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2017年5月 7日 (日)

・夜桜で平安人から愛されてきた平野神社の4品種の桜を紹介します

前回にも川の水に映るサクラの花を紹介しましたが、やはりサクラと言えば平野神社の桜を落とすわけにはいきません。平野神社は奈良の平城京宮中祭られており、御所や都の災いを鎮めるお守りをしていました。794桓武天皇平安遷都に伴いこの地に鎮座してきた神社ですが、神社ごと京都に移ってきたのは、数ある神社の中でもここ平野神社だけです

平野神社には原木の桜など貴重な品種や珍種も多く、その種類は約50種あります。円山公園枝垂桜の祖の桜も含め、境内には約400の桜があり、春の夜桜は特に有名です。10月頃から十月桜が咲き続け、冬に訪れたときには寒桜が咲いていました。拝観料は無料で、いつ訪れても落ち着くところです。

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平野神社の桜

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寝覚

門を入ってすぐ右に10月桜の木があり、その横には私の好きな寝覚の桜の木があります。平野神社の代表的名桜です。花は白色の一重で、葉が茂ると同時に開花してきます。花弁が白く可憐な桜で、葉の薄緑色とのバランスが素敵で、花には芳香があります。萼筒は長い鐘形で、花弁数は5~8枚あります。

 

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寝覚の枝

 近寄って枝を見ると、このようにたくさんの花の花弁の白色と中心部の薄緑部、更に萌芽してきた若葉の薄緑との組み合わせが落ち着いた風情を醸し出します。

 

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寝覚の枝

もう少し近寄ると展開してきた若葉の緑色が一層鮮やかになります。

 

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寝覚の花

 花はこのように5から8枚の花弁が重なり合って、その中に薄緑色の雌しべと多数の雄しべを取り囲んでいます。雄しべにある先端の葯も、心なしか薄緑色をしているようです。

 

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八重紅枝垂

その左側の本殿寄りには、四方に枝を広げた有名な八重紅枝垂れの木があります。枝先にはしっかりと支えの支柱があり、四方八方に枝を伸ばしています。つぼみから開花するにつれ色が合わるため、いろんな色どりの花が見られます。

 

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八重紅枝垂の枝

 これは古くから栽培されている品種で、枝は長く垂れ、花も下垂し、開花は葉に先行します。花期はシダレザクラやベニシダレザクラと比べてやや遅いようです。多くの八重の花が本当にたくさん、押し合いをするように着いています。

 

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八重紅枝垂の花

一つ一つの花を見ると、萼筒は濃紅紫色で太い壷形をしており、たくさんの毛が生えています。花弁は1520枚で、楕円形でややねじれているようです。蕾から花弁が展開するにつれて、花色が濃紅紫色から淡紅紫色へと美しく変化します。

 

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御衣黄櫻

御衣黄の花はまだ少し開花には時間がかかりそうでした。御衣黄桜江戸時代京都仁和寺で栽培されたものが初めとされており、名前の由来は平安貴族衣服萌黄色に近いため、御衣黄桜と呼ばれました。江戸時代長崎に来たシーボールトの持ち帰った標本が、現存するといいます。京都では平野神社と共に、千本釈迦堂の御衣黄櫻が有名で、先に紹介しています緑色八重桜濃赤色と共に私の好きな色ですが、鴨川の堤や哲学の道横にもあり、先に紹介していますので、詳しくはそちらをご覧下さい。御衣黄桜も全国に広がり、各地で見られるようです。

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御衣黄櫻の蕾

 たくさんの緑色をしたツボミは開花を待ちわびているようで、花首も伸びてきています。

 

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御衣黄櫻の蕾

どの蕾も基部の葉は開きかけ、あとは蕾が膨らんでくるのを待っているようでした。

 

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八重

桜園の南側にも大きな門がありその周囲にはツバキや常緑樹に交じり、八重の花がしっかりと咲いていました。

 

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八重の枝

八重桜は一つのサクラの品種ではなく、八重咲きに花を付けるサクラの総称で、ヤマザクラに対して里に咲くためサトザクラとも呼ばれます。花弁の枚数は300枚近くになる例もあり、多くはヤマザクラやソメイヨシノに比べて開花期が12週間ほど遅く、ちょうどソメイヨシノが散るのと同じ時期に開花を始めます。

 

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八重の花

花はやや大きめで丸くふんわりとした形になり、一輪から非常に豪華に花弁を重ねるものまであります。塩漬けにした花にお湯をそそぐと桜湯(桜茶)になり、お正月や婚礼などめでたい席にはお茶代わりに使われますこの濃いピンク色の桜を見ると、関西の桜餅をつい連想して、食べたくなります。

 

 

少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介  に載せますの

でそちらもご覧下さい。

関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。

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コメント

京都はお寺もたくさんありそこに植えられた種類も豊富な桜。
計算されつくした中の桜なので、とてもなじんで咲いている気がします。
どこへいっても桜を楽しめる京都がうらやましいです。
外国人観光客も覆うのでしょうネ。

寝覚の白い清楚な桜もすてきですが、
八重紅枝垂れ桜も。。。。濃いピンクが魅力ですね。
1つ1つの花びらに少しフリルがかっておしゃれは桜ですね。

投稿: 野花 | 2017年5月10日 (水) 18時07分

こんにちは 野花さん

見て頂き有難うございます。ちょっと時期的には遅いのですが、春はいろんな花が
咲きだすので、記事のアップが遅れてしまいます。

住んでいるあたりには世界遺産がずらりとあり、古くからのお花もたくさん植えて
あるので本当に散歩コースに恵まれています。

街中で見る染井吉野は余りにも上品すぎて、川の土手などで見る方が風情があるのではと思い、
緑色がかった桜や濃いピンクの花に魅かれます。
八重の紅枝垂れは本当に艶やかで、花弁も中々お洒落で人目を引いていました。

投稿: プロフユキ | 2017年5月11日 (木) 15時41分

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