・3月に京都植物園で「早春の草花展」を見てきました
3月に京都府立植物園に行き、ちょうど始まっていた早春の草花展を見てきました。屋外では紅白梅に続き、早咲きの桜が咲きだしていました。大芝生の一角に簡易プラスチックハウスを建て、「早春の草花展」が行われていました。内部にはいろんなガーデンコーナーが設けられ、1,2年草から多年草までの花々が組み合わされていました。あるコーナーでは色とりどりのストックやキンギョウソウが所狭しと並べられ、別のコーナーでは観葉植物が組み合わされてそれぞれに花壇が作られていました。奥の方ではロックガーデン風に、岩と色とりどりのルピナスが組み合わされていました。さらに奥にはスイセン、マンサク、コブシ、シャクナゲと樹木の種類に移り、それぞれ春の訪れを演出していました。
早春の草花展
ガーデン1
ガーデン1では奥にストックが、手前にはワスレナグサやマーガレットなどで花壇が作られていました。ストックはアブラナ科アラセイトウ属の多年草ですが、日本では秋に播き春に咲かせる1年草として扱われています。原産地はヨーロッパで、開花期は3~5月です。花色は赤、紫、紅紫、ピンク、白などで、一重と八重系統があり良い香りがします。ワスレナグサはシソ科、ワスレナグサ属も多年草ですが、暑さに弱く1年草として扱われます。3~6月にブルー、白、ピンクの花を咲かせます。マーガレットはキク科モクシュンギク属の半耐寒性多年草です。原産地はカナリア諸島。5~7月と10~11月に咲き、基本的には花は白色か黄色の一重咲きです。
ガーデン2
ガーデン2では、黄色、薄黄色、赤色、ピン黄色などのストックが組み合わされていました。
ガーデン3
ガーデン3では、ネモフィラ、パンジー、デージーなどが組み合わされていました。ネモフィラはハゼリソウ科(ムラサキ科)ルリカラクサ属(ネモフィラ属)の1年草で、北アメリカ原産です。3~5月にブルー、白、黒に近い濃紫などの花を咲かせます。
ガーデン4
ガーデン4では芝生の上に、セラスチューム、タチテンモンドウ、ルピナスが組み合わされています。セラスチュームはナデシコ科ミミナグサ属の1年草です。銀色の葉に白く繊細な花を5~7月に咲かせます。タチテンモンドウはユリ科クサスギカズラ属の多年草です。花壇の縁取りなどによく使われます。ルピナスはマメ科ルピナス属の1年草または多年草で、北ア、メリカを中心に広く分布しています。3~6月に黄、オレンジ、赤、青、紫、ピンク、白色の蝶型の花をたくさんつけた花穂を長く伸ばします。
ガーデン5
ガーデン5でも芝生の上に、デージー、ブルーデージー、プリムラマラコイデスが組み合わされています。ブルーデージーはキク科ルリヒナギク(フェリシア)属の半耐寒性多年草。青色の花で中央部は黄色をしており、3~6月と9~10月に開花します。
プリムラ・マラコイデスはサクラソウ科サクラソウ属(プリムラ属)の1年草で、中国の雲南省原産です。2~4月にたくさんの花をつけ、色はピンク、淡紫、白などがあります。
ガーデン6
ガーデン6では赤色、紫色、ピンク色などのルピナスが岩の間に植えこまれ、手前にセアノサスが見えます。セアノサスはクロウメモドキ科ソリチャ属の常緑~反落葉性低木で、北アメリカ~中央アメリカが原産です。4~6月に、青紫やピンク色の花をつけます。低木からンブッシュ状になるものなどがあります。
ガーデン7
ガーデン7ではスイセンが落ち葉の間に、またそれにクリスマスローズが組み合わされています。クリスマスローズはキンポウゲ科 / クリスマスローズ属(ヘレボルス属)の多年草です。ヨーロッパから西アジアにかけて分布しています。12~4月にかけて開花し、色は緑、白、紫、ピン期、黄色などがあります。秋から冬によく日が当たり、真夏は日陰になるような場所が適しています。
ガーデン8
ガーデン8では、マンサクの木の下にミヤマヨメナが植えられています。
マンサクはマンサク科マンサク属の落葉小高木で、日本の本州の太平洋側から九州に分布します。1~3月に、黄色で細長い花弁がよじれたような花をつけます。ミヤマヨメナはキク科ミヤマヨメナ属の多年草草本です。春から夏にかけて白色の花が咲きます。ミヤコワスレはこのミヤマヨメナの花色の濃いものを選抜したものです。
マンサクの花
マンサクの花では奇妙に細長い花弁がよじれて、その先端が反り返っています。
シャクナゲ
一角にはシャクナゲの花が豪華に咲いていました。シャクナゲはツツジ科ツツジ属の低木で、ヒマラヤ周辺に多くの種類が分布しています。花の色は白あるいは赤系統が多いが、黄色の場合もあり、3~6月に開花します。
ガーデン8
ガーデン8では、コブシがたくさんの花をつけていました。コブシはモクレン科モクレン属の落葉広葉樹の高木で、日本原産です。早春に真っ白の花を咲かせます。
コブシ
コブシの花をアップしてみました。花は純白で、基部は桃色を帯びています。花弁は6枚で、中央に雌しべがありそれを多数の雄しべが取り囲んでいます。
西洋シャクナゲ
西洋シャクナゲは中国原産のシャクナゲがヨーロッパにプラントハンターによって導入されて、数多く交配が行われて改良された花です。赤、白、黄、ピンクなど花色も変化に富み、樹高や樹形も実に多様です。
タカクマミツバツツジ
コブシの下にはタカクマミツバツツジが咲いていました。タカクマミツバモミジはツツジ科ツツジ属の落葉低木で、鹿児島県大隅半島に分布する固有種です。4~5月頃、新葉の展開に先だって淡紅色~淡紫色の花を咲かせます。花の裂片の上側の弁に、濃桃のブロッチと呼ばれる斑点模様が薄く入ります。10本ある雄しべは長く伸び、先端が上に曲がります。
ヤマシャクヤク
タカクマミツバツツジの下には、ヤマシャクヤクが咲いていました。ヤマシャクヤクはボタン科ボタン属の多年草で、朝鮮半島と日本に分布します。開花期は4~6月で、白色の花をつけます。バナナに似た形状の3本の雌しべの周りに、先端が黄色の雄しべが多数付きます。花弁は白色で5~7枚あります。
カタクリ
一番下には、カタクリの可憐な花がありました。カタクリはユリ科カタクリ属の多年草で、日本各地に群生しています。早春に10 cm程の花茎を伸ばし、薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせます。以前はこの鱗茎から抽出したデンプンを、片栗粉として調理に用いていました。
フキノトウ
フキノトウの花
蕗の薹はお馴染みの早春を感じさせ、また賞味できる花です。フキは雌雄異株で、普通には株分けで増やされます。
バイモ
バイモの花
バイモは別名アミガサユリで、ユリ科バイモ属の半ツル性多年草で、原産地は中国です。花期は早春で、茎頂に2つほどの花を下向きに咲かせます。花径約3cmの鐘状花で、内側に黒紫色の網目状斑紋があります。そのため編笠百合とも呼ばれます。
サンシュユ
サンシュユは先に紹介しました。ミズキ科ミズキ属の落葉小高木で、中国と朝鮮半島に分布します。3~5月に開花し、若葉に先立って4枚の苞葉に包まれた花が木一面につきます。黄色の花弁は4枚で、反り返っています。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸事情 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
こんばんは。
見事な花々ですね?
毎年、3月に行われるのでしょうか?
一度だけ伺いましたが、何月だったか?
忘れました。機会がございましたら、
是非拝見させて頂きたいと思いました。
投稿: マコママ | 2017年4月11日 (火) 20時39分
こんにちは マコママさん
毎年2月から3月にかけて開催しており、今年は2月10日から3月20日までで、ほぼ
毎年同じ日程でやっています。
入園料は安いですが、70歳以上は無料です。JR京都駅から地下鉄が出ており、
北門入口が北山駅で便利になりました。
植物数も多いですし、ほぼ毎週何かのイベントをやっています。在職時からここの
運営にアドバイスをしたりしていて、今は植物園内に部屋をもって園芸倶楽部として
ボランティア活動をしています。
温室には珍しい熱帯のバオバブや、パンの木、カカオ、コーヒーの木など珍しい
コレクションもあります。機会がありましたら是非お出で下さい。
投稿: プロフユキ | 2017年4月11日 (火) 22時08分
こんにちは♪
たくさんのお花たちを見せて頂きました~ヽ(´▽`)/
当地では 同じ時季に咲かないものが
同時に見られて、まさしく春爛漫と言った風情ですね。
フキノトウ。
おなじみのフキノトウも、こんなに成長した姿には
あまり興味を示さない(食べるには薹が立ち過ぎですものね)せいか
ちょっとした感動でした。
投稿: 花mame | 2017年4月12日 (水) 16時58分
こんにちは 花mameさん
植物園も頑張って、ビニールハウスを3棟ほど連結し、いろんな花を集め
開花もそろえてくれたようです。
いつもはまたやっているなぐらいにしか思わなかったのですが、
今年は行ってみて頑張っているのを見て感心しました。
フキノトウはそうですね、こんなにまで伸ばすことはないので見た
ことはないでしょうね。
ホウレンソウの花とか、ゴボウの花もあんまり見かけませんが,
ゴボウの花は綺麗ですよ。赤紫色ですね。
投稿: プロフユキ | 2017年4月12日 (水) 22時42分
プロフユキさん こんにちは。
ワスレナグサが多年草だったとは今まで知りませんでした
日本の梅雨から夏にかけての高温多湿の環境は、ワスレナグサにとっては過酷過ぎて消えてしまうのですね。
でも、種が沢山こぼれて苗が育つから、大丈夫ですよね^^
バイモのお花はとっても好みです。
葉の先がクルンとなっているものとなっていないものがあるのが面白いですね。
冬に干し柿の下で綺麗な赤いバラが咲いている光景にほっこりしました♪
イザベルという名前も素敵だし、ミニバラなのに香りもよくて耐寒性もあるなんて素晴らしいですね。
美しさだけでなく、香り、花もち、耐病性、耐寒性などを追求して、世界中の育種家さんたちが頑張られているのですね。
投稿: 亜麻 | 2017年4月14日 (金) 12時10分
こんにちは 亜麻さん
ワスレナグサなど日本の高温多湿で夏を越せずに、1年草扱いになる種類も多いですね。
土壌反応も多分弱アルカリの方が適する種類も多いことでしょう。
バイモは葉先もそうですが、花弁の表側が内側になるため模様が外からあまり見えないのも
可笑しいですね。
ミニバラも見て頂いたのですね。やはり薔薇は育て甲斐がありますね。冬に立派な花を
咲かせているのに驚き、さすがデンマークの育種と感心しました。
家人はまだせっせと季節になれば、干し柿つくりに励んでいます。
投稿: プロフユキ | 2017年4月14日 (金) 17時30分