・今年も元離宮・二条城での菊花展の審査に行ってきました
日本の秋にはいろいろの花が咲き誇りますが、京都の神社仏閣には菊の花が似合います。以前紹介しましたが、元離宮の二条城では50年ぶりに4年前より菊花展が再開されています。
今年も11月6日に菊花展の審査に行ってきましたが、前回できなかった和菊の種類と、大菊の出品規定と審査基準を説明します。
この写真に示した作品は、大阪府和泉市にある国華園の菊花展の審査で入賞した作品です。
3本仕立ての茎の先端に着く天地人の花がほぼ同じ高さで、そろって咲く必要があります。厳密に言うと茎の高さは「天」 > 「地」 > 「人」の順になります。そろって咲くためには丁寧な摘心(ソフトピンチ)をして、3本の分枝をそろって生長させる必要があります。
また、花の配色は各行・列に白・赤・黄色を入れ、縦横に同じ色の花が来ないようにします。その上、全鉢違う品種とします。展示期間は10月中旬から11月中旬までの約1ヶ月とし、11月初めの審査日に開花盛期になるように生育させます。途中1回は花の入れ替えを認めます。
菊には大菊、中菊、小菊の3つの区分がありますが、仕立てに使用するのは主に大菊です。この大菊は欧米にはなく、切花用の中輪の菊しか知らない外国人からは珍しがられます。
の3種類があります。
このように厳しい出品規定があり、審査する方も出品する方の丹精を込めて育てられたご苦労を思うと、なかなか厳しい判定はできなくなります。審査基準としては上に示したとおりですが、定められた規定を満たしているかどうかがまず審査されます。よく見ると茎の伸びが悪くて下の土を盛り上げてその上に鉢を置いたものや、逆に伸びすぎたため下の土を掘って鉢をうずめた苦心などの工夫が見られることもありますが、これらは減点になります。更に直感して美しいかどうか、また茎葉のバランス、花の形・開花程度が審査されます。
少し大きな写真と特性などは、右サイドの 観賞植物の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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コメント
由緒ある二条城の菊花展にはことさら立派な菊が出品されるのでしょうね。私の周りにも切り花を作る菊農家もいらっしゃいますし、鉢物としての菊作りもとても盛んです。手を掛けなければ立派な菊にはならないそうですね。菊の会にも誘われていますが、ずぼらな私には踏み込めない世界です。
投稿: 木漏れ日 | 2011年12月18日 (日) 10時19分
今日は
二条城の菊花展では京都らしい装いでと言うことで、北山杉で木組みをして、その中に菊の花をならべています。
外国の観光客が多いため、なかなか好評のようです。
菊作りの人に聞くと、家族のことより菊の世話に精を出すため、夫婦仲があまりよくないとか。それは一寸困りますね。
投稿: プロフユキ | 2011年12月18日 (日) 11時43分
こんにちは。
私も菊花展が大好きで、秋になるとよく出かけるのですが、
こんなに厳しい出品規定があったとは知りませんでした。
とても勉強になりました。
審査員の方々も、作者の苦労を思いやりながらの
審査なのですから、大変ですね。
お陰様で、何も考えず、ただ「綺麗~」とうっとりするだけの私も
存分に楽しませていただいております。
投稿: Unit fun | 2011年12月18日 (日) 13時34分
今日は
厳しい審査基準でしょう。多少の茎の低いことや高いことはおおめに見ても良いのではと思って採点しています。
こんな素晴らしい大菊ですから、来年も頑張って綺麗な菊を育てて、皆さんを喜ばせてくださいと、いつもお願いしています。
菊も貴重な文化財ですからね。 しかも育てている人がほとんど高齢者で、後継者不足が心配です。
投稿: プロフユキ | 2011年12月18日 (日) 14時45分
こちらの記事、大変勉強になりました。
投稿: きいろひわ | 2011年12月27日 (火) 06時52分
こんにちは きいろひわさん
菊の審査にはこのような厳しい出品基準があるのに驚かされたことでしょう。
一寸厳しすぎるところもあるのですが、それがあるからお互い切磋琢磨して、栽培技術を磨いているようですね。
投稿: プロフユキ | 2011年12月27日 (火) 11時43分