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2013年3月25日 (月)

・桜の花が咲けば、学生時代に習ったあの和歌が思い出されます

今年は例年に無く寒い冬で、京都では積雪はありませんでしたが、寒い日が続きました。しかし最近の異常気象では寒い日が続いても、その後に結構暖かい日が続きました。そのためか今年のは全国的にも、例年より早く咲きだしてきたようです。例年なら遅れて咲き始める枝垂れ桜も、鴨川堤では開花を始めているようです。

日本人は古来より桜の花を愛し、和歌にも桜の花を愛でる歌が色々歌われています。そこで、今まで写した桜の花の写真と、学生時代に習いまたその後も印象に残っている和歌を、幾つか選んで紹介したいと思います。桜の花としては、先に「金閣寺から仁和寺界隈へかけての「きぬかけの路」他のサクラ」を紹介しましたが、今回は哲学の道界隈と加茂川堤

のサクラを紹介します。

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いにしへの ならのみやこの 八重桜  けふ九重に にほひぬるかな

(伊勢大輔・詞花集・春)加茂川堤

(華やかな)昔をしのぶ奈良の都の八重桜が、献上された今日(この平安の)九重の宮中で、たしかに照り映えて、色美しく咲き匂うことです。

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あおによし 奈良の都は 咲く花の におうがごとく 今さかりなり 

(小野 老・万葉集):哲学の道

桜の花

がさきにおっているように、奈良の都は繁栄をきわめていることだ。

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●ひさかたの 光のどけき春の日に しず心なく 花の散るらむ   紀友則

(紀友則・古今和歌集):加茂川堤

日の光がのどかにさしている春の日に、どうして落ち着いた気持ちもなく、桜の花は散り急いでしまうのだろうか。

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●花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に

(小野小町・小倉百人一首):哲学の道

桜の花も色あせてしまった、春の長雨の間に。それと同じに、世を過ごし、物思いにふけっている間に、私の若さもおとろえてしまった。

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●世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし  

在原業平古今和歌集):哲学の道

世の中に一切、というものがなかったら、春をのどかな気持ちで過ごせるだろうに。

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●匂へども しる人もなき 桜花 ただひとり見て 哀れとぞ思ふ  

慶政上人・風雅和歌集):哲学の道

美しく咲き誇っているのにそれを知る人もいない桜花よ、私が一人で見て素晴らしい風情だと思う。

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●春霞 たなびく山の 桜花 見れどもあかぬ 君にもあるかな     

紀友則古今和歌集):加茂川堤

春霞がたなびく山の桜花のように、いくら見ても飽きないあなたです。

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●山桜 霞の間より ほのかにも 見てし人こそ 恋しかりけれ    

紀貫之古今和歌集):哲学の道

山桜が霞(かすみ)の間からわずかに覗いた時のように、ほのかに見たあなたのことを恋しく思っています。

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●ねがはくは 花のもとにて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ  

西行法師):加茂川堤

願うことなら、桜の木のもと、春に死にたいものだ そう、あの二月の満月のころに。

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●清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 今宵逢ふ人 みなうつくしき   

(与謝野晶子):哲学の道

(夜桜見物のため)桜月夜の夜に清水へと祇園をよぎる。今夜行きかう人々までも皆美しくみえる。

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●もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし  

(前大僧正行尊・小倉百人一首):哲学の道

私があなたをしみじみいとおしいと思うように、あなたもわたしを、しみじみいとおしいと思っておくれ、山桜よ。花より他にわたしの心を知る人もいないのだから。

少し大きな写真特性などは、右サイドの 京の街角 載せますのでそちらもご覧下さい

関連記事が 京の街角 にもありますので、ご覧ください。

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コメント

おはようございます(^^)
桜には人の心に響く何かがあるのですね~
満開の桜と共にご紹介下さった和歌
染み入ります
桜の季節になると
ふと脳裏をよぎる歌も含まれていて
この季節しばし楽しみたいと
改めて思わせて頂きました。
ありがとうございます。

投稿: はなのいろ | 2013年3月25日 (月) 09時28分

こんにちは
 
美しい桜のお写真と和歌のコラボ、
楽しませていただきました。名歌も多いですね。
私は最近、西行法師の歌が真っ先に思い出されます。
古来日本人は、桜を愛で桜に想いを乗せ心騒がせ…
こうしてみてもやっぱり桜は昔から特別な花だったのですね。
こんなに全国的に話題に上る花は他にありませんよね。

投稿: ポージィ | 2013年3月25日 (月) 12時19分

今晩は はなのいろさん 

学生時代に習った和歌もその時に意味はピンと来ていなかったのですが、
ヤット肌で感じられるようになり、サクラと並べてみました。

はなのいろさんはどんなサクラがお気に入りですか? 私はどちらかと言うと
良く見かけるソメイヨシノより、ピンク色の濃い花や、緑色の花が好きです。 

サクラを見ながらのんびりと、こんな素敵な歌が作れると良いのですが。

投稿: プロフユキ | 2013年3月25日 (月) 21時20分

今晩は ポージィさん 

サクラを見るとふと心に思い出す和歌をコラボしてみました。
こんな歌がすらっと歌えると良いのですが。

西行法師には人生を歌った和歌が多いようですね。元々北面の
武士でしたが、若くて出家し人生をじっと眺めていたのでしょうか。

サクラは日本の気候にもまた日本人の生き方にも、何か似通う
ものがあったのでしょうか。

投稿: プロフユキ | 2013年3月25日 (月) 21時35分

京都は桜の名所があって、、、
この時期はどこに行っていいのやら迷ってしまいそうですね。

学生の頃哲学の道を歩いたのですが、残念ながら桜の季節ではありませんでした。
この時期にも行けばよかったなあ~
なんて今更ながら思ってしまいました。

桜の歌、、、、
学がないので、ちゃんと理解できたとは言えませんが、、、
桜を見ながらいろんな思いをはせていたんだなあ~と感じます。
同じ桜を見ても、、、いろんな思いがあって、、、
不思議な感じもします。
色んな歌、、、桜の画像、、、ありがとうございました。

投稿: 野花 | 2013年3月29日 (金) 21時56分

今日は 野花さん 

そうなんです、京都はあちこちに桜の名所があってどこへ行こうかと
迷っているうちに、シーズンが終わりそうになり、いつも近所の桜で
間に合わせてしまいます。

でも日本は結構身近に桜の花があるから、楽しめますね。広い野山で
咲く桜を見ながら、気に入った歌を口ずさむのもいいですね。

平安時代は今より時間はゆっくりすぎ、気持を通わせる雰囲気も
今以上にあったことでしょうね。たまには桜を見ながらノンビリとした
雰囲気に浸るのもいいかもしれませんね。

投稿: プロフユキ | 2013年3月30日 (土) 13時26分

冒頭の写真がとても懐かしかったです。出町柳のあたりでしょうか。
学生時代、この時期には授業の合間によく加茂川に行って友達とお弁当を広げたりおしゃべりしたりして楽しく時をすごした思い出があります。

もう6年ほど桜の花を見ていないです。写真を見るだけdも懐かしい思いで一杯になります。こちらでは、1月ほど前にナシやアーモンドの花が咲いていました。こういう花を見ると、日本の桜を思い出します。近所でも季節ごとに、葉牡丹、バラ、キク、枇杷など、日本でも馴染みの草木を目にしますが、桜に似た花を見ると特別な感情が湧いてきます。不思議なことに。

投稿: わさんぼん | 2013年4月 4日 (木) 21時05分

今晩は わさんぼんさん 

変わりはありませんか、インドでは不祥事のニュースが日本で
報道されていますが、何もないことと思っていす。

鴨川の堤からの桜と大文字の眺めは、気持のよい散歩コースですね。
最近は水鳥も増え、サンショウウオも生息しているとか。

アーモンドは知りませんが、ナシは緑がかった白の綺麗な花ですね。
桜は古くから日本人の生活に密着した花で、特別の想いがありますね。 

投稿: プロフユキ | 2013年4月 4日 (木) 22時26分

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