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2018年4月18日 (水)

・弥生3月末には今年も第58回目の京のツバキ展が京都植物園で開催されました(その3) 

京都植物園でのツバキ展で京椿の名花を紹介してきましたが、中でも法然院 奥村邸 地蔵院などの五色散椿 では花の咲き分けがあり、1本のツバキの木に紅色、白色、白色に紅の絞りなどが入り、「花の咲き分け」の不思議さに驚かされます。「花の咲き分け」は「源平咲き」などとも呼ばれます。それは源氏の旗が白色、平氏の旗が赤色だったことから、そう呼ばれています。この「源平咲き」は、モモや、ウメでは有名で、ツバキやツツジの仲間でも見られます。

今回紹介する奥村邸の五色散椿は、1本の木で4本の幹があり、それぞれに紅色、ピンク色、白色で紅の絞りが入ったりしています。幹を子細に観察しても、接木した跡は見られません。このような「咲き分け」が起こる機構としては、トランスポゾンと呼ばれる染色体の中を動く遺伝子が関係していると推定されています。ツバキの赤色はアントシアニン色素が合成されるためですが、その生成されるいくつかの過程の酵素にトランスポゾンが関与し、その生成をブロックします。この過程が完全にブロックされると白色になります。一方、部分的にブロックされる場所とされない場所がある場合には、ブロックされない場所ではアントシアニンが形成されそこだけに絞り模様になって紅色が発現します。

奥村邸は上賀茂神社の少し北の柊野(ヒラギノ)地区にあり、京都市の天然記念物に指定され、次のような説明があります。

「柊野の散椿(チリツバキ) 

散椿は、ツバキの園芸品種で、花弁がそれぞれ離れて散るところから、その名がある。 この柊野の散椿は、本来一本であったが、後に根元に土盛りがなされたため、現在は地表で四幹となっている。各幹がそれぞれの方向に伸長して形成する樹冠は散椿としては極めて大きく、全国的に見ても有数の規模の貴重なツバキである。花は赤と白の咲き分けで、毎年四月には見事な花を数多くつける。昭和五十九年六月一日京都市指定天然記念物に指定された。」

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奥村邸の五色散椿

1本のツバキの木に、このような「咲き分け」が起こり、紅、ピンク、白地に紅絞りの花が咲き、非常に豪華です。花は花弁ごと落花しないで、花弁がハラハラと散ります。

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ツバキの基本色と模様

参考までにツバキの基本色と、その模様の主要なパターンを示しました。

 

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奥村邸椿・紅、桃、縦絞り

この枝では中央部に紅色の花が咲き、その周囲にピンク色あるいは白地に紅の縦絞りの入った花が見られます。

 

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奥村邸椿・縦絞り、紅

この枝では左側には白地に紅の縦絞りが入った花が多く、その右側では紅色の花が多数見られます。

 

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奥村邸椿・紅、縦絞り

この枝では紅色の花が多数見られ、中央に白地に紅の縦絞りの入った花が少し見られます。

 

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奥村邸椿・紅、縦絞り

この枝でも紅色の花が多数見られ、その周囲に白地に紅の縦絞りの入った花が見られます。

 

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奥村邸椿・縦絞り、紅

この枝では白地に紅の縦絞りの入った花が多数見られ、その中に紅色の花が混在して見られます。

 

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奥村邸椿・縦絞り

白地に紅の縦絞りの入った花を、少し大きく拡大して見ました。縦絞りが花弁によってその場所もそのスぺ-スも変わっています。

 

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奥村邸椿・縦絞り

白地に紅の縦絞りの入った花をさらに大きくして、一花だけ示しました。

 

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奥村邸椿・紅

これはアントシアニンが完全に生成された、紅色の花です。

 

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奥村邸椿・小絞り

これは白地に、ほんの少しだけ紅色の絞りが入った、小絞りの花です。

 

 

 

少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介  に載せますの

でそちらもご覧下さい。

関連の記事が 園芸植物・園芸事情  にもありますので、ご覧ください。

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