・夏の間咲き続けたトレニアの花を観察し、雄しべ・雌しべの形に驚きました
先に踊るような優雅に咲くオンシジュームの花を観察し、その華麗な花弁を紹介しました。またパッションフラワーの複雑に発達した花弁(副花冠)も見事でした。更に、ラベンダー・セージの雄しべと雌しべが、受精しやすいように機能的に変化していることを前回紹介しました。
今回は夏の間咲き続けていたベランダのトレニアの花を見ていて、不思議なことに気づきました。それは、花弁はよくある唇状で不思議は無いのですが、雄しべと雌しべがちょっと分かりにくいことなのです。
トレニアの花
トレニア
トレニアはゴマノハグサ科トレニア属の一年草または多年草です。花付きがよくて育てやすく、暑さに強いなどの利点から夏の草花として、花壇、鉢、コンテナ植え、寄せ植えなど、夏の間咲いているのを見かけます。ゴマノハグサ科は旧分類で、新分類ではアゼナ科とされ、別名はナツスミレ、ハナウリクサです。花言葉には、ひらめき温和、愛嬌、可憐、可憐な欲望などがあります。
トレニアの花
ガクは筒状で2唇形に5裂しています。花弁(花冠)も筒状で5裂し、先は2唇形になり、2裂した上唇は直立します。写真では横向きになっており、左側が上唇で、右側に3裂した下唇があります。下唇の中央には黄色い模様があります。
とろこが先に書きましたように、普通の花とは違い雄しべと雌しべが複雑になっていて分りにくいのです。
トレニアの閉じた雌しべ
そこで、接写して観察してみると、上唇の基部から雌しべが突き出しているのが観察されました。しかし普通その先端の柱頭が開いている様子がなく、閉じているように見えます。
トレニアの開いた雌しべ
そこで他の花を観察してみると、この写真のように雌しべの先端の柱頭が開いているのが観察されました。調べてみると、トレニアの雌しべでは柱頭に花粉がつくと、その後確実に受精させるため柱頭が閉じてしまうようです。トレニアではこのように柱頭に刺激があると、柱頭が閉じるという柱頭運動反応を持っています。また、よくこの写真を見ると、雌しべの上と下に不思議な器官が観察されました。
トレニアの2種類のおしべ
トレニアでは5本ある雄しべの1本が退化してなくなり、上側の2本の雄しべはアーチ形につながり、下側に2本の雄しべは短く雌しべの基部にあります。おそらく受粉昆虫中の動きに合わせ、花粉が虫につきやすいよう上と下に分かれたものと思われます。
本当に植物は受粉・受精のために、様々な形を獲得しているものと感心します。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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