・4月初めに上品蓮台寺で見たミツマタ、ムスカリ、スモモの花とビワの幼果
京都の七条通は元の朱雀大路で、今も多くのお寺やお店でにぎわう大通りです。いつもの散歩コースでは千本釈迦堂 、千本閻魔堂と釘抜地蔵までで、その少し北にある上品蓮台寺(じょうぼんれんだいじ)にはなかなか行けませんでした。そこで今回は逆に紙屋川に沿って北上し、北大路通りに出てから東に向かい、千本通を南に歩くことにしました。少し歩くとやっと上品蓮台寺の大きなお寺の塀が見えてきました。
上品蓮台寺は聖徳太子の創建と伝えられる古い寺で香隆寺と称しましたが、960年に宇多法皇の勅願により再建され上品蓮台寺と改められました。広大な寺域に伽藍が立ち並んでいましたが応仁の乱の兵火で焼失しました。1592~96年に復興され、この蓮台野一帯に12の寺院が建立されたことから12坊の名前で知られるようになりました。境内には平安時代を代表する仏師・定朝の墓があり、春には枝垂れサクラが見事に咲き誇ります。サクラについて次回に紹介します。
上品蓮台寺のお花たち
上品蓮台寺
中々立派な門構えの格式あるお寺ですが、拝観は自由でたくさんの植物好きの人達がカメラを構えてきており、外国の人もかなり見かけました。
ミツマタ
正門ではなく北側の門から境内に入りましたが、何本かのミツマタの木がありました。京都の寺や神社ではよく見かける木ですが、樹形のまとまりがよくて花もきれいなためでしょうか、良く栽培されています。枝が必ずと言っていいくらいミツマタに分かれているのですぐ分かります。
ミツマタの花
白い花がたくさん集まり丸くなっています。
ミツマタはジンチョウゲ科ミツマタ属の木本で、原産地は中国です。学名はEdgeworthia chrysanthaで、冬に葉を落とす落葉性の低木です。樹皮は和紙の原料として利用されます。ミツマタを原料とした和紙は光沢があり丈夫でしなやかなで、破れにくいという特徴があります。それらの長所から、紙幣の原材料のひとつとして用いられており、高知県を中心とした地域で主に栽培されているようです。
ミツマタの花
花をアップしてみましたが、丸い花房はやや下に垂れています。花びらのように見える部分は筒状の萼で、本来の花びらはありません。花は下向きに咲き、ちっちゃな蜂の巣のような形態で、色は外側が白で内側が黄色です。開花時期はまだ葉が出ていないので、花が良く見え樹全体が色づいたようになり、とても綺麗です。花の基部から葉の新芽がにょっきりと姿を表しています。
スモモ
ミツマタを見て少し進んでいくと、スモモの木が何本か植わって花盛りでした。スモモはバラ科スモモ属で、学名はPrunus salicina です。原産地は中国、コーカサス地方
です。
スモモの花
スモモの花はサクラによく似た白い綺麗な花です。蕾のうちはまん丸い白い塊のように見えます。スモモは英語で「プラム」、フランス語で「プルーン」といいます。どちらかというと青果はプラムと呼び、乾燥させたものをプルーンと呼ぶことが多いようです。スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっています。地域によっては、ハダンキョウあるいはハタンキョウ(巴旦杏)とも呼ばれます。大阪では子どもの頃、巴旦杏と呼んでいたように思います。
スモモの花
花期は初春で、サクラによく似た白い花が咲きます。花芽分化は7 - 8月頃起こります。果実はスモモ系では6月下旬から8月中旬、プルーンの系統は9月頃収穫できます。写真を撮っていると丁度近所の人が通りかかり、「たくさんの実が着いて美味しいですよ」と教えてくれました。
ムスカリ
さらに進んでいくと、花壇の縁取りのようにして可愛いムスカリの花が群れになって咲いていました。我が家でも植えていますが、丈夫な花です。
ムスカリ(学名: Muscari botryoides (L.) Mill.)はツルボ亜科ムスカリ属の植物の総称です。地中海沿岸-南西アジアにおよそ40種が分布する球根植物です。植えっぱなしでもよく咲きますが、何年かに一度は球根を掘りあげた方が良いようです。
ムスカリの花
花は一見するとブドウの実のように見えることから、ブドウヒアシンスの別名があります。下から見ると花の先端が見えますが、横から見ているとまるでブドウの房のように見えます。
ムスカリの花
しかしたくさんの花が着くものです。開花期は3月初旬から4月末頃で、花色は鮮やかな青紫色ですが、近年は白色、コバルト色なども見られるようです。花弁はあまり開きません。
ビワ
境内の片隅にビワの木が何本か植わっていまして、葉の中になんだか丸いものが見えます。枇杷は学名: Eriobotrya
japonica)で、バラ科ニワ属の常緑高木です。原産は中国南西部で、多くは果樹として栽培されます。高さはおよそ10メートルほどになり、関西では良く庭に植えられているのを見かけます。
ビワの花
丸く見えた物は何と、ちっちゃなビワの実のようです。ビワは日本には古代に持ち込まれたと考えられており、主に本州南部や四国や九州に分布しています。冬には、枝先にやや黄色味を帯びた白い五弁の小花を咲かせます。
ビワの花
アップしてよく見ると先端の実が最も大きく、それより下の実ではまだ花の組織が付着しているようです。梅雨~初夏になれば、美味しい実になることでしょう。
花芽は主に春枝の先端に着きます。花芽分化期は11〜2月で、白い地味な花をつけます。花弁は5枚あり、葯には毛が密に生えています。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
上品蓮台寺には絵因果経という絵巻物(国宝です)があるので、名前だけは知っておりましたが、
お花がこんなに綺麗なお寺さんだとは知りませんでした。
前から一度訪ねてみたいと思っておりましたので、
今日、こうして見せて頂いて、嬉しかったです
投稿: unit fun | 2017年4月27日 (木) 15時23分
こんにちは unit funさん
良くご存知ですね、上品蓮台寺には国宝の絵因果経やほかにも文殊菩薩画像や
六地蔵画像があり、どちらも重要文化財になっていますね。やはり絵に興味を
お持ちなんですね。
中々格式もあるし境内も広く、いろんな花が植わっていて、近くの人にも親しまれていて、
紹介したスモモも「区民の木」になっているようでした。
また近い内に、他の花も紹介します。
投稿: プロフユキ | 2017年4月27日 (木) 17時28分