・6月12日のアンネの生誕90周年にちなみ、美しい「アンネのバラ」を紹介します
京都府立植物園には多くの品種が栽培されており、先日見たツルバラとスタンダード仕立てのバラを紹介し
ました。植物園にはアンネにちなんだ、「アンネのバラ」も植えられていて、先に紹介しています。明日の
6月12日はアンネ・フランクの誕生日で、今年は生誕90周年を迎えることになります。「アンネのバ
ラ」が普及するのには京都、更に関西の教会やバラ愛好家が関係していたようです。
ベルギーのバラ育種家のヒッポリテ・デルフォルヘは多くの交配種を作出しており、
1959年のスイス旅行中にオットーと出会いました。アンネの日記に感銘を受けていたヒッポリテは自分が
作出した最も美しいバラを、アンネの形見として捧げる事を計画し、オットーの賛同を得て「アンネ・フラ
ンクの形見」として登録しました。1971年にイスラエルを訪問公演していた日本のイエス会の「しののめ
合唱団」(京都・嵯峨野教会)がオットー夫妻と出会って交流が始まり、1972年オットーからバラの苗10
本が贈られました。その多くは長距離輸送のため枯れましたが、1株が1973年春に京都の嵯峨野で開花しま
した。1975年8月にNHKの教養番組で「アンネのバラ」が紹介されてから、子のバラは一般に知られるよ
うになりました。
アンネのバラ
「アンネのバラ」とオランダで発行されたアンネの記念切手です。
バラ園(京都府立植物園)
1975年秋に杉並区の中学校から「アンネのバラ」を育てたいとの要望があり、合唱団が2度目の演奏旅行
の折にオットーに依頼されました。オットーの「アンネと同年代の、日本の少年少女たちの夢をかなえてあ
げたい。」との意向により、「アンネのバラ」10本のうち3本が中学に送られる事になりました。
アンネの記念切手
オランダのアムステルダムを訪れた際にはよく、アンネが隠れ住んでいた家(現在はアンネの博物館)に
行きまして、その折に買った記念切手です。何でもない普通の一人の少女が記念切手に描かれるようになっ
た出来事は、もう二度とこのような事は起こってはいけないとの、未来への期待が込められているのでしょ
う。アンネの切手は、このオランダ発行以外に、ドイツでも発行されています。
アンネのバラ
1980年4月に教団の合唱団がオットーとの交流を持ったことから、アンネのバラ教会が兵庫県西宮市に献
堂されました。ここは世界で唯一のアンネ・フランクを記念する教会で、彼女の資料館があります。
アンネのバラ
その後アンネのバラの教会で増えたアンネのバラは、アンネの故郷であるドイツのフランクフルトに、ま
た英国のマンチェスター、バーンリー、ヨークにも植えられるようになって世界に広がっていきました。
アンネのバラ
「アンネのバラ」の正式な名前は‘スーブニール・ドゥ・アンネフランク’で、愛と平和のシンボルとなっ
ています。フロリバンダ種で花型は丸弁杯状咲き。花は変色する性質があり、蕾の時は赤色、開花するとオ
レンジ色に黄色がかった黄金色に、やがて花弁の先からサーモンピンク、更に濃くなり赤色に近くなりま
す。四季咲きで、5~8輪の房咲きになります。この写真では、蕾がほころびかけ、赤色にオレンジ色が入
りかけています。
アンネのバラ
蕾から開花しかけて黄金色になり、花弁の先はサーモンピンクになりかけています。葉は光沢のある縁色
で鋭いトゲがあります。株は丈夫で日陰に耐えるため育てやすく、寒さや病気にも強くて人気があります。
アンネのバラ
少し横から見た花の様子です。すぐ横に次の蕾があり、たくさんの花をつけます。
アンネのバラ
ちょっとピントが甘いですが、黄金色の花弁の外側からサーモンピンクの色が濃くなってきています。
アンネのバラ
これからは開花した花を撮っています。花弁の基部は黄金色が残っていますが、先端部ほどサーモンピン
クの色合いが深まっています。右下には次に蕾が、上には二つの蕾が見えます。
アンネのバラ
艶やかに開いた花、それに交じりまだ開く前の花など、黄金色の色とサーモンピンクの花弁が入り混じっ
て、更に赤味の濃い花弁もありとても綺麗です。
アンネのバラ
よく開花した花の中に、まだ黄金色の強い開きかけた花も、綺麗な取り合わせになります。
アンネのバラ
こちらも同様で、あちこちに綺麗な花の形をしている花もあり、なかなか見飽きしない「アンネのバラ」
の花壇です。
- 少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
- 関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
プロフユキさん こんばんは。
アンネ フランクの生きた証を、彼女の名を冠したバラとして世に送り出してくれた
ヒッポリテ・デルフォルヘのアンネへの想いの深さに胸打たれます。
記念切手の笑顔のアンネのような、とても綺麗で素敵なバラですね。
このバラがこの世で咲き続ける限り、アンネは平和を愛する人々の心の中に生き続けるのですね。
バラにはそれにまつわる物語があり、名付けた人の想いが籠っているから素敵です。
投稿: 亜麻 | 2019年6月15日 (土) 23時05分
こんにちは 亜麻さん !
見ていただきまたコメントを有難うございます。(^_^)
バラを愛する亜麻さんは、当然アンネのバラをご存知だと思っていました。でも何となく教会の人が
関係しているだろうとは思っていましたが、今回調べてみて京都の亀岡で1株が何とか咲き、
それも聖イエス会の合唱団が縁を結び、そのつながりでアンネのバラ教会が西宮に
出来ていたとは驚きでした。(o^-^o)
平和を愛する日本の人達の貢献も大きいですね。それにアンネのバラの花の素敵なこと、
形もまた花弁のいろの変化も素晴らしいこと、もっともっとあちこちに広がってほしいバラです。(*^o^)
亜麻さんには特に見て欲しかったので、とても嬉しく思っています。y(^ー^)y
投稿: プロフユキ | 2019年6月16日 (日) 23時44分