・クリスマスならぬ4月に、いろんな色合いのクリスマスローズの群生を見てきました
4月中旬に京都府立植物園に用事で行った際、仕事が早めに終わったのでバラ園横のチューリップ花壇を見に行きました。途中バラ園の中央あたりには、大きなヒマラヤスギの木があります。いつもはその根元にはキヅタが広がっていたように思いました。しかしキヅタは見当たらず、その代わりにいろんな色のクリスマスローズが今を盛りにと開花していました。
クリスマスローズは名前からすると、4月に咲くのはおかしいと思われる人も多いことでしょう。私もそのひとりで、ベランダで栽培していても咲くのはいつも春でした。
調べてみると、日本に最初に入ったクリスマスローズはヘレボラス属のニゲルという種で、クリスマス頃に咲くためそう呼ばれていました。その後日本に入った同じ属のオリエンタリスという春咲き系統が現在では主流になっていますが、同じ名前で呼ばれるため違和感があるようです。イギリスではこのオリエンタリス種のことを、レンテン(四旬節)ローズと呼んでいるようです。
クリスマスローズ
写真を撮っていると、9種類の違った色合いがあるようでした。
ブルーの株
綺麗なブルーの花でした。クリスマスローズはキンポウゲ科ヘレボラス属の多年草で、原産地はヨーロッパから西アジアです。耐寒性はありますが、高温多湿には弱いようです。鉢植えでは秋~春の生育期はよく日の当たる場所におき、夏の半休眠期は風通しのよい日陰に置くようにすればよいようです。
生育期には土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、半休眠期はそれほど水分を要求しないので、土を多湿にしないように気をつけます。と言って真夏でも極端な乾燥は根を痛めるので要注意です。
ブルーの花
約5枚の花弁のように見えるのはガクで、花弁は退化して小さな蜜腺になっています。ガクは5枚以上になって、ダブルになる場合もあります。ガクの色は緑、白、紫、ピンク、黄色などがあります。中央の雌しべを多くの雄しべが取り囲んでいます。花はみな下を向いて咲くのでまるで「ウツムキローズ」で、内部の写真を撮るのが大変です。
極薄緑色の株
D
極薄緑色の花
ガクの外側の色はほとんど白色で、内側は極薄緑色で赤茶色の細かい斑点模様があります。
白色の株
白色の花
ガクの内側も外側も白色をしています。中央の雌しべを20数本の雄しべが取り囲んでいます。
薄茶色の株
薄茶色の花
この株ではガクの外側も内側も薄茶色をしており、内側の方がやや濃いようです。もう受精が終わったのか、雄しべと蜜腺は落下、雌しべの基部は膨らみかけています。
薄赤茶の株
薄赤茶の花
花がまだつぼみか若いうちにはピンク色をしており開花するにつれ、薄赤茶色になります。この花でも子房が膨らみかけています。この花ではガクの内側には斑点模様は見られないで、薄く葉脈らしきものが見えるだけです。
赤茶色の株
赤茶色の花
先程の花よりこの花では、ガクの外側の色のピンク度が増しています。ガクの数がかなり増えて、八重化しているようです。
薄緑色の株
薄緑色の花
ガクの外側は白色で、内側は薄緑色をしています。中央に5本に分かれた雌しべを、多数の雄しべが取り囲んでいます。雄しべの基部に丸い構造が見えますが、これは花弁が蜜腺に変化したものでかなり大きくなっています。
D
緑色の株
緑色の花
ガクの内側も外側も緑色の花です。ガクの内側には多数の斑点模様があります。この花でも受精が終わり、雄しべと蜜腺は落花し、5本にわかれた子房が大きく膨らんでいます。中にはたくさんのタネが入っていることでしょう。タネを取らない人は、早めに花を摘み取った方が、株の余分な消耗を防げます。
良い花を咲かせるためには、11月~1月にかけて古い葉を除去し、日が当たるようにしえ新しい葉の萌芽を促進させた方が、その後に良い花が着くようになります。
薄黄緑の株
薄黄緑色の花
ガクの内側も外側も薄黄緑色の花で、ガクの内側に顕著な斑点模様は見られません。受精は終わっているのか、雄しべや蜜腺は見られません。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
プロフユキ先生
こんばんは。
クリスマスローズがこれほど種類があるとは存じませんでした。
夫々いい色合いですね。好きなお花の一つです!
2010年4月に行ったイギリス・ケント州の旅で立ち寄った「リーズ城」で
桜と水仙にクリスマスローズが咲き誇っておりましたよ。
私も以前、末妹から誕生日のプレゼントに鉢植えをもらったのですが、
いつの間にか?消えてしまいました!
投稿: マコママ | 2017年5月19日 (金) 22時06分
こんにちは マコママさん
クリスマスローズを見て頂き有難うございます。いろんな色合いの花があるものですね。
それに模様も色々。
でもみんなうつむいているのも何かほほえましいです。うちでもよく枯らしますが、
夏場に強い光が当たり、それにツイ暑いだろうと水をやりすぎるのが良くないようです。
夏は日陰でそっと休ませるべきでした。
私はケント州の東側、リーズ城近くのアッシュフォードに住んでいました。リーズ城は
大好きなところで、よく行きました。女王様が主人らしく可愛いいお城でしたね。
イングランドの春は遅く、4月になって一気にスイセンやクリスマスローズなどが
咲きだしますね。
投稿: プロフユキ | 2017年5月20日 (土) 00時10分
大好きなクリスマスローズのお写真に見入ってしまいました。
花の形、色合い、葉のつき方から、うつむき加減といい。。。。微妙に少しずつ違っていて、どれも魅力的ですよね。
花の最盛期はもっと前だとは思うのですが、花の時期が長くて、うちの家でもいまだに花をつけています。
花の種が大きくなると栄養分を吸い取って、来期咲くのが衰えてしまうので、種はできるだけ取ってありますが~
これだけの花が咲くと、そんなことも必要ないかな?
やはり地植えで、のびのびと咲く姿が一番良い感じがします。
ブルーのクリスマスローズは一度お目にかかりたいです!
投稿: 野花 | 2017年5月23日 (火) 12時46分
こんにちは 野花さん
クリスマスローズってとっても素敵ですね。でもよく今まで鉢植でしたが、
枯らしてきました.
夏場に日光に当てすぎて、また水をやりすぎていたようで、冬に咲く花だというのを
忘れていました。
うつむき加減で控えめに咲く様子は可憐ですね。いろんな色があり驚きます。ブルーのは
。
黒百合のようでいいですよ
中にすぐ大きなタネが着くようですから、やはりタネは取った方が良いように思います。

やはり地植えで育てたいです。鉢植はなかなか管理が大変で、地植えが羨ましいです。
投稿: プロフユキ | 2017年5月23日 (火) 22時25分