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2018年3月29日 (木)

・如月から弥生に移る頃、キンポウゲ科のフクジュソウ、バイカオウレン、セツブンソウとミスミソウの花が咲いてきました

平安の昔には自然に生えていた山野草も重要なビタミンなどの補給源でした。貴重なミカン類も囲ってあったものはなくなり、春の七草などを求めて雪の中に、平安人は若菜を摘みに出かけたことでしょう。お世話になった人にも届けたりしたこともあったでしょうし、季節の変わり目を喜びながら野山を散策もしたことでしょう。

「君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ」百人一首の 光孝天皇の和歌が思い出されます。またこれ以外にも、七草摘みの歌はいろいろあるようです。「若菜つむ 飛火の野守 春日野に けふ降る雨の あすや待つらむ」 藤原定家

「かへりみる 都は野辺の 朝霞 たてるいづくに 若菜つむらん」  順徳院

明日よりは 春菜摘まむと標めし野に 昨日も今日も雪は降りつつ山部赤人
 

 若菜ではありませんが、京都植物園で見た春の訪れを感じさせるキンポウゲ科4種の花を紹介します。

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キンポウゲ科4種の花

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バイカオウレン                               バイカオウレンはキンポウゲ科オウレン属の常緑性多年草です。漢字では梅花黄蓮で、学名はCoptis quinquefolia です。花期は4-6月で、高さ4-15cmになる褐色を帯びた花茎を出し、1個の花を上向きにつけます。バイカオウレンは次のセツブンソウとよく似ていますが、オウレンの仲間は常緑なのに対して、セツブンソウは地上部が枯れて休眠します。また、バイカオウレンの花の下には苞葉がありませんが、セツブンソウでは苞葉が付いています。

 

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バイカオウレンの花

 日本固有種で、本州の福島県以南と四国に分布し、山地帯から亜高山帯の針葉樹林に生育しています。花期は4-6月で、高さ4-15cmになる褐色を帯びた花茎を出し、1個の白色の花を上向きにつけます。

 

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バイカオウレンの花(拡大) 

花弁のように見えるのはガク片で、5枚あります。花弁はその内側にありますが、奇妙なことにキンポウゲ科の多くの花では花弁が変形して蜜腺になり、バイカオウレンでは匙形になっています。黄色で萼片より小さくなって、まるで雄しべのように見えます。花弁の内側にあるおしべの花糸、葯、花粉は白色です。白いおしべの中にある緑色の部分は、雌しべの花柱です。 

 

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セツブンソウ

 セツブンソウはキンポウゲ科セツブンソウ属の多年草です。漢字では節分草で、学名はEranthis pinnatifida です。日本固有種で本州(関東地方以西)の特産で、石灰岩地を好む傾向があります。まばらな温帯夏緑林の林内や、山すその影地などに生育します。

 

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セツブンソウの花

 地下に直径0.8-1.5cmの暗褐色をした球状の地下茎をつけます。花は茎先に単生し、白色で直径2-2.5cmの花を、2-4月につけます。セツブンソウの花には苞葉が付いています。開花後の晩春には地上部が枯れて休眠し、晩秋から冬の間に萌芽してきます。

 

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セツブンソウの花(拡大)

 バイカオウレンと同様に、花弁のように見えるのはガク片で5枚あります。ガク片の内側には蜜を出す器官になった花弁があり5~10個あり、筒状になっておりその先は二つに分かれて2唇形となっています。黄色から橙黄色になり、蜜腺になっています。雄しべは多数あり、葯は紫色をしています。

 

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フクジュソウ

 キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草です。漢字では福寿草と書き、学名はAdonis ramosaです。別名はガンジツソウ(元日草)ですが、毒草です。東部シベリア、中国北部、朝鮮半島、日本に分布しており、日本では北海道から九州にかけて分布し山林に生育しています。

 

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フクジュソウの花

 夏になると地上部が枯れ、初春に花を咲かせます。根には強心作用、利尿作用があり民間薬として使われることがありますが、毒性(副作用)も強く素人の利用は死に至ることもあり危険です。特に、地面から芽を出したばかりの頃は、フキノトウと間違えて誤食しやすく、また若葉がヨモギの葉に似ていて危険です。中毒症状は嘔吐、呼吸困難、心臓麻痺などで、重症の場合死亡します。

 

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フクジュソウの花(拡大)

 花期は初春であり、3-4cmの黄色い花を咲かせます。萌芽後は茎が伸びず、包に包まれた短い茎の上に花だけがつきますが、次第に茎や葉が伸びて、いくつかの花が咲きます。葉は細かく分かれています。卵形のガク片は暗緑紫色を帯び、花弁は長楕円形または広披針形で多数あり、花弁は普通では黄色ですが、帯紅色や白色のもあります。花弁の先には微細な歯状の切れ込みがあり、一般にガク片より長くなります。

 

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ミスミソウ

キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草です。漢字では三角草と書き、学名はHepatica nobilis)です。雪の下でも常緑であることからユキワリソウ(雪割草)とも呼ばれます。ただし雪割草にはこのミスミソウ(雪割草)とサクラソウ科サクラソウ属のユキワリソウの2種類があり、漢字とカタカナ表記で区別しているようです。

 

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ミスミソウの花

 北半球の温帯に自生し、日本では本州の中部以西の山間地に多く生育しています。葉は常緑で三つに分かれて、三角形に近い形をしています。花弁のように見えるのは先のセツブンソウ・バイカオウレンンと同様に68個のガク片で、色は白、紫、ピンク色などがあり、この写真では赤色をしています。雄しべの色も、この種類では白色をしています。

 

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ミスミソウの花(拡大)

 花の下には3個の総苞片がつきます。雄しべは多数つき、葯が白色~淡紅色をしていて、花弁はありません。花色は白色、桃色、赤色や紫色と、野生植物としては珍しく多彩です。

 

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ミスミソウ

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ミスミソウの花

この種類では、花の色は紫色をしています。

 

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ミスミソウの花(拡大)

  6枚のがく片は紫色をしており、前の赤色の花と形状は同じです。

 

少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介  に載せますの

でそちらもご覧下さい。

関連の記事が 園芸植物・園芸事情  にもありますので、ご覧ください。

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