・レインボーカリフラワーは何故美味しいのか
インターネット上でニュースを配信しているイギリスの「Daily Mail、2008.2.19」によれば、「レインボーカリフラワー(図1)」がイギリスの市場で人気を博しています。
オレンジのカリフラワーには、普通のカリフラワーより肌の健康に良いとされているビタミンA(ベーターカロテン)が25倍も含まれています。また、紫のカリフラワーには、アントシアニンが多量に含まれているため、血液凝固を遅くすることによって心臓病を予防することに高い効果を発揮するとしています。
黄色の花らいでは普通の白いカリフラワーにはほとんど含まれていないカロテンが約83μg含まれていることが報告されています(畑、南出、1993)。日本でもカラフルな三色カリフラワーが既に利用されています(図2)。
●ブロコフラワー(グリーンカリフラワー)の育成理由
欧米ではブロコフラワーと呼ばれるカリフラワーとブロッコリーの間の雑種が育成され、既に利用されています。当初はグリーンカリフラワーとも呼ばれていました。オランダで作出されたようで、魚料理にも合った甘みのある味で、花らいは薄緑色をしています。現在では米国でもその利用は広がってきています。
私は大学在職中、カリフラワートブロッコリーを交雑させて雑種(図3)を作成しました。雑種種子を播種して研究農場で育ててみると、ブロッコリーに似た特性を持つ群(ブロカリ)とカリフラワーに似た特性を持った群(カリブロ)に分れました。
私がカリブロと呼ぶグループはこのブロコフラワーであり、花らいは薄緑色でやや蕾状の構造があり、生食できやや甘い味がします。大学の職員が通りすがりにこの花らいの周辺部を少し折り取って食べ、「先生、このカリフラワーは甘いですね」とよく言われたものです。カリフラワーにはご承知のようにややアクがあり、日本では生食されることはありません。
カリブロの味は甘みがあり、カリフラワーと異なり生食でき、また美味しいと説明してきたが、このほど米国の分析結果が見つかったので紹介します。表1で、
黒字と青字は日本食品標準成分表の値で、赤字は米国農務省の分析値です。
グリーンカリフラワーの栄養成分を米国農務省のデーターベース(2009)に見ると、グリーンカリフラワーの炭水化物(6.09g)は普通のカリフラワー(4.97g)より高く含まれており、グリーンカリフラワーの糖分(3.03g )も普通のカリフラワー(1.91g)より1.5倍も高くなっています。更にグリーンカリフラワーのビタミンC(88.1g)は普通のカリフラワー(48.2g)の倍近くも含まれています。
●カリフラワーのビタミンCは、ゆでてもあまり分解しない
カリフラワー(生;81mg)のビタミンCはブロッコリー(120mg)より成分量は少ないが、ビタミンCを破壊するアスコルビナーゼという酵素を含んでいます。この酵素は熱に弱いので、ゆでるとその作用をとめることができるため、ゆでた後ではカリフラワー(53mg)ではブロッコリー(54mg)と大差なく、熱で分解割合の少ないビタミンCを多く含む優等生です。
図1 レインボーカリフラワー(Daily Mail)
図2 日本の三色カリフラワー
図3 カリフラワーとブロッコリーの雑種
表1 ブロッコリー、カリフラワー(白、グリーン)の栄養比較
●少し大きな写真と特性などは、右サイドの 野菜とその花の紹介 に載せますのでそちらもご覧下さい。
●関連の記事が 園芸植物・園芸情報 にもありますので、ご覧ください。
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