・植物園内にある半木神社の池周辺でも木々の紅葉が進んでいました
先に京都府立植物園では、イチョウの木とケヤキの木々が紅葉を始めていたことを紹介 しました。正門から入ってまっすぐ進むと大温室の前を通り、桜の木々の間を抜けると半木神社に着きます。半木は「なからぎ」と読み、この辺りは古くからこの地域の地名でした。しかしこれが読めない人が増えたせいか、今では「はんぎ」と振り仮名が住所標識などにふってあり驚きます。
紅葉(こうよう)と書くとモミジとも読み、また晩秋に落葉広葉樹の葉の色が紅葉や黄葉に変化することも意味します。また、モミジと打ち込むと紅葉あるいは黄葉に変換されます。モミジという植物は意外となくて、一般にカエデの類が対象となり、何か特定の植物を意味するものではありません。また色の変化も紅葉、黄葉と褐葉などの色の区別はなかなか難しい場合が多く、一般には紅葉と表現されることが多いようです。
落葉広葉樹の葉は常緑樹の葉とは異なり、一般に薄くて冬の寒さに対する抵抗性はなく、落葉することで木自体の身を守ります。先ず光合成をしていたクロロフィルが分解されます。その過程で種類によってクロロフィルが分解して元からあったカロチノイドが目立ってきたり、アントシアニンなどの色素ができたりして紫外線などから葉を守ります。その間に、葉に蓄えられた養分を茎や根に回収します。元からあったカロチノイドを持つ葉は黄葉し、アントシアニンができた葉は紅葉します。養分の回収が終わるとエチレンなどの老化ホルモンが作られて葉の基部に離層ができ、枝から葉は離れ落ちるようになります。回収された養分は、春になって新しい葉ができるのに使われます。
紅葉
落葉樹に交じり常緑樹もあり、紅葉の色合いが非常に複雑で、微妙な紅葉の色合いが楽しめました。
紅葉
手前にあった一本の木の先端から、紅葉が始まっていました。
紅葉
紅葉の度合いの一番進んだ部分を、拡大して見ました。黄色から橙、赤色と変化していくように見えます。
半木神社
桜の木々の間に半木神社がありますが、その周りでも紅葉が始まっています。この半木神社は植物園が大正13年にできる前から既にあった神社で、上賀茂神社の末社になっています。来週の27日には、半木神社の春祭りの祭礼があり出席予定ですが、春祭りの事は先に紹介しています。
この地域は、かつて賀茂氏が大和の国より移動し、定住の地と決め開墾した土地で、この辺りには天然生の桑の木が育っていました。当時すでに加茂氏と婚姻関係を結んでいた秦氏が協力して養蚕業を起こし、続いて絹織物の製造に従事しました。その後この地は平安時代の後一条天皇の時代、朝廷より正式に賀茂別雷神社(上賀茂神社)の社領地として寄進され、養蚕・絹織物染色業界の守護神として広く崇敬されています。
紅葉
まだ緑色の残ったモミジの木から、遠くに紅葉した木々を見た景色はやや緑が多いようですが、紅葉部が一層綺麗に見えます。
紅葉
もう少し近寄って、緑の葉と紅葉した葉とを並べてみました。
紅葉
半木神社の周辺には池があり、ちょうど鴨がのんびり泳いでいました。
鴨
鴨にちょっと近寄ってみました。野生種の「カモ」の多くは渡り鳥で、日本より北の地域から越冬のため日本にやってくる冬鳥として知られており、冬場の河川や湖、海岸などに見られます。右に色の違う2羽がいますが、手前は雄で奥の方が雌になります。
オスは黄色のくちばしに、頭部が濃緑色で、首に首輪のような白色のラインがあります。メスは黒とオレンジ色のくちばしに、黒褐色の斑がある褐色の体毛を持っています。
鴨
子供が近くで餌をやっているためか、たくさんの鴨が出てきて餌をついばんでいました。
紅葉
逆光で紅葉した木々を見るとこの幹が黒くなり、葉の紅葉が一層鮮やかに見えました。
紅葉
池の上の方を覆う木々では、高さにより紅葉の度合いも異なり、複雑な色合いでした。
紅葉
赤味の濃い部分はこのような色合いで、鮮紅色から同じ赤でも橙色の濃淡が見られ、また一部には黄葉もありました。
紅葉
池の周囲ではこのように、まだ緑の葉の多い個所もあり、緑と赤のコントラストに見とれていました。
紅葉
特に赤色の濃い部分を通して、奥の緑の葉と眺めてみました。一部に薄紅い部分もあるのに気が付きました。
紅葉
これでは逆に緑色の葉の方から、奥の赤い紅葉の葉を組み合わせてみました。中々いろんな色合いがあり、思わずたくさんの写真を撮ってしまいました。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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