・これからますます需要の伸びるレモンバームの栽培と利用
ハウス栽培のレモンバーム
シソ科の多年草で、別名はセイヨウヤマハッカあるいはメリッサです。原産地は南ヨーロッパですが、北アメリカなどに帰化して広がっています。ギリシャ時代から、薬用にあるいは芳香を料理に利用されてきました。とくに葉は発熱,頭痛,風邪,歯痛などを抑える薬用として用いられ,また整腸剤,発汗剤,鎮静剤としても利用されています。
現在の主産地は地中海沿岸の諸国と,中央ヨーロッパ,アジアに広がっています。
高さ60cmくらいまで伸び、耐寒性があります。根はほふくして地中をよく伸び、旺盛に広がっています。茎には角があって直立し、葉は対生しその長さは約8cm、広卵形で毛があります。花はシソ科共通の唇形で、花色は白色で余り目立たちません。
葉には0.1 ~0.3%の精油が含まれています。その主成分はシトラール、ゲラニオール、シトロネロールなどです。葉はレモンに似た芳香があり、生葉を香づけとして使います。レモングラスよりも甘い香りがあるがアクがあり、苦味とえぐみも強いため、生食には向きません。料理にはバジル、オオバ、パセリ、ミントなどの代わりにも使えます。
レモンバーム
最近では,レモンバームが中枢神経系に対して鎮静作用をもつことが明らかにされてきています。また,精油には抗ウイルス作用や抗微生物作用,抗けいれん作用や,昆虫に対して忌避作用のあることも認められてきています。また、花は多量の蜜を生産するので,蜂蜜の良い材料になります。別名のメリッサはギリシャ語のミツバチに由来しています。
温暖な気候を好み、多日照のところが栽培適地になります。比較的に耐寒性は強く、また高温多湿にも良く耐えます。
レモンバームの葉
しかし、精油含量は寒さが厳しいと低下するため、温暖な地帯が適します。連作にも比較的強く、6~8年くらい同じ場所で栽培できます。
生長は旺盛で、環境適応性は強いが、多肥を要求するので肥料を十分施肥します。また、連作するため、土壌有機物も多く施用して、根が十分伸びられるようにしてやります。
株分けか挿し木で増殖します。一般には苗の生育が遅いため、3月頃保温下で苗床に播種して育苗するか、4月頃戸外の苗床に播種します。
2年目以降の生育は旺盛で良く伸びるため、秋か早春に地上部を刈って整理し、新梢がそろって出るようにしてやります。
レモンバーム入り牛肉ソテー
種子の発芽は緩慢で、20℃でも2~3週間かかり、その後の生育も緩慢に進みます。一般に温度が上昇してきた4月頃から生育は旺盛になり、開花期は7月頃~8月頃まで続きます。
生葉を利用する場合には、いつでも収穫できます。精油を取る場合には1年目には開花開始頃、2年目以降には更に9月頃にも収穫できます。収穫後は日陰か乾燥機で直ちに乾燥させます。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの ハーブの紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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