・北海道の余市で見事なサクランボとリンゴ、ブルーベリー、プルーンの果物を見てきました
北海道の余市に6月末に行く機会があり、見事なサクランボを見て来ました。サクランボといえば山形産が有名ですが、実は明治初年に北海道でサクランボ栽培が始まった歴史があります。明治新政府は農業の近代化促進のため、西欧の野菜・果物の導入のため、まず気候風土がヨーロッパに似た北海道でこれらの栽培技術・品種改良が始められました。農業教育機関として札幌農学校、駒場農学校と共に、京都府農牧学校が京丹波に設置されたことは先に、「日本三大農業教育発祥の地・京都府農牧学校の跡」で紹介しました。
余市にはNHKドラマ「マッサン」で有名になったニッカウヰスキーがありますが、冷涼な気候で果樹栽培にも適しており、サクランボ、リンゴに加えプルーン、ブルーベリーが栽培されており、余市で見かけたそれらの果物を紹介します。
余市の果物
びっしり実を着けたサクランボの木
サクランボは明治元年(1968)にドイツ人ガルトネルが北海道函館近くの七飯町に、6本の苗木を植えたことに始まります。その後明治5年(1872)、米国人ホラシ・ケプロンがサクランボ、リンゴ、ブドウ等西洋の果樹をアメリカより導入し、わが国の果樹栽培の歴史に一大改革をもたらしました。
サクランボの実の拡大
明治8,9年(1975,1976)に山形香澄町にもサクランボが導入されました。その後品種改良も進み、現在では山形がサクランボ生産の74%を、9%を北海道が生産しています。
更に拡大したサクランボ
このサクランボは6月下旬から収穫の始まる、‘佐藤錦’でしょう。
サクランボはバラ科サクラ属で、原産地はカスピ海沿岸地域です。サクラと同じ仲間ですから、ザクラに似た白っぽい花を咲かせます。
収穫間際のサクランボ1
‘佐賀錦’はサクランボの代名詞ともなった一番人気の品種。親は‘ナポレオン’ב黄玉’で、山形の佐藤栄助氏によって育成され、1914年(大正3年)に命名されました。果肉は乳白色で甘味と酸味のバランスがよく、食味も優れています。
収穫間際のサクランボ2
収穫のシーズンは6月中旬~下旬頃です。サクランボはカリウムの含有量が比較的多く、高血圧や動脈硬化の予防に期待できます。また、葉酸が比較的多く貧血予防にも効果的です。
黄色のサクランボ
これは黄色の果実で、‘月山錦’(がっさんにしき)は果皮が黄色く、甘味の強い大粒のサクランボです。中国から導入された品種で、国内では生産高が少ないため希少価値が高く、味もよいので贈答品としても喜ばれます。収穫は6月下旬~7月中旬頃。
リンゴの木
これも関西では見かけることの少ないリンゴの木です。品種は‘つがる’でしょうか。
拡大したリンゴの花
リンゴはバラ科リンゴ属の木本で、原産地は中央アジア方面です。花はこのようにナシと同じく白い花です。
拡大したリンゴの実
‘つがる’は‘ふじ’に次いで生産高が多く、果汁が豊富で甘味の強いリンゴです。‘ゴールデンデリシャス’と‘紅玉’を交配し、1975年(昭和50年)に登録されまし た。大きさは300~350g程度。9月中旬頃から出回ります。
更に拡大したリンゴの実
リンゴに多く含まれている水溶性食物繊維のペクチンが消化を促進させ、胃酸のバランスを整えてくれます。便秘や下痢にリンゴがよいといわれるのはこのためです。またペクチンはアレルギー性疾患の予防に有効だという報告もされています。さらにリンゴに含まれるポリフェノールの一種「カテキン」には抗酸化作用があり、高血圧やがん予防、老化予防に期待できます。同じくポリフェノールの一種である「ケルセチン」も動脈硬化やがん予防に有効とされます。リンゴはさまざまな病気の予防に効果が期待できるため、まさに「医者いらずの果物」と いえるでしょう。
そういえば子供のころ風邪気味で元気のない時、母が良くリンゴの実をダイコンおろしで果汁にしたものを作って飲ませてくれたことを思い出します。
ブルーベリーの木
ブルーベリーはツツジ科スノキ属で、原産地はアメリカ地方とされます。ケーキやジャムなどの材料としても人気のあるブルーベリーは、眼の健康維持や老化予防、がん予防などに効くのではないかともいわれていて、栄養面でも注目され生産が増えています。
ブルーベリーの実
ブルーベリーに多く含まれているビタミンEは、血液の循環をよくしてサラサラにする働きがあるといわれており、高血圧予防や動脈硬化予防に効果があるとされています。豊富に含まれているアントシアニンは、眼精疲労の改善に効果が期待できるほか、活性酸素を取り除く抗酸化作用があり、がん予防にも有効といわれています。
プルーンの木(矢印は果実)
プルーンはバラ科スモモ属で、コーカサス地方原産です。プルーンは「西洋スモモ」と呼ばれるスモモの一種で、果実は基本的に楕円形で果皮が赤紫~青紫色をしています。
この品種は‘スタンレー’で、9月上旬から10月上旬頃に出回ります。
プルーンの未熟果
生のプルーンは高血圧予防などによいとされるカリウムや、貧血防止に効果のある鉄分が比較的多く含まれます。またβカロテンは風邪予防や老化予防などに良いとされ、食物繊維は便秘予防に効果的です。プルーンの皮には抗酸化作用があるとされるポリフェノールの一種アントシアニンが含まれています。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 果実と樹木の紹介 に載せますの
でそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 日本の街角 にもありますので、ご覧ください。
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