・あなたはヤツデの花に2種類あるのを見たことがありますか
いつもの散歩道にヤツデの艶やかな葉をよく見かけます。12月始めのある日、そのヤツデに白い花が咲いているのを見かけました。いつもは葉の間から緑色の実が見えるのだがと思っていました。子どもの頃はこのヤツデの実を、竹鉄砲の玉にして遊んでいました。ヤツデの実がない時には新聞紙をくちゃくちゃかんで丸くして、玉にしていたことを思い出します。先に玉を込め、筒の基に別の玉を差し込みそれを別の棒で勢いよく押し込めば、ポンと勢いよく音がして先の玉が飛び出すわけです。ヤツデはどこにでもあり、私達の子供時代には何でも身の回りの物を材料にして遊んでいたように思います。
ヤツデはそれほど身近な植物でしたが、日本原産の常緑低木です。ウコギ科ヤツデ属に属し、学名はFatsia japonicaで、英名はJapanese
Aralia です。たくさんの切れ込みがある大きな葉なので、天狗の団扇という別名もあります。ヤツデの花を見ていると、雄しべや花弁が開いた花と、太りだした実のような先から雌しべが出ている花があるようで不思議になり、近寄って写真を撮りました。

ヤツデの草姿と花
ヤツデの全体の姿と、2種類みられたヤツデの花(下の左右)

ヤツデの草姿
ヤツデの一般的な草姿です。太い茎が長く伸び、葉の元から花序が伸びだして何度も分枝して、沢山の花を着けています。厚みがあり濃緑色で光沢のある葉は、普通7~9くらいに裂けています。ヤツデは漢字で書くと八つ手ですが、8つに切れ込んでいるわけではないのですが、だいたい7~9に切れ込んでいます。
日陰でも元気に育つので、あまり日当たりの良くない場所にも植えられます。冬でも落葉せずによく茂るため、目隠し用の庭木として利用されたり、大きな手のような葉が人を招くという千客万来の縁起を担いでか、玄関先や門の脇にも植えられているようです。

ヤツデの花序
普段は葉ばかり見ているので花が咲くのにはなかなか気がつきませんでしたが、気温が低くなった10月終わり頃~12月にかけて、球状にまとまった白っぽい花がたくさん咲き、その後に果実が付きます。果実は翌年5月頃に黒く熟してきます。
花序の先端は長く伸びながら、何度も分枝を繰り返しています。そこでこの花序を見ると、先端部の丸いのはまだ実ではなく、最初に咲いた花のようです。それより1段下
にある花は後に咲いた花で、普通の花のように花弁と雄しべが突き出ているようです。

ヤツデの花序(拡大)
もう少し花序を拡大して見ました。下の若い花では花弁とおしべ伸びていて、その元は黄色くなり蜜が出ているようです。上の先に咲いた花では花弁と雄しべは見られず、5本に分かれた雌しべが突き出ているようです。

ヤツデの雄性期の花序
比較的若い花の花序を示しました。この花序でも上の方には丸い花が見え、それより下の多くの花では花弁の間からおしべが突き出ていて、その中心部には黄色くなり蜜が出ているようです。

雄性期の花(拡大)
このような若い花は雄性期の花と名付けられています。ヤツデが咲く頃は寒い時期なので、あまり授粉昆虫は多くはいません。そこで数少ない虫を誘引するため、雄しべを長く伸ばし、その中央で蜜を分泌しています。雄しべは、成熟した花粉をつけています。少し時期が経つと中央から、雌しべが伸びだしてきます。

ヤツデの雌性期の花序
これは先に咲いた花で、この花は雌性期の花と名付けられています。丸くなっているのですがまだ果実ではなく、蜜腺から蜜を出しながら子房が膨らんできます。丸い子房の先端部からまだ蜜を出していて、虫を誘引しています。

雌性期の花
この時期になるとこの雌性期の花では、中央から伸びだした雌しべの柱頭が5本に分かれて広がり、訪れた虫についた花粉を効率よく授粉しようとしています。
先に紹介したツユクサでは雄しべ3種類に特化して、受精を確実にする仕組みのあることを紹介しました。ヤツデも雌性期と雄性期の花に特化することで、数少ない虫を効率的に誘引して、確実に授粉して受精が完了する体制をとっているようです。また雄しべと雌しべの成熟する時期を変えているのも、近親交配を避ける仕組みのようです。受精した子房が発育して、マメのような小さな実になるのは翌春の頃です。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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