« ・形と色の面白いパッションフラワー | トップページ | ・京都GAP1号に認定された八百一の郷 »

2010年8月 1日 (日)

・環境にやさしい野菜栽培をする八百一の郷(潅水)

潅水量はどれくらい必要でしょうか?

日中は葉がしおれていても、朝夕にはしおれていなければ水分は不足していません。日中は気温の上昇、蒸散量の増加のため、葉は一時的にしおれます。マルチをしていなければ畦面から蒸発があり、乾燥しやすくなります。土壌も砂地ほど乾燥しやすく、粘土質では逆に水分を保ちやすいのです。

Photo_2

           カリフラワー

畑で野菜を栽培するには、どれくらいの潅水量が必要になるでしょうか。野菜の生産にどれくらい水分がいるかは、要水量で計算できます。要水量とは野菜の乾物重1gを生産するのに必要な水分量のことで、蒸散係数ともいいます。

カリフラワーであれば専門の本、例えば「野菜の発育と栽培」(藤目著、2006)を見れば乾物重/株は153g、要水量は581とあります。そこで、必要な水分量は、乾物重に要水量をかければ求められます。

153 x 581 = 88,893   

そこで株当たり約89(リットル)の水分が必要となり、10a 当たり3000株栽植されていれば

次のように267t (トン)の水分が必要と求められます。

89 x 3000 = 267,000(267t)    

収穫量あるいは株が大きくなれば、当然この水分量も増加します。いかに多量の潅水量が必要になるかが、この計算からわかるでしょう。

最近の気候変動は著しく、乾燥が続くかと思えば集中豪雨の降る地域など、以前と雨の降り方も変わったようです。日本ではいつも適度に雨が降っていたため、雨を溜めるという習慣が瀬戸内以外ではあまりありません。

欧米特にオランダでは、潅水用の水を必ず溜めています。イギリスでもたいていのガラス室には樋(とい)があり、雨水をタンクに溜めて潅水に使っています。

八百一の郷・丹波農場では、ハウスの雨水をタンク(250t)に溜めて潅水に使っていますが、どれくらいの雨量が溜まっているでしょうか。タンクは現在2基ありますが、この計算では1基分について書いています。

丹波の気象データーが無いので、園部の降水量を使っています。ハウス 36 a の屋根面から受ける降水量は第1図に示す通りです。年降水量は1300mmで、月平均392tの降水量が貯水用タンクに溜まります。タンクの貯水容量は250tであり、それを超える分は廃棄していましたが、栽培面積の増加に伴い、需要の増加が見込まれることからタンクを現在ではもう1基増設しています。

一方、カリフラワーの潅水に必要量は267tですが、10aあたりの月平均降雨量は109tに過ぎません。7月に十分な降雨が無ければ、8月には潅水量に不足する可能性があります。8月は露地野菜の播種木で重要な時期です。しかも丹波農場はカリフラワーだけでなく多種類の野菜を栽培しており、また総栽培面積は5 ha以上ありますから、この貯水タンクを有効に使って安定した生産を行っています。

Photo_3

左の本の詳しい内容を見るには、

野菜の発育と栽培」(緑色)を

クリックして下さ。

   

Photo_4

    第1図 ハウス(36 a) の屋根面が受ける降水量

Photo_5

       雨水を受けているハウス(36a)

Usui

貯水用タンク(250t)、見学に訪れたタイ国カセサート大のスラポン先生と

|

« ・形と色の面白いパッションフラワー | トップページ | ・京都GAP1号に認定された八百一の郷 »

・八百一の郷 Yaoichi Farm」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ・環境にやさしい野菜栽培をする八百一の郷(潅水):

« ・形と色の面白いパッションフラワー | トップページ | ・京都GAP1号に認定された八百一の郷 »