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2019年9月22日 (日)

・月下美人や夜来香など夜咲く花も、京都府立植物園では昼間に見ることができます

 

京都府立植物園内にある観覧温室の昼夜逆転室は、2013年8月3日にオープンしました。ほとんどの花は

昼間に咲きますが、なかには昼間には咲く花が多いため、媒介昆虫が来てくれなくてうまく受粉できないこ

ともあります。受粉出来ないとタネができないので、植物にとっては子孫を残せませんので大問題です。と

ころが夜咲けば、競争相手が少ないので昆虫が寄ってくれ、受粉してタネを作ることができます。夜咲く花

では花弁が白くて見えやすくしたり、昆虫の好む香りを出して誘引しています。しかし夜咲く花では、植物

園では皆さんに見てもらえません。そこで府立植物園では、昼夜の明るい時間を自然状態とは逆にして、夜

咲く花を育てて、夜間に咲かせて見られるようにしています。つまり、温室を閉める夕方に電灯をつけて昼

にし、朝の10時ころに電気を消して夜にします。昼夜を逆転すると、植物にある体内時計が明暗の変化を

キャッチして、体内時計をリセットするようです。

夜だけ咲く花以外に、夕方から明け方にかけて咲く花など、植物の咲き方は色々です。先日紹介しましたオ

シロイバナなども、英語では4時ころに咲き出すのでFour o'clockと呼ばれるように、明け方まで咲いてい

ます。先日用事があって植物園に行った際、ちょうど月下美人が咲いていますよと掲示がありましたので

行ってみました。月下美人(ゲッカビジン)以外にも、夜来香(イエライシャン)など幾つか夜咲く花が見

られましたので、暗黒下で撮ったのでピントがもう一つですが、紹介します。

 

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月下美人他夜咲く花

左上は月下美人、右上はチャボイランイランの花で、左下はヤエサンユウカ、右下は夜来香の花です。

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月下美人

ゲッカビジン(月下美人)の学名は Epiphyllum oxypetalumで、英名は Dutchman's Pipe

Queen of the Night。メキシコの熱帯雨林地帯を原産地とする、サボテン科クジャクサボテン属の常緑

多肉植物です。日本で多く流通しているクジャクサボテン属Epiphyllum属)には交配種が多いが、これ

は原産地からそのまま導入された原種です。

 

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月下美人の花

葉状茎の丈が1mから2mにまで達すると、つぼみが見られます。花は夜に咲き始め、翌朝までの一晩でしぼ

み、めしべ他家受粉が起きなければ散ってしまいます。白い花弁は20-25cm程度で、香りが強く、夜間

開花します。

 

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チャボイランイラン

 チャボイランイランCananga odorata var.fruticosa はバンレイシ科イランイランノキ属の常緑低木

です。基本種はインドから東南アジア、オーストラリア北東部に原産しています。イランイランノキの変種

になり、矮性で幼株のうちからよく花を咲かせりため、この名前がついています。

 

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チャボイランイランの花

 花の咲き始めは淡緑色ですが、咲き進むに従い黄色に変化し、甘い香りを放ちます。基本種の花は香水の

原料として栽培されます。見頃は8月中旬までで、花が緑色から徐々に黄色に変化するにつれ、香りも強く

なります。花粉媒介者は蛾で、夜に香りが強くなり、英名はDwarf Ylang Ylang。   

 

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ヤエサンユウカ

 ヤエサンユウカはキョウチクトウ科サンユウカ属の木本で、原産地はインドです。渡来時期は明治初年

で、路地植えや鉢植えにされます。学名はTabernaemontana divaricata cv. Flore Pleno で、英

名はCrape jasmine(クレープジャスミン)あるいはCeylon Moonbeamです。和名はヤエサンユウカ

(八重三友花)で、別名フローレ・プレノです。

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ヤエサンユウカの花

樹高は1m~3mくらいになり、開花期は4月~9月です。花色は白で名前のとおり八重咲きで花弁は5枚あ

ります。花径は3~4cmほどで、夜になると良い香りがします。

 

  • ●●
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夜来香

夜来香(イエライシャン)はガガイモ科テロスマ属の草本で、インド~ベトナム原産です。学名は

Telosma cordataテロスマ(Telosma)は、「tele(遠い)+osme(香り)」からきています。昼

夜逆転室での見頃は9月中旬までとか。別名は夜来香で、英名はトンキンジャスミン(Tonkin jasmin)

です。細くてややかたい茎は良く伸びて5mにもなり、長心臓形の葉は質が薄く、茎葉ともに切ると乳白色

の液が出ます。

 

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夜来香の花

花は葉腋に散系状に10個くらいが下垂して咲きます。花冠の基部は筒型で先は星型に開き、花冠の裂片の縁

は少し反転し、外側は淡緑色で内側は淡黄色です。花期は8~10月で、開花すると芳香を発散します。特に

夜に良い香りを発します。木なのですが、ちょっと寒さに弱いようです。


 イエライシャンと言えば昔、李香蘭という人が「夜来香」という歌を歌って有名になりました。しかし、

本物のイエライシャンという植物はその当時日本には無かったようです。違う植物をイエライシャンだと、

みんな思っていました、コレが本物のイエライシャンだと1980年代にやっと日本に入ってきました。それ

なりに良い匂いがします。夜に咲きだして昼も咲いていますが、夜に特に香りが強くなります。

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ヘビウリ

ヘビウリはウリ科カラスウリ属の蔓性一年草で、学名はTrichosanthes anguina です。原産地はイン

ドで、日本には明治時代の後期に渡って来たと言います。和名のヘビウリは果実が細長く蛇のように見える

事で付けられました。熱帯地域では食用にもするようですが、美味しくないので日本では観賞用として栽培

されています。草丈は3m~5mくらいにもなり、巻きヒゲで他のものに絡み付いて伸びます。

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ヘビウリの花

開花時期は7月~9月で、同じ頃に実も見られます。ヘビウリの花は、日没から開花をはじめます。英名は

snake gourd です。

 

  • 少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。

 

 

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コメント

こんばんは~
京都 植物園は知ってるんですけど
まだ おとずれたことがないんですよね~

一度 行ってみないとですよね!

投稿: おひるねおかん | 2019年9月23日 (月) 20時34分

こんにちは ひるねのおかんさん!

府立植物園は植物コレクション数でも日本有数の植物園で、特に温室植物が
見ごたえがあります。(*^o^)

およそ100年前に京都大学の植物関係の先生によって企画され、まず
園芸倶楽部ができ、次いで植物園ができました。(^-^*)

入園料が200円と安すぎ、また誰でも70以上の人には無料になっているため、
内容がないのかと思われてしまっていますが、
最近では年間80万人くらい訪れています。(o^-^o)

寒い冬がおすすめかもしれませんので、ぜひおいでください。(⌒-⌒)

投稿: プロフユキ | 2019年9月23日 (月) 21時19分

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