・ロウバイに続き春を告げるサンシュユ、アンズ、アセビとアメリカハナノキが咲いてきました
昨年の夏の暑さが長引いたせいか、今年のツバキの開花がやや遅れ、ツバキ展に展示するツバキのための花寄せにやや苦労しました。ツバキの花芽分化の時期は、花が咲き終わってしばらくした6~7月頃です。ところが寺院などで秋に庭師をいれて剪定をした際に、他の樹木との関係で椿の先端が切り取られ、せっかくできた花芽が落とされてしまった場合もあったようです。何時も咲いていたのにねと、残念そうに語っておられた庵主さんが残念そうに語っておられました。数少ない花を何とか頂いた後、どうぞと言われて抹茶とお菓子を頂きましたが、お部屋には可愛いお雛様が飾られていました。
そんな訳で他の木の花はどうかと、京都府立植物園に出かけてみました。ウメの花が咲き早咲きの桜が咲きかけた横に、ロウバイに続いてサンシュ、アンズ、アセビとアメリカハナノキが春の訪れを告げるように咲きだしていました。
早春の花
サンシュユ
ミズキ科ミズキ属の落葉小高木で、原産地は朝鮮半島です。学名はCornus officinalis.主な開花期は3月~4月上旬で、葉の出る前に5㎜ほどの黄色の花を枝いぱいに咲かせます。
サンシュユの花
春を告げる花木の一つで庭木や公園木、更に切り枝として利用されています。満開の花が黄金色に輝くことから春小金花(ハルコガネバナ)の別名があります。花の終わったあと10月ごろに、グミに似た赤い楕円形の果実をつけることから秋サンゴと呼ばれ、食用になります。
杏(アンズ)
バラ科サクラ属の落葉小高木で、ヒマラヤ~フェルガナ盆地が原産地です。別名のアプリコットと英名で呼ばれることもあります。主に果樹として扱われますが、サクラによく似た綺麗な花を3月~4月頃に咲かせます。平安時代にタネが杏仁(きょうにん)と呼ばれ咳止めや風邪の予防の生薬として利用されていたようです。タネの中の核を粉にして、杏仁豆腐(あんにんどうふ)の独特の味を出すために使用されます。
杏(アンズ)の花
東亞糸と欧州系があり東亞系は加工用に、欧州系は甘味が強くて生食されたり加工用にも利用されます。「花葉見ず、葉花見ず」で、花は葉に先立って現れます。花色は淡い紅色で花弁は5枚でウメに似た風情があります。開花の2か月後、直径4~5㎝の橙黄色の果実をつけます。
馬酔木(アセビ)
ツツジ科アセビ属の常緑低木です。学名はPieris japonica で、漢字表記は馬酔木となり、別名はアシビです。原産地は日本で、東北より南の全国に分布しています。漢字で「馬酔木(あせび)」と書くのはアセボトキシンという有毒成分を含んでいるため、馬が食べると神経が麻痺し酔ったような状態になることに由来します。具体的な中毒症状は、吐く、下痢、腸からの大量出血などが挙げられています。
馬酔木(アセビ)の花
開花期は2月~4月で、春にスズランのような可愛いつぼ形の花を房状にたくさん付け、満開期には花穂が木を覆うように咲きます。普通には白色の花ですが、園芸品種には赤花、ピンク色の品種もあります。
蝋梅(ロウバイ)
ロウバイ科ロウバイ属の広葉の落葉性低木です。原産地は中国で、別名はカラウメです。学名はChimonanthus praecox. 今回はこの木だけが12月~2月頃に咲き、今年はまだまだ咲いていそうです。花の少ない真冬に鮮やかな黄色の花をつけます。光沢がありロウ細工のように見える花弁であることから蝋梅と呼ばれ、花弁は黄色で、中心部は暗紫色になります。日本には江戸時代に入り、庭木や生け花などに利用されてきました。
蝋梅(ロウバイ)の花
早生種は12月ごろから、晩生種では2月ごろから咲いてきます。ロウバイも葉が出るより前に、花が開花してきます。
アメリカハナノキ
カエデ科カエデ属の耐寒性のある落葉低木です。原産地は北メリカで、学名はAcer rubrumです。別名赤カエデ(アカカエデ)とか紅カエデ(ベニカエデ)と呼ばれ、北米で多く生えているカエデです。名前の通り、はじめ夕焼けのような温かいオレンジ色になり、次第に燃えるような美しい赤に紅葉します。早春の紅色の花も目を引きます。
樹勢が強く、よく生長します。
アメリカハナノキの花
丈夫で育てやすいカエデの仲間で、秋の紅葉がすばらしく暖地でも美しく色づき、寒冷地ではまぶしいほどの発色となります。雌雄異株で、雄花は花柄が短く上向きに咲き、白いおしべがたくさん突き出ています。雄しべの先端が黄色く見えるのは花粉です。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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