・これから需要の伸びるエゴマの栽培と利用
エゴマはシソ科シソ属に属する1年草です。原産地は東南アジアで、中国や韓国で古くから栽培されていました。日本でも古くからあかりの油用に栽培されてきましたが、エゴマ油の全盛時代は江戸時代中期までで、それ以降は菜種油に取って代わられ栽培が減少してきました。しかし、最近になってスローフードやふるさとの野菜を見直すようになり、日本の各地で栽培がまた増加しかけています。
食用としては種子を軽く炒ってゴマのようにしてすり、醤油、味噌、砂糖などを加えて、調味料として用います。葉と種子にはビタミンとミネラルが豊富に含まれており、血行障害防止、美肌効果、強壮作用があるとされています。最近ではオオバと同様に、肉、魚とご飯など好みのものを葉で包み食べる食べ方が増えてきています。この食べ方は、日本では古くから「荏包(えづつみ)」と呼ばれてきました。
ごまよりやや小型で、種子は比較的短命で1年くらい。茎長は60~150cmくらいになり、茎頂と脇芽部にシソと同様の総状花序をつけます。葉は対生して卵形、葉の縁には切れ込みがあります。植物体のどの部分にもペリラケトンという芳香物質が含まれており、葉などをちぎると強い芳香がします。エゴマの栄養価は高く、種子乾燥重100g当たりカリウム590mg、カルシウム390mg、鉄分16.4mg含んでいます(五訂日本食品標準成分表)。また繊維分を20.8g含んでいる他、ビタミンを豊富に含みカロテン16μg、B1を0.54mg、B2を0.29mg、ナイシン7.6mg含んでいます。
冷涼で湿潤な気候を好むため、この気候条件の長く続くところが栽培の適地となります。強光を必要としないため密植でき、果樹などの下でも栽培できます。乾燥に弱いため、栽培土壌としては排水が良くても適度の保水力のある、肥沃な壌土や砂壌土が適します。吸肥力が強いため、どんな痩せ地でも栽培できますが、多肥にするほど茎葉の生育は促進されます。窒素、石灰を多用するほど生育は促進され、収量は増加します。特に油脂生成を促進するにはカリ、石灰を十分に施肥します。
葉を収穫目的とする場合と、種子を目的とする場合で栽培管理が異なります。多くのシソ科野菜と同様に短日条件下で花芽形成が促進され、葉数の増加が止まります。従って葉を主たる収穫目的の場合には、早春に播種し、秋の短日になるまでに十分な葉数を分化させ、それらの葉の生長を促すよう施肥を行います。一方、種子を主目的とする場合では主茎と更に側枝を摘心して多くの側枝を伸長させ、花芽ができるまでに多くの花序が着けられるようにしておきます。
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