・窓際ではアンスリウムが元気に花を咲かせ、クローンコエは葉から芽を出して増えています
立春を過ぎたある日の居間の窓際では、アンスリウムが元気に花を咲かせています。次から次と花が咲き、今は先端に一つ花が咲いて株元には2番花が咲き、4,5日後には3番花が現れてきています。その横のクローンコエはたくさんの葉をつけていますが、その葉のふち(葉縁)のぎざぎざの切れ込みには面白いことに、たくさんの芽(不定芽)ができています。
これはアンスリウムの生育の様子です。アンスリウムはサトイモ科の多年草で、熱帯アメリカや西インド諸島に分布しています。ハート型の仏炎苞が白、ピンク、赤、緑色などになり、その中央に肉穂花序があります。多くの種類がありますがよく見かけるのはエクアドル・コロンビア原産のオオベニウチワで、中央の肉穂花序はまっすぐ伸びています。もう一種はグアテマラ・コスタリカ原産のベニウチワで、仏炎苞と肉穂花序が共にねじれやすい特性があります。ここに紹介したのは、オオベニウチワです。
高温多湿を好み、生育適温は25℃前後ですが、日中は20℃・夜間は15℃あれば育ちます。マンションの居間は暖かく、日中は無暖房で20℃以上あり、夜間もちょっと床暖房を入れるだけで20℃を保てます。明け方の温度を測ると15か16℃くらいありましたので、よく生長したようでした。
アンスリウムの花はこの鮮やかな赤い部分と思いがちですが、これは仏炎苞と呼ばれるハート型の苞葉で、本来の花のたくさん集まった花序(肉穂花序)はその中央にある黄色い筒状の部分です。この仏炎苞と肉穂花序については先に、「・ベランダでアロエの花が今頃咲いたのはなぜ? 」で紹介していますので、そちらをご覧下さい。
この肉穂花序にはたくさんの花ができていて、基部から順番に咲いてきます。
それぞれの花序の基部には苞葉があり、花序の若い時にはそれを保護するため赤い色をして花序を包んでいます。この苞葉は花序が発達するにつれて、褐変して落ちていきます。このように花芽や新芽を保護するため葉が赤くなることは、先に「・丹波路にも春が来て、研修寮の生垣が鮮やかな赤色に変身しました」に書きました。
これは2番目に咲いている花です。
アンスリウムの栽培する用土は通気性のあるものが好ましく、一般にはミズゴケ、軽石、鹿沼土などが用いられます。光が強いと葉焼けしたり、葉が黄ばむので、夏には50~60%の遮光をします。病気はあまりありませんが、葉が乾燥するとハダニが発生しやすいので、噴霧や散水をして空気湿度を高く保ってやります。
2番花の横をよく見ていると、赤い苞葉につつまれた3番目の花が生長をはじめていました。手前には花序を保護していた赤い苞葉が見られ、その中からまだ折りたたまれた赤い仏炎苞が顔を出していました、その中にはまだ未発達の小さな肉穂花序ができかけていることでしょう。
これはクローンコエです。ベンケイソウ科ブリオフィルム属の常緑多肉植物で、マダガスカル・アフリカなどの熱帯原産植物です。和名はクローンコエで、別名では子持ちベンケイソウともいいます。
これは不思議な植物で、葉に深い切れ込みがあり、その葉縁に不定芽ができます。この芽は何枚も葉を出してゆきながら、大きくなってきます。
葉はこのように対生につきなすが、その葉縁の切れ込みすべてにこの芽ができてきて、全体ではかなりの数の芽がつくことになります。
大きく生長した芽からはたくさんの根が発達してきます。葉が風で揺れたりするとこの頃から、これらの芽は下に落ちてそこが土の上なら、そのまま根を張り生長していって、元の植物と同じようになります。そこで、クローンコエはタネをまかなくても、自分勝手に増えていくという恐ろしい生長力を思っています。人によってはこの様子は、グロテスクに見える人もあるようでした。
このポロッと落ちた芽を集め、新しい鉢に植えてやりました。しばらくすると根を張り旺盛に生長を始めてきたようでした。
これは生長してきた幼植物を拡大して示してみました。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
こんにちは。
アンスリウム、いつか育てたいと思っています。気温・湿気が高いほうがいいのですね。
それから、クローンコエ、祖母宅にありました。近所からもらってきた(不思議な)植物ということで、名前がわからなかったのですが、今やっとわかりました。ご紹介どうもありがとうございました。
投稿: きいろひわ | 2013年2月10日 (日) 10時07分
今晩は きいろひわさん
アンスリウムは意外と丈夫な花ですね。それから枯らすときには
大抵根が過湿になっているんです。ランと同じように、水はけのよい
ミズゴケ、レキ、枯れ木やポットのかけらがよくて、土だけではないほうが
良いようですね。
クローンコエをご存知でしたか、ちょっと名前が知られていないことが
多いですね。
丈夫な植物なのでツイツイほったらかしにしていて、なくなってしまう
ことがあり、これも植物園で貰ってきたものです。
投稿: プロフユキ | 2013年2月10日 (日) 23時02分
今晩は。
この寒さの中、アンスリウムが咲いている光景は夢のようです。我家でも部屋の中に取り込んで越冬させている植物もあるのですが枯らさないようにするのが精いっぱいです。
クローンコエというんですね、この植物。子宝草というのかと思っていました。我家にもあります。こんなにきれいにクローンはついていませんが元気に越冬中です。実はこのクローンコエ、面白がって育てたもののちょっと困りもの。というのはあまりにも繁殖力旺盛で、ぽろぽろ落ちて、落ちたところのどの鉢でも育ってしまっています。見つければ抜いているのですが、あまり邪魔扱いしては可哀想ですね。
投稿: 木漏れ日 | 2013年2月11日 (月) 22時36分
今晩は 木漏れ日さん
京都でも1戸建ちの家では隙間風がひどくてとても寒いのですが、私は
寒がりでマンションに住んでいます。おかげさまで気密性が良いので
昼間は暖かいのです。
そのおかげでアンスリウムも咲き、そろそろデンドロビウムも咲き出して
きそうです。
クローンコエは子持ちベンケイソウといったり子持ち草と言ったりする
ので、子宝草という別名もあるかと思いますが、同じものです。
確かに丈夫なのですが、ホットいても生えている元気物で、あると思って
いると無くなっていて慌てたことがあります。
投稿: プロフユキ | 2013年2月11日 (月) 23時25分