・意外とお花には毒がある種類があるので、菜園とお花畑は分けましょう(2)
先日、お花の中には毒性を持つ種類が結構あり、その例としてチョウセンアサガオ類、スイセンとタマスダレの毒性について紹介しました。そこで、必ず菜園とお花畑は分ける必要がありますが、今回は更に毒性を持つ花の例を東京都福祉保険局と高知市生活食品課の資料から紹介します。
●バイケイソウ類(ユリ科)
バイケイソウは、高さ1メートルにもなる多年草で高山の湿地などの生えており、初夏に緑白色の臭気のある花を咲かせます。やや小型の仲間にコバイケイソウがありますが、同じく有毒植物です。
・症状:おう吐、下痢、血圧降下、けいれんなど。
・毒成分:プロトベラトリン、ジェルビン、ベラトラミンなどのアルカロイド類。全草が有毒。
●フクジュソウ(キンポウゲ科)
北海道、東北、関東などの山地に自生する多年草で、早春に新芽を出し、鮮黄色の花をつけるので、縁起の良い花としてお正月に寄せ植えとして飾られます。多くの園芸種があります。
・症状:おう吐、呼吸困難、心臓麻痺など。死亡することもあります。
・毒成分:毒成分は強心配糖体のシマリンやアドニトキシン。全草が有毒。
●グロリオサ(ユリ科)
アフリカ、アジアの熱帯地域に分布する宿根草で、近年、一般の家庭でも栽培されるようになり、露地では、初夏から晩秋に開花がみられます。ケニアに滞在中野原でグロリオサが綺麗な花を咲かせているのを見かけましたが、ヒガンバナと同様に現地の人は荒地に咲く縁起の悪い花として嫌われているようです。最近では生け花にも使われていて、先日紹介した六角堂での「春の生け花展」でも、写真のようによく用いられていました。
・毒成分:グロリオサは,全草にコルヒチンを含有し,特に球根に多く含みます。また,種子や新葉にも,比較的多く含むという報告もあります。栽培や鑑賞をすることに問題はありませんが,食用にすると,中毒の原因となります。
コルヒチンは,植物に含まれるアルカロイドの一種で,古くから痛風の特効薬として知られていますが,人や動物に多量に摂取されると,強い毒性を示します。人の場合,摂取後,数時間以降に,口腔・咽頭灼熱感,発熱,嘔吐,下痢,背部疼痛などが発症し,臓器の機能不全などにより,死亡することもあります。致死量は0.8mg/kg(体重50kgの成人で40mgの摂取量)とされています(高知市生活食品課)。
●ヒガンバナ(ヒガンバナ科)
中国原産の帰化植物ですが、日本全国の土手、墓地、道端など人家の近くに繁殖しています。秋の彼岸ごろ、主として赤色の花をさかせますが、白色の花を咲かせる種類もあります。「花は葉を見ず、葉は花を見ず」のように、葉の時期と花が咲く時期が異なるのが特徴で、地下には鱗茎があります。
・症状:吐き気、おう吐、下痢、中枢神経の麻痺など。
鱗茎はデンプンに富んでおり、有毒成分であるリコリンは水溶性であるため、長時間水に曝せば無害化になるため、救荒作物として古くから不作の年などでは食用とされた事もあります。また、鱗茎は石蒜(せきさん)という生薬名であり、利尿や去痰作用がありますが、有毒であるため素人が利用するのは危険です。毒成分の一つであるガランタミンはアルツハイマー病の治療薬として利用されています。
●スズラン(ユリ科)
北海道や東北地方の高山に自生する多年草ですが、各地の庭などに園芸用として栽培されています。初夏に花茎を出して穂状の花をつけ、芳香があり、香水の原料にもなります。果実は球形の赤い液果です。
・誤食部位:葉、花など。北海道などで山菜として珍重されるギョウジャニンニクと外見が似ていることもあり、誤って摂取し中毒症状を起こす例が見られます。
・症状:摂取した場合、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死亡することあります。
・毒成分:強心配糖体のコンバラトキシン 、コンバラマリン、コンバロシド などを含む有毒植物。有毒物質は全草に持つが、特に花や根に多く含まれます。スズランを差した花ビンの水を飲んでも、中毒を起こすことがあります。
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
| 固定リンク
「・園芸植物・園芸情報 Hort. Plants & Information」カテゴリの記事
- ・「いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)」の杜若を、上賀茂の大田神社の池で見てきました(2024.06.04)
- ・つれづれに家人アンナがベランダで咲いている花を使って、先日作ったフラワーアレンジ10種を紹介します(2024.05.24)
- ・あなたは何故あの可愛いいキンギョソウが「噛みつきドラゴン」と呼ばれるのか分かりますか?(2024.05.08)
- ・今年も3月になると赤色・白色の胡蝶蘭が咲き出してきて、4月には満開になりました(後編)(2024.04.09)
- ・今年も3月になると赤色・白色の胡蝶蘭が咲き出してきて、4月には満開になりました(前編)(2024.04.07)
コメント
こんにちは。
身近な有毒植物たちの第2弾ですね。
バイケイソウというのは、まだ会ったことがありません。
丸っこい葉に立て筋が入った様子はギボウシと似てますね。
これは間違えそう… もっともギボウシを食べたこともありませんが。
グロリオサの球根のことも初めて知りました。
グロリオサもスズランも水仙も、生け花やフラワーアレンジメントでも
よく使うお花。扱ったらちゃんと手を洗わなくっちゃ!
毒は使いようによっては薬にもなるものもありますが、
やはり素人が扱うのは危ないですね。
投稿: ポージィ | 2012年6月15日 (金) 10時13分
今晩は ポージイさん
ギボウシは関西でも庭園に植えられているだけですが、その新芽を東北地方
では食べていて、その時の名前がウルイなんで、同じものなんですね。
最近では関西でも山菜としてウルイを見かけるようになりました。
グロリオサはちょっと毒々しいくらい赤い色ですから、有毒だというと納得
しますね。
でも生け花に使う時に誰もこれが有毒だとは思ってもいないでしょうね。
綺麗なお花も触った後には手を洗った方が良いようですね。

投稿: プロフユキ | 2012年6月16日 (土) 00時25分