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2010年9月 6日 (月)

・水木しげるのねぼけ人生・のんのんばあ・ラバウル戦記

NHKの朝ドラマで放映しているためか、テレビで時々水木しげる自分の人生ラバウルでの出来事妖怪との触れ合いなどを話しているのが目にとまり、面白くて引き込まれた。深刻なラバウルでの出来事を淡々と話していたり、妖怪に囲まれた幼年時代を昨日のことのように話していた。私自身はゲゲゲの鬼太郎の漫画のことは知っていたが、別段見てみようとは思っていなかった。しかし、テレビでの同氏の話に魅了され、丁度同氏の随筆3作が新聞に紹介されていたので、早速注文して届けて貰った。

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                               著作1

この本の内容の詳細は、水木しげる(緑色)をクリックして下さい。

「ねぼけ人生」は水木しげるの幼年時代の思い出が、凝縮してつづられている。妖怪に囲まれた幼年時代、努力してなったガキ大将、いろいろの収集癖があったが、新聞の題字集めもしていたようで、私にも覚えがあり愉快であった。絵が好きで紙切れと鉛筆かクレヨンがあればいつも絵を描いていたようで、ご両親も理解があったのか、水彩絵の具、油絵の道具を与え、好きに描かせていたようで、それが同氏の才能を開花させたのだろう。戦争の思い出漫画家の貧乏時代とやがて貧乏神が逃げて福の神の現われたことなどが、興味深く書かれている。

「のんのんばあとオレ」は幼いときから世話をしてくれたのんばあの話す妖怪の世界に想像力を膨らませ、そのまま大きくなった同氏の人生が淡々と書かれている。普通の人は子供時代の夢は少しずつ修正しながら育っていくものだが、同氏はいつまでもその純粋な気持ちを持ち続けた、稀有な人のようである。遊び方でも徹底してガキ大将振りを発揮し、私も忘れていた多くの遊び、例えばベッタン、紙で作った相撲人形昆虫採集などに熱中したことを思い出した。

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                               著作2

この本の内容の詳細は、水木しげる(緑色)をクリックして下さい。

「水木しげるのラバイル戦記」は昭和18年、召集令状が来て鳥取連隊に入ったものの、ラッパが吹けないためラッパ卒を止めさせてほしいと人事係りの曹長にしつこく頼んだ。曹長に嫌われていたのか、南がよいか北が良いかと聞かれ、南と答えてラバウル行きが決まったことから始まる。戦争というものは残酷なもので、トップレベルの判断ミスと現場レベルでの無責任体制・命令社会で、死ななくてもよかった多くの兵士の話が出てくる。

同氏は天性の図太さかそれをものともせず、左手を失っても生き残り生還した。同氏には絵を書くのが天職だったのだろう、いかなる時にもを求めて鉛筆クレヨンを探し、貴重な記録を残している。そのような月日の間にも現住民(同氏は土人と書いているが)と交流し、仲間と認められて畑も貰っていた。敗戦後しばらくして、再び同地を訪れた同氏は、働かなくても良かった地上の楽園が、電化製品などの流入により、だんだんとあくせく働く普通の社会になってしまっているのに、嘆きを抱いて帰国している。

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                            著作3

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