・哀愁の「夜霧のしのび逢い」を、クロード・チアリのギターとゆかりさんの歌で
いつも気になるギリシャの映画があります。日本での題名は「夜霧のしのび逢い」ですが、原題は「浜辺」です。その主題歌の演奏は、若手のクロード・チアリによるもので、切々たる情感が迫ってきます。
映画は1965年の上映ですから、大学生の時にこの映画を見たのでした。ギリシャの舞台劇を基に作られた、港町での外国航路の船員などを対象とする、娼婦の悲哀を描くドラマです。ちょうどギリシャでは、公娼制度が廃止されることになり、貧しい彼女たちは将来を模索していた最中の話です。
当時はイタリアやフランス、ギリシャなどの人生の哀愁を描いた映画が多かったように思います。
内容としては、初めて娼館にやって来た純情青年に惹かれるメリーや、遊園地で遊んでいても時間になれば店に帰らなければならないエレナなど、幾つかあったように思います。
しかし私には鮮明に残っているのは、子供を持ったアンナの物語です。アンナは子供の居ることを隠していたが、顧客の一人で貨物船ミークス号の船長に求婚され、子供のいる事も告げるが、それも承知の上だということで次の航海が終われば結婚することになる。
ある日、船長からの送金をいつものように受取に銀行に行くと、何か雑然としており、そんな中でニュースが流れた。沖に来ていたヤニークス号からSOSの救助信号があり、その後同船は沈没したとの報が流れる。
そのニュースを知ったアンナは、絶望のふちに落とされ、何も考えられなくなる。すべてを頼り切った船長の訃報はあまりにも残酷であった。銀行員の差し出すお金に目もくれず、彼女は町に出て行く。
そんな彼女の気持を代弁するように、クロード・チアリの哀愁を帯びたギターの調べが流れる。このシーンがいつも心の中に浮かんできます。
映画は受賞こそ逃したが、アカデミー賞外国語映画にノミネートされたし、クロード・チアリによる主題歌は、フランスのACCでディスク大賞を受賞し、世界的にもヒットする。
哀愁のギタリストとして世界を演奏旅行するうち、日本が気に入ったクロードは日本人と結婚して神戸に落ち着く。やがて、日本に帰化して智有蔵上人に改名する。
夜霧のしのび逢い
映画のサウンドトラックから、クロード・チアリの演奏をお聞きください。
伊東ゆかりさんによる夜霧のしのび逢い
この曲の歌詞はまた岩谷時子によって翻訳され、いろんな人に歌われてい
ます。今日は、大好きな歌手伊東ゆかりさんの歌でお聞きください。
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コメント
懐かしく聴かせて頂きながらのコメントです
クロード・チアリの代表的な演奏曲ですね
好きな曲です。
この映画は観てません
機会があれば観てみたいですね~
ご紹介有難うございます。
伊東ゆかりさんの歌声しっとりしていますね。
投稿: はなのいろ | 2011年9月12日 (月) 17時55分
今晩は!
少し悲しい物語ですが、いい音楽ですね。
映画はちょっと古いし、DVDでもないかも知れませんね。
最近はアメリカ映画一辺倒で、ハッピー物語が多いですね。たまにはしっとりとした、人生を題材にした映画も見たいものです。
You tubeで見ていると、断片断片ですが映画も見られましたので、写真を撮ってみました。
ついでにゆかりさんが歌っているのを知って載せてみました。やはり上手に歌っていますね。
投稿: プロフユキ | 2011年9月12日 (月) 21時01分
映画、歌ともに知らずにいましたが、伊東ゆかりさんの
歌声を久し振りに聞かせていただきました。
情感豊かに歌い上げていらっしゃいますね。
そういえば、かっては時折TVでも見たことのある
クロード・チアリさんは今はどうしているのでしょう。
ゆかりさんはNHKの朝ドラ「おひさま」でお顔を見ました。
投稿: ポージィ | 2011年9月13日 (火) 09時44分
今晩は !
ゆかりさんは実力ある歌手ですから、きちっと情感を豊かに歌い上げていますね。
もっともっと歌って欲しいものですが、なかなか出番がないようです。
そうですか、朝ドラに出ていましたか
夕方の番組はチェックしていて、彼女の出る番組は録画しているのいですが、朝ドラは気がつきませんでした、有り難うございます。
クロード・チアリの娘さんはタレント、息子さんはギタリストで、親子で演奏会などをされているようですね。
投稿: プロフユキ | 2011年9月13日 (火) 22時39分
こんにちは!
ご紹介、ありがとうございます。 私が生まれた年の映画でした!
有名な曲ですが、私も映画は見たことがないですね。
この頃はサントリーニなんて誰も知らず、アテネ、ピレウス、テッサロニキ、クレタが舞台になっていたものがほとんどですね。
ギリシャ映画はこちらに来てから、日本では無名なものも何本か見ました。 テレビでは古い映画しか見ませんがコメディも多く、典型的なギリシャ人の一面が見られておもしろいです。
この映画は、日本語のタイトルもいいですね。
投稿: emico | 2011年9月18日 (日) 00時58分
こんにちは !
そうですか、お生まれの年でしたか
クロード・チアリの曲のほうが日本でも有名でしたね。
サントリーニはアトランティス伝説の島で、クレア島とともにミノア文明の発祥の地ですから、歴史好きにはぜひとも行って見たい所ですよ。
ギリシャの人も古い歴史を持ち、ユーモアのあるほ人たちなのでしょうね。
投稿: プロフユキ | 2011年9月18日 (日) 17時45分