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2019年6月17日 (月)

・淡紫紅色の花をつけたムラサキカタバミの3枚に分かれた葉は、夜になると葉を閉じる就眠運動をしています

 

ベランダ―のプランタからよくアカカタバミが生えてくるので、見つけ次第抜いています。このアカカタバ

ミの葉は赤紫色で、黄色の花が咲きタネをまき散らすので困りものです。しかしムラサキカタバミの花は綺

麗な淡紫紅色なので、抜かずにそのまま咲かせています。先に桃紫色の花を着けるイモカタバミの白花種

が、天神川沿いに咲いており、葉は夜間閉じることを紹介しています。イモカタバミの花は花の中心部が濃

い紫色で葯が黄色をしており、同じような淡紫紅色の花でもその奥の基部は淡緑色で、白色の葯を持つムラ

サキカタバミとは簡単に区別できます。

以前、四つ葉のクローバー(正確にはデンジソウ)で就眠運動を観察して紹介しました。この綺麗な淡紫紅

色の花をつけるムラサキカタバミの花と、就眠運動を観察しましたので紹介します。ムラサキカタバミ(紫

片喰、紫酢漿草、学名 Oxalis debilis Kunth subsp. corymbosa (DC.) O.Bolos et Vigo,

1990)は、カタバミ科カタバミ属の多年草です。南アメリカ原産で、江戸時代末期に観賞用として導入さ

れて以降、日本各地に広く帰化しています。旺盛に繁殖して広がるため、環境省により要注意外来生物に指

定されています。

就眠運動については先に紹介しましたように、葉を閉じる機構については葉の付け根に葉沈と呼ばれる袋が

あり、葉沈では細胞内の水分が敏感に変化し、光合成の起こらない夜間では水分が減少して、葉は閉じま

す。朝になると葉に光が当たって光合成が始まり、葉沈の水分は根から吸収されて増加し、葉は開きます。

でもなぜ夜間に葉を閉じるのかは、詳しくは分かっていないようです。進化論を提唱したあのダーウイン

は、夜間に葉から水分が蒸散すると熱が奪われ温度が低下し、また水分も減少するため、それを防ぐため葉

は閉じるのではないかとしています。

 

  • Dsc_0001

ムラサキカタバミ

 ムラサキカタバミの草姿と花、それに就眠運動を示しました。

  • Dsc_0002a

昼間のムラサキカタバミ(12:49

 背丈は約30cmで、地下に鱗茎があり、地上には葉と花柄だけを伸ばしています。葉は3小葉からなる三

出複葉で、小葉はハート形をしています。地下の鱗茎の下部に牽引根があり、この牽引根と鱗茎の間に木子

(微細な小球根)をたくさん付けており旺盛に繁殖します。

 

  • Dsc_0003a

ムラサキカタバミの昼間の葉(12:49

 昼間の葉はこのように3枚のハート形をした小葉が、水平に開いて太陽光を受けて光合成をしています。

花は主に春~初夏に咲き、葉の間から伸び出した花柄は葉を越えて伸びており、その先端に数輪の花をつけ

ています(散形花序)。

 

  • Dsc_0004a

ムラサキカタバミの花

 花は淡紫紅色で花筒部奥は淡緑色となり、花の中心部に向けて赤筋が緑色に変わり入っています。上部の

淡紫紅色と奥の淡緑色のコントラストが鮮やかで、奥に向かった赤筋も際立っています。

 

  • Dsc_0005a_inpixio

ムラサキカタバミの花(拡大)

 花は独特の色合いでこのように非常に美しいが、雑草のため市販されることはほとんどありません。花柱

の先端は5裂しており、雄しべは長短2組で10個あり、葯は白色をしています。

 

  • Dsc_0006ab

夕方のムラサキカタバミ(18:52)

 夕方暗くなりかけた18時52分に観察した時の葉の様子です。3枚の小葉にはばらつきはありますが、水平

よりやや下に傾きかけている葉もあるようです。

 

  • Dsc_00071852a

夕方のムラサキカタバミの葉(18:52)

 3枚の小葉が傾きかけた葉ではこの写真のように、小葉は水平より下に傾きかけています。ハート形の小

葉も中央の葉脈に向かい内側に傾きかけているようです。

 

  • Dsc_0008a_2

夜のムラサキカタバミ(19:49

 真っ暗になった19時49分の、葉の様子です。どの葉を見てもハート形の小葉は内側に閉じ、それぞれ3

の小葉は下の葉柄の方に折りたたまれています。

 

  • Dsc_0009a

夜のムラサキカタバミ(19:49

 他の箇所を拡大してみていますが、どの葉も3枚の小葉はそれぞれ閉じで、下方の葉柄に沿って折りたた

まれています。

 

  • Dsc_0010a_1

夜間のカタバミの葉(19:49

 折りたたまれた葉を上から見ると、このように3枚の小葉はその葉脈に沿って隙間なく閉じており、その

付着している点から下方にたたまれています。

 

ムラサキカタバミの葉の就眠運動

 時間を追って3枚の小葉を並べたものです。左の葉は昼間の12時49分の葉で、完全に開いています。夕方

の18時52分になると、3枚の小葉はその付着点から下に傾きかけています。1枚の小葉単位でみると中央の

葉脈に沿って内側に閉じかけているようです。右の19時49分では3枚の小葉は隙間なく閉じ、各小葉は下方

に折りたたまれています。

 

  • 少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。

 

関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。

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