・京都北区上賀茂にある深泥池にはジュンサイが生えています
京都市北区下鴨にある深泥池(みどろがいけ/みぞろがいけ)は、周囲約1500m、面積約9.2haで、中央に浮島があります。この池には流れ込む川は無く、雨水だけで水量が保たれています。目立たない池ですが、地質学的にも生物学的にも重要な池です。
それはこの池が約1万年前に出来ており、氷河期以来の動植物が生息しているためです。こんな市街地に接する場所にありながら、東日本北部の冷温帯に出来るはずの高層湿原が残っているため、昭和2年に深泥池水生植物群落として、国の天然記念物に指定されています。
またその後の調査で、希少な動物も多く生息していることから、昭和63年に昆虫等の動物を含めた、深泥池生物群落に名前が変更されています。例えば、日本は秋津の国、つまりトンボの国で、約200種のトンボがいますが、その1/4はここに地域に生息しています。
特に興味深いのは、独特のぬめりと風味の良さがあるジュンサイが育っていることです。ジュンサイは水生植物で、若い茎と新芽がゼリー状の透明な粘液に包まれており、この新芽が展開するまでのものを6月下旬頃から食用にします。
淡白で、つるっとして喉ごしが良く、汁の実や三杯酢に用いられます。
このように貴重な動植物ですが、最近では帰化植物の繁茂や、外来魚の増加、水道水やごみの流入などで環境が悪化し、生態系のバランスが崩れかけてきています。今日見たところでも、池の周辺部のジュンサイの葉の生育は悪く、水質が汚染しているのではと思われました。
ジュンサイの地下茎は池の泥の中にあり、春になって暖かくなると地上茎が伸びてきます。若い未展開の葉は両側から巻き巻物状になって、寒天状物質で覆われています。ジュンサイは深くて古い池でしか順調に生育せず、特に水質の奇麗なことが要求されるので、水質の悪化は困ったことです。
若芽は生でも食べられますが、多くの場合煮てから冷却し、瓶詰めあるいは袋詰めにして出荷されています。消費の多いのは関西地方で、利用の歴史は古くて平安時代から利用されており、江戸時代には栽培もされるようになったようです。
利用法として酢の物、辛し和え、すまし汁や酒の肴などにもされ、独特の口ざわりと風味から、食通の人に賞味されています。昭和59年以降、広く利用されてきたため、秋田県などで栽培が広がってきています。
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