・京都大宮通の「千両が辻での雛祭り」で、今年も江戸期から昭和までのお雛様を拝見してきました
古くから西陣織の中心地として栄えていた西陣、特に大宮今出川の辺りは江戸時代中期より「千両ヶ辻」と呼ばれていました。それは江戸時代中期頃、立ち並ぶ生糸問屋、織物問屋が一日千両に値する生糸・織物を商った地域であったためでした。この「千両ヶ辻」では毎年3月2、3日には、豪商の町屋が公開され、江戸期より飾られてきたお雛様が拝見できるので楽しみに家人と行きました。
内裏雛は本来は雛人形の「男雛」と「女雛」の一対を指しますが、サトーハチローの童謡「うれしいひな祭り」のうっかりミスの歌詞で、男雛を「お内裏様」、女雛を「お雛様」と呼ぶ誤りが、一般化してしまったことを先に紹介しています。また内裏雛の飾り方に関東雛と京雛があり、京雛では男雛は向かって右に、女雛は左に並べますが、関東雛では逆になります。これは内裏雛は本来宮中の天皇と皇后を指すためで、「天子南面す」といわれるように天子は正式な儀式では必ず南を向いて席につきます。更に昔は東西南北の方角にもランク付けがあり、最高位は太陽の昇る東でした。そのため男雛から見て左に左大臣、右側に右大臣が座ります。京都では御所を中心に東に左京区、右に右京区を配置しています。また、御所の北にある人形の寺と呼ばれる宝鏡寺では、皇女和宮が一時お住まいになりその折に愛でられた有職雛人形も春秋には公開されています。
千両ヶ辻雛祭りしおり
千両ヶ辻雛祭り
水野克比古フォトスペース「町屋写真館」で飾られていたお雛様と、奥に坪庭が見えます。江戸期から明治、大正、昭和までの各時代のお雛様が飾られており、後で紹介します。
お雛様
これは千両が辻に入ってすぐにあった、芝井家の昭和期のお雛様です。内裏雛の間の三方には、お花も飾られています。
享保雛
これからは、水野克比古フォトスペース「町屋写真館」で飾られていたお雛様です。これは江戸時代中期の享保期のお雛様です。豪華絢爛な時代で人形も大振りで、天冠をかぶっています。
江戸中・後期
上段に江戸中期、下段に江戸後期のお雛様が飾られています。雌雛はどちらも豪華な天冠を着けていたようです。
江戸末期
江戸末期でもこの有職雛などでは、雌雛の髪型はお滑らかしで、天冠は着けていないようです。
明治初期
これは明治初期のお雛様です。3人官女のうち中央の一人はいつも座っていますが、この官女だけが既婚者で他の二人の官女より役どころが異なるようです。
明治初期
これも明治期のお雛様ですが、豪華な三方にいろんなものが飾られています。また雌雛は着けてはいませんが天冠も横に置いています。
大正期
大正期のお雛様です。三方には何か器が乗り、高坏には野菜や果物が添えられています。雌雛はお滑らかしで髪飾りをつけていますが、天冠もまた他の冠も横に置いています。
昭和初期
昭和期のお雛様です。3人官女は結婚式では内裏雛をサポートする役割で、お祝いのお酒を注ぐためのくわえ銚子と長柄銚子を持っています。座っている年配の官女は指南役でしょうか?
昭和初期
お内裏様より下の段を示しています。3人官女の右には年配の左大臣、左にはやや若い右大臣とされますが、実際には武器を携えた武官のようです。その下の左側には五人囃子の太鼓(たいこ)、太鼓(おおかわ)、小鼓、笛、謡いがいます。その右側には仕丁(じちょう)の台傘、沓台、立傘がいます。その下には箪笥、長持ち、鏡台などが置かれ、最下段にはお膳などの食器が並べられています。
昭和初期
これは昭和期の豪華な御殿付きの、お雛様です。別の間には子供達でしょうか、たくさんおられます。三人官女のうち、中央の女官は珍しく立っています。
昭和40年代
こちらは入り口近くにあった、昭和40年代のお雛様です。黄櫨染(こうろぜん)の束帯と書いてあります。黄櫨染は平安時代から今もなお続いている、天皇陛下しか着用できない禁色です。「黄櫨染」の色合いは「黄赤色」と表現されます。原料の「櫨(はぜ)」の木に含まれる黄色に、「蘇芳(すおう)」の赤を掛け合わせたなようです。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 京の街角 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 京の街角 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
こんにちは。
豪華なお内裏様とお雛様たちですね。
流石、京都です!
こちらと違いお内裏様は左右入れ替わっておりますね。
時代によってお顔なども変わりますね。
私は雛道具にどうしても目が行きます。
実に巧妙に小さいくても見事にできておりますもの。
以前「皇女和宮さま」のお雛様などを拝見したことが
ございます。
また「徳川美術館(名古屋)」へお雛様を
観に伺いましたよ。
投稿: マコママ | 2019年3月13日 (水) 12時12分
こんにちは マコママさん !
いつも見て頂き有難うございます。西陣の織物問屋などの大店には、江戸時代からの
お雛様が守られているんですね。(*^o^)
時代ごとに衣装や持ち物、それにお顔付に違いがあるようですね。雛道具も中々
凝ったものがありますね。y(^ー^)y
御殿付きのお雛様もあるんだと驚きます。宝鏡寺には和の宮様のゆかりの品も
いくつか飾られていました。(^_^)
「徳川美術館(名古屋)」にも行かれましたか。将軍家の御台様が飾られてた、
多くのお雛様があったことでしょう。y(^ー^)y
投稿: プロフユキ | 2019年3月14日 (木) 00時06分