・先日、フジコ・ヘミングのピアノ・コンサート2013に行ってきました
フジコ・ヘミングのピアノ・コンサート2013が、5月13日の京都を皮切りに、16日東京、20日軽井沢と始まりました。京都のコンサートホールには大小二つありますが、コンサートは小ホールのアンサーブルホール・ミヤタで行われました。こじんまりしたホールで、彼女のピアノタッチを間近で拝見することができました。
(コンサートのポスター1)
フジコ・ヘミングは日本とヨーロッパで活躍するピアニストですが、父親がロシア系スウェーデン人(画家・建築家)で母親が日本人(ピアニストの大月投網子)で、ベルリンで生まれのハーフです。
(コンサートのポスター2)
5歳の時に日本に移住するが、軍事色が濃くなる日本に父ヨスタは家族3人を残し、一人スウェーデンに帰国してしまいます。幼くしてピアノの才能を認められ東京芸大を卒業後、ピアノ留学をしようとするが無国籍が発覚します。駐日ドイツ大使の助力により、赤十字難民としてベルリン芸術大学へ留学を果たしました。現在はスウェーデン国籍です。
(演奏曲目)
どの曲も素晴らしい演奏でしたが、これだけの曲を高齢にも、また耳のハンデイにもかかわらず見事に弾ききりました。彼女らしいと想われましたのは、やはり最後のリストの作品を華麗に演奏した時でした。アンコールには、ベートーベンのテンプテーションとショパンのノクターンでした。
優秀な成績でベルリン芸術大学を卒業後、ヨーロッパに残って各地で音楽活動を行うが、経済的には大変貧しく苦しい状況が長らく続きました。作曲家・指揮者のブルーノ・マデルナに才能を認められ、彼のソリストとして契約しました。
しかしリサイタル直前に風邪をこじらせ(貧しさで、真冬に暖房もできなかったため)、聴力を失うというアクシデントに見舞われました。16歳の頃右耳の聴力を失っていましたが、この時に左耳の聴力も失ってしまい、フジコは演奏家としてのキャリアを一時中断しなければならなくなりました。
失意の中フジコはストックホルムに移住し、耳の治療の傍ら、音楽学校の教師の資格を得て、以後はピアノ教師をしながら欧州各地でコンサート活動を続けていました。母の死後、1995年に日本へ帰国し、母校東京芸大の旧奏楽堂などでコンサート活動を行いました。
1999年2月11日にNHKのドキュメント番組『ETV特集』「フジコ〜あるピアニストの軌跡〜」が放映されて大きな反響を呼び、フジコブームが起こりました。その後本格的な音楽活動を再開し、国内外で活躍することとなります。
2001年6月7日にはカーネギーホールでのリサイタルを披露するなど、現在ではソロ活動に加え、海外の有名オーケストラ、室内楽奏者との共演と活躍は続いています。現在では左耳の聴力は40%回復しています。
曲の終りに大きな歓声?が上がり驚いて振り返ると、大月ウルフさんでした、でも心なしか、ヘミングはどこか嫌そうな顔つきでウルフを見ていたように感じました。その後も毎回彼のブラボーを聞きましたが、最後には舞台に上がり“皆も感動は表現するものだぞ”と叱られてしまいました。盛大な拍手があったのですが、もっともっと日本人離れした?感動的な反応を期待していたのでしょうか。
ピアノ演奏以外の趣味は絵画、裁縫、読書、水泳などで、バレエや映画の鑑賞も好んでいるようです。絵に関しては幼少時から得意としており、現在までに書き溜めた絵は本やCDのジャケットで使われています。やはりお父さんの才能の影響が、出ているのでしょうか。
様々な苦労・災難を受けてきた彼女は、「この地球上に私の居場所はどこにもない...天国に行けば私の居場所はきっとある。」と自身に言い聞かせていたと話しています。
そんな彼女らしく、彼女の描く絵にも「人生の艱難辛苦から逃れる道は2つある、音楽と猫だという」シュバイツァーの言葉を引用しています。
なんだかフジコを思わすような丸々として、どこか華やかな猫。彼女の愛猫も丸々として、それでいてどこか精悍そうな黒いネコでした。
この猫もちゃんと餌は貰っているが、何か満たされない想いがあるよう! ご主人の悩みを聞くのも大変なのだろうかと想ってしまいます。
同じく愛猫の黒い猫。マリ遊びに飽きて、大きな伸びをしているところか。
同じような猫だが、色合を変え、なぜか尻尾と右足にアクセントが。
これらの彼女の絵の宛名面には、可愛い彼女の自画像が小さく描かれています。
彼女の弟・大月ウルフは俳優で、カフェ・テアトロ『ラ・カンパネラ』を経営。ロビーで彼女のCD、ポストカードを売っていましたが、この写真どおりシルクハットをかぶり、時代がかった服装で目立っていました。ポストカードを買うと、このカードをくれました。
演奏曲の中で気に入った、シューマンのトロイメライとショパンの夜想曲を、YOU TUBEからお聞きください。
トロイメライ
夜想曲 第20番
彼女自身が描き上げた絵を美しいピアノの調べと共にご覧下さい。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの そのたの写真 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 随 想 にもありますので、ご覧ください。
| 固定リンク
「・随想 Random Thoughts」カテゴリの記事
- ・ウクライでは戦況に応じて記念切手を数回発行して国民を激励し、ヨーロッパ諸国などもウクライナ支援切手を発行しています(2023.04.16)
- ・4月のある日美術館えきKYOTOで、「久保 修の切絵の世界」を見てきました(2019.05.09)
- ・先日ウイングス京都での大菅誠司氏による「樂・遊書畫展」に家人と行ってきました(2018.10.26)
- ・知っているようで詳しくは知らない風呂敷の包み方を紹介します(2017.11.30)
- ・大阪の国立国際美術館で開催中のブリューゲル作の「バベルの塔」展を見てきました! (2017.10.01)
コメント