・京都には都大路にふさわしく、サルスベリが街路樹として真夏にも咲いています
先に京都の街路樹としてクチナシが植えられていることを紹介しましたが、サルスベリも良く植えられています。サルスベリはミソハギ科サルスベリ属で、アジア、オーストラリアに約30種分布する高木または低木です。5種類ありますが、そのうちサルスベリとして良く庭園に植栽されているのは中国原産です。学名はLagerstroemia indica L. で英名はcrape myrtle、中国名は紫薇あるいは百日紅です。
真夏の暑い時期に咲いてくれる花が美しく、耐病性もあり、必要以上に大きくならないため、しばしば好んで庭や公園などに植えられます。サルスベリは、幹が肥大するにつれ古い樹皮が剥がれ落ち、ツルツルした幹になります。そこで、猿も滑るくらいすべりやすい幹だということでこの名前がついたようですが、実際には猿は滑ることなく簡単に登るようです。先日、蝉もサルスベリの幹で脱皮して、抜け殻が残っていたことを紹介しています。
丈夫で育てやすいが、寒地では冬季には防寒が必要になります。移植は春に行い、挿木で増殖できます。挿木は春に1年生の枝を20cmくらいに切って、苗床に挿します。新梢に花芽ができるため、整枝・剪定は冬季のいつでもできます。
サルスベリ
今回はよく見かける白色や赤色ではなく、赤紫色のサルスベリを紹介します。見かけた場所は西大路通の3条と4条の間です。
サルスベリ
かなり交通量がありましたが中央分離帯に植わっていたので、車の間を縫って近づき、分離帯まで行って撮りました。涼しそうで綺麗な赤紫色の花でした。
サルスベリ
40℃近い気温にも負けず、しっかりと咲いていました。
サルスベリは当年生の枝の先端に円錐花序をつけます。大きく広がった花の形態には先に紹介しています。花は径3~4cmでガクは6裂し、花弁は6枚あり長く伸びると共に縮れています。花弁の縁が波状縁というフリルのように縮れた縮緬(crepe)状で、そのため英名がCrape myrtle(クレープ・マートル)と言います。
サルスベリ
ちょっと近寄って一つの花序を撮りました。
サルスベリ
花序の先の方ですが、たくさんの花があるように見えます。しかし1つの花には6枚の花弁があり、それぞれが一つの花のように見えるため、たくさんの花があるように見えます。
サルスベリ
花序の基部の方です。黄緑色の丸い部分が花の中心部で、雄しべと雌しべが伸びています。
サルスベリの花の形態(右の図:園芸植物大事典、1988)
おしべは36~42本あり長く突出していますが、特にその6本が更に長く伸びています。短いおしべが虫を誘引し、その際長いおしべの下向きに着いた葯から花粉が昆虫の背中に着き、それがまた他の花の下を向いた雌しべの柱頭に着き、授粉が起こるようです。
サルスベリ
1つの花にある6枚の花弁を示しました。
大きくフリル状の6枚の花弁は、媒介する昆虫を誘引しているのでしょうか。花色は紅、桃、白、紫紅色など変異があります。果実は楕円状球形です。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 京の街角 にもありますので、ご覧ください。
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