はしっかりと閉じています。ブルーの染まった蕾
の中に、まだ黄緑色のままの蕾が沢山見えます。
ガクアジサイ
ここには良く発達したたくさんの花が見え、ブルーの花弁は大きく開き、中から約10本の雄しべが大きく開
いて見えます。右にはよく発達した装飾花の基部が見えます。
次回には、装飾花の発達を紹介します。
- 関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
| 固定リンク
« ・ベランダでは新顔のミニバラ‘ほほえみ’が極小サイズの花ながら沢山咲いています | トップページ | ・ガクアジサイが咲いてきたので、中央の両性花と周囲の装飾花の発達を観察しました(2:装飾花) »
「・園芸植物・園芸情報 Hort. Plants & Information」カテゴリの記事
- ・「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」の杜若を、上賀茂の大田神社の池で見てきました(2024.06.04)
- ・つれづれに家人アンナがベランダで咲いている花を使って、先日作ったフラワーアレンジ10種を紹介します(2024.05.24)
- ・あなたは何故あの可愛いいキンギョソウが「噛みつきドラゴン」と呼ばれるのか分かりますか?(2024.05.08)
- ・今年も3月になると赤色・白色の胡蝶蘭が咲き出してきて、4月には満開になりました(後編)(2024.04.09)
- ・今年も3月になると赤色・白色の胡蝶蘭が咲き出してきて、4月には満開になりました(前編)(2024.04.07)
コメント