・地中海原産の花菜の一つアーティチョークは、このようして食べます
アーティチョークは地中海原産の多年生植物で、紀元前から食べられていました。キク科アザミ属の一種で、近縁に観賞用のカルドンがあります。和名はアーティチョーク、チョウセンアザミあるいはグローブ・アーティチョークで、イタリアではカルチョーフィと呼ばれます。カルドン、アーティチョークは共につぼみを食べることができ、またきれいな紫色の花をつけます。
アーティチョークについては先に、「需要の伸びるアーティチョーク」で簡単の説明しましたが、ここでは食べ方を特に紹介します。
アーティチョークの食べる部位は、頭状花序の基部の柔らかい多肉の花床と呼ばれる部位で、また花序を包む総包と呼ばれるガク状の葉の付け根の内側も食べられます。つぼみの総包と大型で切れ込みのある葉の裏にはかなり大きなとげがあるので注意が必要です。
大型品種のつぼみでなければ、総包基部の食べられる部分はきわめて小さいです。
つぼみの断面を見ると総包の内側に多数の筒状花(小花)があり、その中から紫色の花冠(花弁)、めしべの柱頭が突出してきます。小花の基部には多数の冠毛があります。つぼみから紫色の花弁などが出ないうちに収穫します。
料理に際して内部の小花の見えるところまで総包の上部を切り取りますが、それをアーティチョーク・ハートと呼びます。ハート部分だけを茹でて瓶詰めにしたものも販売されています。
更に小花を完全に除き、総包も除いて花床部だけにしたものをアーティチョーク・ボトムと呼び、冷凍されたりオイル漬けの加工用に用いられます。
○調理方法
1)総包と小花の除去の除去:
①まだ紫色の花弁が出る前の若いつぼみを選び、茎を4cmほど残して切ります。
②はさみでつぼみの上半分を切り取る。手早く外側の総包を取りハートの状態にします。その際、内側の総包の基部は残すようにするとよいでしょう。
③そのままゆでても良いですが、スプーンなで小花のふわふわした花弁、おしべ、めしべと冠毛などを取り除くと食べやすくなります。
④切り口は酸化して褐変するので、レモン汁か酢を加えた水にすぐ浸します。
2)下準備:
①使いやすい大きさにハートを切り、切るたびに酢あるいはレモン汁を加えた水に漬けます。
②ニンニク、トウガラシをオリーブ油で炒め、そこに切ったハートを塩、コショウと一緒に20~30分くらい煮ます。ハートをゆでる際にも、水にレモン汁などを加えて褐変を防ぎます。基部をヨウジ等で突き刺せるくらいになればよいが、あまり柔らかくならないように注意します。
3)料理:
①このままでも食べられるのでサラダにしてもいいし、ドレッシングをかけても良いでしょう。
②たくさんのアーティチョークをゆでた際には、オイル漬けにしたり、冷凍すればかなりの期間保存できます。
4)ゆでたハートの食べ方:
①総包を1枚ずつはがしながら、その内側の基部を歯の裏でしごいて食べます。ヤマイモの様な食感がし、ユリ根のような甘みがあります。この写真はブロガーさん(ギリシャ在住)のお子さんの食べる様子です。
②総包を食べつくすと花床部が現れ、これがボトムと呼ばれる部位です。
ドレッシング、しょうゆ、マスタード、レモン汁などをたらして、スプーンですくって食べます。
③料理の一例:ボトムにハム、チーズ、茎のみじん切り、コショウなどを加え、更にマツの実を乗せ、200℃のオーブンで焼き色がつくまで10分くらい焼きます。アーティチョークは一般的な野菜とは異なり、料理に豪華さを添える、前菜(オードブル)やちょっとおしゃれな食べ方に向いた素材といえます。
○加工品
ハーブ・ティーとして、アーティチョークのつぼみやハートを茎とも一緒に縦にスライスして乾燥したアーティチョーク・ティーが、ベトナムやスペインでよく利用されています。ラベルには肝臓や便秘に良く効き、貧血気味の人に良いなどと効能が書かれています。また、ベトナムでは二日酔いを避けるため、お酒を飲んだ後にアーティチョーク・ティーを飲む人が多いようです。
ハートあるいはボトムを中心にしてビン詰め、缶詰めあるいは冷凍食品として利用できるので便利です。
また普通には煮て食べたり、オイル漬けにしておいて食べたり、ペースト状にしてパンにつけて食べたりしますが、イタリアのローカルな利用方法法として直接あるいはホイル焼きして食べるやり方が広く行われていそうです。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 野菜とその花の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
こんにちは
アーティーチョークの花はインパクトあって色も綺麗ですね。

その、花は見た事があるのですが食べたことはありません。
最初に食べた方は、何をきっかけにこの蕾を食べてみようと思ったのでしょうね。
大きくて食べ応えがありそうに思えたのかしら??
なるほど、こんな風にして食べるものなんですね。
食材として売られているのは見た事もありません。田舎のスーパーでは無理もないですが。
外食のお料理の付け合せにでも出てきたら、私にも味見する機会があるかな。
でも、自分で買ってまでは試さないかも…というのが率直な感想です
プロフユキさんはお好きですか?
投稿: ポージィ | 2012年7月24日 (火) 15時03分
今晩は ポージィさん
アーティチョークはラテン系の人たちが好きな花菜で、オードブル的な野菜ですね。
最近14、5年位前からイタリア、フランスから、スペインやアメリカに消費が
広がってきました。
イタリアでは初夏の食べ物として季節感のある野菜のようで、焼き栗ならぬ
焼きアーティチョークとして食べることもあるようです。
最近は学生も贅沢になりサッカーを見にイタリアに行く学生もおり、そんな
連中からの報告では市場で一杯見かけたそうです。
日本ではまだまだホテルで出るくらいの限られた用途のようですね。
味はいっぺん食べると癖になる味で、毎年学生達も料理するのを楽しみ
にしていましたね。
割りと丈夫で育てやすいため、趣味で育てる人も増えているようですよ。
お花としても綺麗で、農場にも絵を描きに来る人もあります。
外国人のよく来るスーパーなどでは、瓶詰めも売っていると思いますが、
それがお手軽ですね。一度お試しください。
投稿: プロフユキ | 2012年7月24日 (火) 22時42分
こんにちは!
、と悔いるばかりです
調理法など、わかりやすく書かれていますね。 ファンが増えるといいですね
私としては、こんなことならパジャマではなくきれいなシャツ着せて、口の周りのトマトソースかなんかも拭いてから写真撮ればよかった
投稿: emico | 2012年7月26日 (木) 18時50分
今晩は emico さん
また写真を活用させてもらっています。総包の基部の内側を、歯でしごいて食べるんですと書いても
なかなかぴんとこないのがこの写真を見ていただくと、一目で分かって貰えるんのです。
ハートとかボトムといってもこれまた、なかなか分かってもらえるのが難しいです。
本に書いたときにも、編集者に分からせるのに大分てこずりました。
それでくどいようですが、こんなまだるっこい書き方になっています。
オージー君の口元にはそういわれれば、ケチャップらしきものがついていますね。

でもこれは食事中だからいいのではないですか。それより食べっぷりが最高にいいですよ。
投稿: プロフユキ | 2012年7月26日 (木) 21時09分
アーティチョークを私はドイツに来て知りました。
春先から夏のこの時期は、青空市場でたくさん店頭に
顔を出しています。
コッテリ油ものを好んで食べるドイツ人は、ダイエット
食材としてたっぷり食べ、水代わりにビールをたくさん
飲むため、肝臓の解毒作用もあるので薬替わりに食べて
いるようですね~。
私は、アーティチョークジュースを炭酸水で割って、
食事の時に飲みますが、最初はアロエのような味で少し
苦くて好きではなかったですが、健康・ダイエットの為に
今では欠かせない飲み物です。
投稿: しょこら | 2012年7月27日 (金) 17時58分
今晩は しょこらさん
ドイツ・ヘッセン州にお住みですか。今頃はいい気候でしょうか
ドイツでもアーティチョークは利用されているのですね。寒さに結構強いから、
あっても不思議でないですね。
ドイツの人はビールを良く飲みますから、それで肝臓保護のため
アーティチョークも食べるんでしょうが、本当に合理的なドイツ人らしいですね。
アーティチョークジュースは始めて聞きました。貴重な情報有難う御座います。
でもちょっと苦そうですね。
投稿: プロフユキ | 2012年7月27日 (金) 22時15分