・これからますます需要の伸びるシナモンバジルの栽培と利用

先に、スイートバジルの栽培と利用について紹介しました。シソ科のスイートバジルには多くの近縁種があり、芳香を持つものや奇麗な葉色で観賞植物になるものも多いようです。そこで今回は、シナモンに似た甘い香りのあるシナモンバジルについて紹介します。

バジル類は熱帯アジア・アフリカ・太平洋諸島などに広く分布する1年草で、別名はバジル、バジリコ、メボウキなどです。バジル類のうち、シナモンバジルはメキシコで育成された品種です。草姿はスイートバジルに類似しており、茎は直立して分枝は斜め上に伸び、茎長は45～75cmくらいになります。葉はシソと同様に、対生して生長するのに伴い、分枝もよく伸びます。

葉は卵形または長楕円形で、ほとんど無毛でわずかに葉縁に切れ込みがあります。シソ科特有の唇形花が茎頂に総状に着き、花色はスイートバジルよりややピンク色になり、茎色もややピンク色になることがあります。葉はスイートバジルよりやや小さめで、緑色だがあまりつやはありません。

全体にシナモンに似た甘い香がし、その香の成分は桂皮酸メチルです。シナモンは熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹で、その樹皮から香辛料が作られます。生薬として用いる時には桂皮（けいひ）と呼ばれます。

スイートバジルの近縁種には幾つかありますが、アニスバジル（ぺルシャ由来）、ホーリーバジル（多年生）やダークオパールバジル（米国で育成）では、更に茎と花の色が濃いピンク色をおびます。ダークオパールバジルでは花色はピンクですが、茎と葉は赤紫色になります。スイートバジルでは茎葉は緑色ですが、レモンバジル（インド北西部由来）、ブッシュバジルの茎葉はやや黄緑色で、花色は白色になります。一方、カーリーバジル（変種）、ジェノベーゼ（イタリアで育成）の茎葉は濃緑色になります。

シナモンバジルの葉の栄養価はスイートバジルとほぼ同じで、先の記事を参照下さい。開花は普通6～7月頃に始まりますが、普通のハーブ以上に茎葉は旺盛に生長するので、それほど気にしてつぼみを取る必要はありません。連続して葉を収穫するには、花も適度に収穫してやればよく、花は穂ジソと同様に使えます。葉と花を共に収穫しながら、わき芽が伸びるように数節の葉を残して収穫します。

スイートバジルと同様に、暑い国が原産であり、日本の夏の暑さにも強いようです。栽培には日当たりが良く、適度の湿度のある土壌が適します。一般に耐寒性が無いので、冬季栽培には保温が必要となります。栽培適性はスイートバジルとほぼ同じです。

シナモンバジルの葉には甘い香があり、トッピングに使うだけで甘い香がします。食用にはスイートバジルと同様に使えますが、デザートや甘みにも合うので、ハーブシロップやハーブはちみつに向いています。ハーブティーに使っても、甘い風味付けになります。

●少し大きな写真と特性などは、右サイドの　ハーブの紹介　に載せますのでそちらもご覧下さい。

●関連の記事が　園芸植物・園芸情報　にもありますので、ご覧ください。