« ・西の京の林少山乾窓禅院でソシンロウバイとゼンテイカ(ニッコウキスゲ)とハナザクロを見かけました | トップページ | ・イタリア野菜の赤チコリの仲間でバラの花のようなカステルフランコとパラロッサを見ました  »

2018年7月15日 (日)

・中国北京の王府井で買った各種楽器を演奏する天女模様の切り絵を紹介します

暑い日が全国的に異常に続いています。昨日と今日の京都ではいまだかってなかった38度を超す気温となり、エアコンなしでは過ごせない日が続いています。こんな時には気分転換に綺麗な絵で見ようと、中国切り絵を引っ張り出してみました。   

 中国の切り絵(切り紙細工)には剪紙(せんし)刻紙があり、古くから玄関や窓などに飾られてきた民間伝統工芸です。2009年には世界無形文化遺産に登録されています。中国切り絵は紙をハサミや彫刻刀などを使って、繋げたまま模様を切って作る中国の民間工芸です。切り絵に描かれる題材には、干支・神獣・桃など多種多様なものがありますが、主に中国で縁起がいいとされている題材が選ばれます。日本や欧米にも「切り絵」はありますが、中国切り絵とそれらの「切り絵」との最大の違いは、図案の中に意味や願いが込められている点があるいはどうかにあります。一般に日本や欧米の切り絵では、美しさを追求するものがほとんどであるのに対して、中国切り絵は図案によって幸福や豊かさ、子孫繁栄などを願って作られています。

多くの切り絵は赤い紙によって作られており、これは中国では「赤」が最も縁起のいい色とされるため赤い紙が選ばれます。 2014年に中国北京の王府井で買った切り絵を数種類紹介していますが、その紙もすべて赤色でした。前回の切り絵は伝統的な飾りと衣装を着けた少女と、おめでたい喜の字を二つ重ねた双喜文字がおめでたい模様に組み合わされた切り絵でした。切り絵には2種類あり、はさみで切り出す剪紙とカッターナイフか小刀で切り出す刻紙があります。前回と今回紹介する切り絵はいずれも刻紙です。

Ne001

中国切り絵の天女

 艶やかな天女の顔だけを4枚だけ示しました。

N

Ne002

中国民間剪絵

 中国切り絵が8枚入った包みの表模様です。

 

Ne01

三板(サンバ)を弾く天女

 艶やかな天女が日本での物語に出てくる羽衣伝説と同じで、空中を自由に飛行できる羽衣をつけ、雲と太陽のそばで三板を弾いています。今回の切り絵は繊細に切り込まれ、更に色付けがされており、切り抜いた後に着色されたように見えました。それはすべての模様がつながっており、糊付けされたようには見えませんでした。

三板(サンバ)は木製の楽器で、以下の中国楽器の説明は、「中国語スクリプト」のホームページから引用させてもらいました。3枚の板をゆるく紐で結び、外側の2枚の板で中央の板をはさむようにして打って音を出します。宋代に最も重視された楽器で、拍子を取るために用います。これ以外に3枚の板と2枚の板を使うものなど、幾つかの種類があるようです。

 

Ne02

サンシエン(三弦)を弾く天女

 裏表で異なった色の羽衣をつけた天女が、やはり雲の間を飛翔しながら、三弦を弾いています。

 サンシエン(三弦)は撥弦楽器の一つで、3本の弦が張ってあるのでこう言います。爪か義爪で弾奏し、バチは使いません。明代以降、弦楽器合奏や語り物に使われました。南中国から日本に伝わり、沖縄では「蛇皮線」に、日本本土では「三味線」になりました。中国でも日本でも俗楽に使われます。

 

Ne03

桃を持つ天女

 目出度い大きな桃の果実を持った天女が、羽衣をつけて雲間を飛翔しています。

桃の縁起の由来は中国です。中国ではまるまるとした水分を多量に含む桃は、昔から不老長寿の果物と云われました。不老長寿の郷「桃源郷」の入口には、沢山の桃の木が植えられていると云われています。日本でも、「日本書紀」に魔物を退治したとの話しが記され、魔除け、厄除けの意味があり、「桃太郎」の昔話もこの記述と関連しています。

 

Ne04

土笛を吹く天女

 ちょっと不思議な形をしたオカリナ状の笛を吹きながら、羽衣をつけて髪飾りをたなびかせながら天女が、雲の間を飛翔しています。

 中国には殷代に既に陶製、石製などの笛があり、陶製の楽器は今のオカリナで、当時の遺跡からは平底の卵形のオカリナが出土しています。この恐らく土笛は笛だと思われましたが、穴の数がちょっと多いのが不思議です。

 

Ne05

哨吶 (スオナ)をふく天女

 これも艶やかな天女が、最初は羽衣をつけて雲間を踊っているのかと思いました。しかしよく見ると、チャルメラの笛らしきものを手に持っています。これは哨吶(スオナ)と呼ぶ楽器で、スオナ(チャルメラ)は中央アジアから伝わったラッパ状の楽器です。ラーメン屋の屋台でお馴染みの笛です。

 

Ne06

太鼓を打つ天女

 綺麗な衣には模様があり、また羽衣をまとった天女が太鼓をたたきながら、雲は見当たりませんが空中を飛んでいるようです。この後の切り絵では、雲は見えなくなります。今迄のブレスレットと異なり、房のあるひも状のブレスレットをつけています。

 太鼓の総称を「鼓」と言います。「鼓」の種類は非常に多く、大きさ・形・設置方法も様々であり、雅楽にも使われ、俗謡にも用いられていました。「太鼓調」に使う「太鼓」は平らな直径30センチほどの丸型の太鼓で、これを3本の竹の棒を組み合わせた台に乗せて棒でたたきます。

 

Ne07

琴を演奏する天女

 羽衣と髪飾りをひるがえしながらブレスレットをつけた天女が、天女と同様に浮遊しながら琴を演奏しています。琴(きん)は古琴ともいい、撥弦楽器です。現存の最古の古琴は10弦ですが、戦国末期までに7弦が定着しました。聖人君子の楽器として、文人に最も愛された楽器です。日本の琴の弦数は13本ですが、これは奈良時代に唐より伝わったようです。

 

Ne08

笙(しょう)を持った天女

 羽衣をひるがえしながら、雲の間を飛翔している天女が、笙を持っています。ブレスレットは房無しで、衣には大きなリボンを結んだような帯状のものをつけています。

笙(しょう)は雅楽で用いられた管楽器で、竽の小型版です。様々な長さの管を共鳴部に取り付けられ、それぞれの管にリードがあって豊かな音色を出します。

 

 

少し大きな写真と特性などは、右サイドの マイコレクション  に載せますの

でそちらもご覧下さい。

関連の記事が マイコレクション  にもありますので、ご覧ください。

|

« ・西の京の林少山乾窓禅院でソシンロウバイとゼンテイカ(ニッコウキスゲ)とハナザクロを見かけました | トップページ | ・イタリア野菜の赤チコリの仲間でバラの花のようなカステルフランコとパラロッサを見ました  »

・マイコレクション My Collection」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
 各地で猛暑が続いておりますね?
異常です!

 天女模様の切り絵は美しいですね。
どのくらいの大きさでしょうか?
繊細な線が生かされて、躍動感もございますね?

投稿: マコママ | 2018年7月16日 (月) 13時56分

こんにちは マコママさん!

猛暑続きで被災者は大変でしょうね、(ノ_・。) 昨日も京都全国3位の38.7℃でした。(*^-^)

天女の姿はまさに私たちが持っている天上の天女のイメージそっくりでした。(*^o^)

結構大きな切り絵です。縦28㎝、横19cmで、しっかりとした紙で、小刀で繊細に切り取りされています。
丸い曲線も綺麗で、着色も見事で切り貼りではなく、カットされているだけです。y(^ー^)y

投稿: プロフユキ | 2018年7月16日 (月) 14時34分

こんにちは。名古屋も猛暑でエアコンが切れないですよ。
先日、猛暑のなか京都に行ってきました。
でも暑くても着物や浴衣でおしゃれしている方も多くいて、
さすが京都だなァと思いました。でもあれ、実は地元の方々じゃないのかしらなどとも思ったりしたのですが・・・どうなんでしょうか。

投稿: poem | 2018年7月20日 (金) 15時35分

こんにちは poemさん !

暑い中、祇園祭を見に来られましたか (*^o^) まだお若いということでしょうね (⌒-⌒)

暑さにも負けないエネルギーがあるのしょね。確かに着物姿の人が増えていますが、
観光に来られた人がほとんどではないかと思います。(o^-^o)

一時はひどい着方の人が多くて、着物関係の商売の人がイメージが悪くなると
こぼしていましたが、最近はそれも様になる人が多くなったようです。(*^-゚)

投稿: プロフユキ | 2018年7月20日 (金) 19時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ・中国北京の王府井で買った各種楽器を演奏する天女模様の切り絵を紹介します:

« ・西の京の林少山乾窓禅院でソシンロウバイとゼンテイカ(ニッコウキスゲ)とハナザクロを見かけました | トップページ | ・イタリア野菜の赤チコリの仲間でバラの花のようなカステルフランコとパラロッサを見ました  »