・環境にやさしい野菜栽培をする八百一の郷(潅水)
畑で野菜を栽培するには、どれくらいの潅水量が必要になるでしょうか。野菜の生産にどれくらい水分がいるかは、要水量で計算できます。要水量とは野菜の乾物重1gを生産するのに必要な水分量のことで、蒸散係数ともいいます。
カリフラワーであれば専門の本、例えば「野菜の発育と栽培」(藤目著、2006)を見れば乾物重/株は153g、要水量は581とあります。そこで、必要な水分量は、乾物重に要水量をかければ求められます。
153 x 581 = 88,893
そこで株当たり約89l(リットル)の水分が必要となり、10a 当たり3000株栽植されていれば
次のように267t (トン)の水分が必要と求められます。
89 x 3000 = 267,000(267t)
収穫量あるいは株が大きくなれば、当然この水分量も増加します。いかに多量の潅水量が必要になるかが、この計算からわかるでしょう。
最近の気候変動は著しく、乾燥が続くかと思えば集中豪雨の降る地域など、以前と雨の降り方も変わったようです。日本ではいつも適度に雨が降っていたため、雨を溜めるという習慣が瀬戸内以外ではあまりありません。
欧米特にオランダでは、潅水用の水を必ず溜めています。イギリスでもたいていのガラス室には樋(とい)があり、雨水をタンクに溜めて潅水に使っています。
八百一の郷・丹波農場では、ハウスの雨水をタンク(250t)に溜めて潅水に使っていますが、どれくらいの雨量が溜まっているでしょうか。タンクは現在2基ありますが、この計算では1基分について書いています。
丹波の気象データーが無いので、園部の降水量を使っています。ハウス 36 a の屋根面から受ける降水量は第1図に示す通りです。年降水量は1300mmで、月平均392tの降水量が貯水用タンクに溜まります。タンクの貯水容量は250tであり、それを超える分は廃棄していましたが、栽培面積の増加に伴い、需要の増加が見込まれることからタンクを現在ではもう1基増設しています。
一方、カリフラワーの潅水に必要量は267tですが、10aあたりの月平均降雨量は109tに過ぎません。7月に十分な降雨が無ければ、8月には潅水量に不足する可能性があります。8月は露地野菜の播種木で重要な時期です。しかも丹波農場はカリフラワーだけでなく多種類の野菜を栽培しており、また総栽培面積は5 ha以上ありますから、この貯水タンクを有効に使って安定した生産を行っています。
左の本の詳しい内容を見るには、
「野菜の発育と栽培」(緑色)を
クリックして下さ。
第1図 ハウス(36 a) の屋根面が受ける降水量
雨水を受けているハウス(36a)
貯水用タンク(250t)、見学に訪れたタイ国カセサート大のスラポン先生と
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