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2015年5月 1日 (金)

・千本釈迦堂の境内で見た、御衣黄桜と普賢象桜の珍しい特徴を御存知ですか?

サクラバラ科スモモ属の落葉性広葉樹です。の出るより先に出てくることから、「花葉見ず、葉花見ず」と言われています。私たちはなにも違和感なく、サクラの花を愛でています。しかし、高校時代の友人がドイツからのお客さんの接待で東京から上洛して、サクラを見せたそうです。その反応は意外なもので、がなくてだけが咲いているのは何かグロテスクだという奇妙なものでした。ドイツにもサクランボがありサクラと同じようにが咲いているはずですが、気候条件日本ドイツではかなり異なります。日本ではからゆっくり暖かくなってになり、が咲きます。更に温度が高くなってきてが芽吹き出てきます。しかしドイツでは他のヨーロッパの国々と同様に、からになってもまだ温度は低く、近くなってやっと花と葉が揃って生長をしてきます。そのためドイツではを葉と一緒に見ているため、日本に違和感を感じたのだと思います。

 平安時代から日本人サクラの花を愛して、サクラ花の代表となって生活の中に溶け込み、多くの歌に歌われてきました。サクラの花をみれば学生時代に習った歌を思いだすことを12と紹介しました。日本人は古くからサクラの花を改良しようとして、多くの品種が育成されてきて、現在では600種以上の品種が確認されています。特に江戸末期にできたソメイヨシノ(染井吉野)は、明治末期には接ぎ木されて全国に広がっています。

家の近くにあり散歩コースの平野神社大阪の造幣局にあるなどサクラのコレクションを紹介してきましたが、これもごく家の近くの千本釈迦堂千本閻魔堂(引接寺)にも珍しい特徴を持つサクラがあることを知りました。そこで両寺を何度か訪れ、それらから満開するまでの過程を、千本釈迦堂サクラについて紹介します。


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御衣黄桜と普賢象桜

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御衣黄桜42

八重桜1品種で、花弁数1015枚くらいで、直径220cm花弁は肉厚

で反り返り、色はから淡緑色。中心部に紅色の条線があり、4月下旬ころの開花時に

は目立たないが、次第に中心部から赤みが増してきます。

 

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御衣黄桜42

 御衣黄は、黄色・緑色の花を咲かせるサクラとしてウコン(鬱金とともに古くから

知られていました。緑色葉緑素によるもので、ウコンはその数が少ないため、御衣黄

より淡い緑色をしています。ウコンの花は、昨年大阪の造幣局で見たものを先に載せていますので、そちらをご覧ください。

 

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御衣黄桜42

 御衣黄桜江戸時代京都仁和寺で栽培されたものが初めとされており、名前の

由来は平安貴族衣服萌黄色に近いため、御衣黄桜と呼ばれました。江戸時代長崎

に着たシーボールトの持ち帰った標本が、現存するといいます。緑色八重桜

赤色と共に私の好きな色ですが、鴨川の堤や哲学の道横にもあり、先に紹介しています

ので、そちらも御ご覧下さい。御衣黄桜も全国に広がり、各地で見られるようです。 
 

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御衣黄桜48

 4月の2日の御衣黄桜はほとんどがまだ蕾で、人目を全く引かずで、みんなのお目当ては阿亀桜に向かっているばかりで、御衣黄桜に目を向ける人はありませんでした。木全体が緑色っぽく、誰もサクラの木があるとは思っていないようでした。

 でも8日になると八重の蕾も大分開き、御衣黄桜らしい雰囲気を出してきました。

 

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御衣黄桜48

 このなどはかなり緑色八重花弁が、綺麗に開いてきています。

 

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御衣黄桜416

 やっと緑色八重の花が咲き、御衣黄桜らしくなり、花弁はかなり肉厚反り返ってその特徴をよく表しています。

 

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御衣黄桜416

 花をかなりアップしてみましたが、花弁数12枚くらいでしょうか。それと中央から雌しべが突き出していましたが、それも緑色でした。

 

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普賢象桜42

 これは普賢象桜で、普賢象桜里桜群1品種で、重弁大輪になります。4

下旬には最盛期を迎え、開花初め薄紅色をしており、その後徐々に白くなっていき

ます。普賢象桜と呼ばれるのは、の中央から2本の雌しべ細い葉のように葉化して

突き出ているためです。この雌しべ普賢象菩薩の乗る普賢象(きば)のように見

えるため、普賢象桜と呼ばれています。

 

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普賢象桜42

 花弁雌しべが変形して花の器官になったもので、花葉と呼ばれており、この

は一種の先祖帰り葉の形に戻ったものでしょう。普賢象桜千本閻魔堂(引接寺)

にもあります。千本釈迦堂千本閻魔堂は千本通りにあり、この千本通りはかっての

雀大路であり、その北端には船岡山があります。船岡山には平安時代には刑場があり、

その麓に植わっていた普賢象桜で、千本閻魔堂の発祥とされています。

 

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普賢象桜42

 普賢象桜のもう一つの特徴花弁がひらひら個別に落ちるのではなく、花全体ツバ

のようにポトリと落ちます。その様子が、斬首される囚人の姿に似ているため、中世

所司代はこのを獄舎の囚人に見せ、仏心を起こさせたと伝わっています。1409

後小松天皇の勧めでこの寺を参詣された足利義満はこの境内に咲き誇るこのに感

服されたようです。

 ツバキサクラと異なりこの普賢象桜のようにごと落花するのが普通ですが、先に

 

 紹介しました地蔵時の散り椿のように、サクラのように花弁がひらひら落ちる種類もあ

ります。本当に植物の世界も多種多様で、一言特徴を言い表すのは難しいものです。

 

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普賢象桜48

 前回の42日の普賢象桜はまだで、薄紅色をしていました。8日になると満開し、その色も白味が増してきて、重弁でかなり大輪になってきました。の中央から、その特徴となるめしべ葉化が顕著で2枚の葉が着き出ています。

 

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普賢象桜48

 この写真ではの時の薄紅色が、満開になるのにつれ白っぽくなり、柔らかい花弁がよく伸びてくるのが分かります。

 

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普賢象桜416

 16日では木全体が綿帽子を被ったようになり、柔らかい大輪満開してきました。 

 

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普賢象桜416

 満開の集まりごとにやわらかい塊となり、の周辺にはやや紅色が残り、中央部には純白になってきています。それぞれのの中央から、2枚の葉が着き出ています。

 

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普賢象桜416

 純白の中央から突き出るは、2とも伸びているのもありましたが、1が良く伸びているのもあるようでした。

 

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普賢象桜416

 416日でも普賢象桜は満開でまだ落花はほとんどなく、わすかですがこの2花全体ツバキのように落ちていました。

 

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八重桜48

 この写真は千本釈迦堂サクラを見た後、鴨川の堤で見た満開八重桜です。

 

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八重桜48

 満開に近づくにつれ花弁白くなりますが、基部雄しべなどの赤味は後々まで残ってて、その赤色が鮮やかでした。

 

 少し大きな写真特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 載せますのでそちらもご覧下さい

関連記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。    

 

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