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2013年3月 3日 (日)

・今日はひな祭り、宝鏡寺の可愛い人形たちを紹介します

地下鉄今出川駅あるいは鞍馬口駅から降りて一筋西の堀川通りまで約15分歩くと裏千家の茶道資料館の直ぐ南側に、「人形の寺」として有名な宝鏡寺があります。宝鏡寺は、百々(どど)御所とも言われる臨済宗系の皇室ゆかりの尼寺で、歴代の皇女が住職をされてきました。孝明天皇ご遺愛のお人形をはじめ、数多くの由緒あるお人形を保有されおり、春秋に人形展が開かれています。また、年1回、秋に人形供養祭(関係物故者供養祭を兼ね)が行われて人形塚も建立され、いつの頃からか「人形の寺」と呼ばれるようになっています。

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茶道資料館で近代絵画と茶道具の展示会があり、抹茶もいただけるとの言葉につられ、

展示会で前田青邨の素晴らしい梅の大木を描いた「水辺春暖」ほかを見た後、抹茶を頂

き天気もいいので近くに宝鏡寺があるのを思い出し、お人形さんを見に行くことにしました。

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門を入って直ぐ右に、人形塚がありました。毎年この塚で、人形供養がされます。塚には、京人形を象徴する愛らしい御所人形が彫り込まれています。人形塚は、人形と人形制作に一生を捧げた人たちの供養塔として、真摯な意味を持っているとの説明でした。

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 宝鏡寺のご本尊・聖観世音菩薩像は伊勢の二見浦で漁師の網にかかったものと言い伝えられており、この宝鏡は光り輝いていたとされています。そのため、この人形塚の御所人形もご本尊の由来にならい宝鏡を手にしています。

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その台座には、武者小路実篤歌碑が寄せられています。その碑文には、「人形よ 誰がつくりしか 誰に愛されしか しらねども 愛された事実こそ 汝が成仏の誠なれ」とあります。

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 入り口の前には立派な植栽がありました。背丈より大きく丸型に刈り込まれたキンモクセイ2樹で、左は橙色で右側は白色の花が秋には咲くとのことでした。

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入り口を入って直ぐの使者の間」には、皇女和宮立姿があります。幕末の安政5(1857)には皇女和宮が橋本実久邸より移ってこられ、一時期滞在されておりました。その御縁もあり、宝鏡寺には皇女和宮の御遺品も伝わっています。皇女和宮には婚約者がありましたが、公武合体のため徳川家茂と結婚されますが4年後家茂は死去し、没後まもなく江戸城で官軍を迎えることになります。攻め上ってくる官軍の大将は、皮肉にも元の婚約者の有栖川宮でした。

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 これは有職雛人形で直衣・濃紫袴姿です。男雛は有職故実に乗った直衣姿で、元服間もない若年の親王です。女雛は長袴が濃紫色であることから若年であり、描眉がなく本眉であるためまだ第一子を生んでいない新婚頃の夫婦と分かるそうです。

 お雛様の呼び方並び方は、先に「・弥生3月に聴きたい音楽は、「うれしいひな祭り」と「あおげば尊し」に書きました。内裏雛に雛人形の「男雛」と「女雛」があり、京雛では男雛向かって右に、女雛左に並べますが、関東雛では逆になります。宝鏡寺の雛人形は、古式どおり京雛の並べ方で飾られています。

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 これは有職雛人形で直衣・袿袴姿です。直衣とは上級貴族の日常着で、普通には烏帽子をかぶります。女雛では、この人形のように緋の袴が多かったようです。有職雛は京都の公家衆など上流階級が人形師に特注で作らせた雛人形で、髪型から衣装の形式とその色柄・織りまで公家礼式の忠実な再現となっています。様々な装束のものがあり、着せ替えできる人形もあったそうです。

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これは幕末、妹君の和宮を徳川に降嫁し、公武合体を進めていながら急に崩御された孝明天皇御遺愛の御所人形で、形見分けに下賜されたものです。緋縮緬に草花の刺繍が

施された振袖を着け、髪を稚児輪に結い、櫛型の目と引き締まった口元をしています。一見坐像に見えますが、説明によれば三頭身の立像であるとか。

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これは加茂人形で、公家遠行です。木彫りの人形に刻み目をつけ、それに錦、綾、縮緬などの裂(布を切り裂くこと)の端をきめ込んで貼り衣装とし、顔は木または胡粉塗りで仕上げた人形のことです。この人形は、公家の行列を表しています。

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 この衣装人形・猩々は能楽の曲である「猩々」の舞姿を写しています。朱色の長い頭髪と赤一色にまとめられた衣装を着け、表情は笑みをたたえています。

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宝鏡寺の襖絵には部屋ごとに、狩野探幽応挙の孫の円山応震などによる見事な襖絵が描かれています。これは杉戸に円山応挙が描いた「子犬の図」です。この杉戸のある書院は3月2日の新聞によれば、文化財保護のため今春以降非公開になるようです。関心のある方は今春のうちに見られることをお薦めします。

少し大きな写真特性などは、右サイドの 京の街角 載せますのでそちらもご覧下さい

関連記事が 京の街角 にもありますので、ご覧ください。

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コメント

ひな祭りの日に、素敵なお人形の姿をたくさん拝見できて嬉しいです
宝鏡寺の人形展へは、数年前、姪がまだ1歳ちょっとだった頃、
初めて行きました。
入り口から入ってすぐ右側の大きなお人形には、赤ちゃんだった姪も
「ワァッ・・」と声を上げて、喜んでいました。
ここはこじんまりとした静かなお寺で、心が落ち着きますね
近くの茶道資料館へはまだ行ったことがないので、いつか行ってみたいです。
表千家と裏千家近くの和菓子屋さん、俵屋吉富には、
季節の可愛らしいお菓子がいろいろあって、いつも楽しみです。

投稿: hanano | 2013年3月 3日 (日) 13時15分

今晩は hananoさん 

宝鏡寺周辺は色々な施設、裏千家、表千家の茶道関係、またお寺さんなどが
集まっていますね。お人形さんを見て喜んでいただきうれしいです。

尼寺らしくこじんまりしていますが、内部の襖絵、お人形さんたちは素晴ら
しかったのですが、ほとんど写真撮影は禁止で、ポストカードとガイドブックを
買うしかありませんでした。

入って直ぐの等身大の和宮立ち姿は素晴らしかったですね。あれだけが写真を
撮れました。姪御さんも大きなお人形さんに驚かれたことでしょうね。

秋には紅葉と伊勢ナデシコが素晴らしいようです。床下にたくさんの
伊勢ナデシコの鉢が並んでいました。

そうそう、和菓子屋さんも関連施設ですね。お茶には絶対必要ですからね。
本当に落ち着く人形の寺でした。

投稿: プロフユキ | 2013年3月 3日 (日) 21時38分

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