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2010年7月17日 (土)

・需要の伸びるレモングラス

 イネ科オガルカヤ属に属する多年草で、原産地はインド南部とスリランカとされています。別名はレモンガヤあるいはコウスイガヤ。熱帯で広く栽培されており、東インドレモングラスと西インドレモングラスの2種類があります。一般には香り・質とも優れた西インドレモングラスが、料理などに用いられています。レモンと同じ香気成分シトラールを含み、古くからその芳香と薬用効果が認められ、世界の熱帯地域一円で栽培されています。日本には両種とも明治から大正時代に導入されましたが栽培は広がらず、ハーブとして知られるようになったのは昭和50年代になってからのことです。

株元から多くのススキに良く似た葉がつき、熱帯原産であるため晩春から初夏にかけて萌芽が始まり、夏からから秋にかけて旺盛に成長します。草丈は1.5mくらいになります。冬になると寒さで葉が枯れるため、株元から10cmくらいで刈り込みます。鉢上げして部屋の中におけば、冬の間でも成長します。東インドレモングラスは秋に花をつけますが、西インドレモングラスには花はできません。

株元の葉の付け根部分の丸く輪状になったところ(葉鞘部)を20cmくらいの長さに切り取り、スティック状に束にして料理に用います。タイ料理のトムヤンクンと呼ばれる、世界の3大スープの一つには欠かせない素材です。エスニック料理には重要な素材で、肉や魚料理の臭み消しと食欲増進のためよく使われます。葉の緑色部分は生あるいは乾燥させて、ハーブティーとして用いられます。単独にでも、また紅茶あるいはペパーミント・タイム・カモミールなどとブレンドして用いるのも良いようです。細かく刻んだ葉50kgから、約1kgの精油が取れます。精油を取った後の葉は家畜のえさとして利用され、乳牛に与えてハーブ牛乳を生産する試みもあります。また長い葉を利用してリースコースターなどを作ることもできます。レモングラスには食欲増進効果に加え、消化促進、疲労回復、殺菌効果や痛みを和らげる効果があるとされています。

成育は旺盛で耐暑性がありますが、耐寒性は弱く霜に当たれば枯れます。成育期には十分な日照と潅水を必要とします。数年同じ場所で栽培できますが、繁殖は株分けで行い、6月ころ1~2本植えとします。活着後は大株になっていくので、畦間90cmで株間は60cmくらいに広く取ります。元肥は株当たりN:P:K3:5:3(kg)くらい施肥し、葉が旺盛に成長してきた7~9月が収穫期となります。盛夏期に乾燥が続けば十分に潅水してやります。葉は虫除けにも使われるように、一般に防除の必要はありません。

          

Photo_5         鉢植えのレモングラスPhoto_6       レモングラスの利用部位―茎状の葉鞘部Photo_7

         レモングラスの料理

 左 レモングラス風味の照焼きチキン   

 右 レモングラスを用いたハーブティー(レモングラス葉で作ったコースター)

Photo_3

      レモングラスの葉で作ったコースター 

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コメント

レモングラスは高校から大学生の頃に何年間か育てていた事があります。冬には鉢ごと屋内に入れていましたっけ。レモングラスティーが大好きで、夏になるとよく作ったり、保存用に葉を乾燥させたりしていました。私が育てていたものは、葉の縁がノコギリ状になっていて、手入れのたびによく指を切っていました。

投稿: わさんぼん | 2012年8月21日 (火) 19時07分

今晩は わさんぼんさん 

その後お子さんも変わりなく元気にしていることでしょう。
先日もニュデリー付近で車の事故があったようで、
ワイフが心配していました。

このレモングラスはポンパイリン達がタイから持ってきて育てていたもので、
丹波に移植して育っていました。4年間もっていたのですが、この冬は特別の
寒さでついに枯れてしまいました。

ちかく家から代わりの苗を持っていって植える予定にしています。良い香りですし、
ティーは高血圧にも良いようですね。

投稿: プロフユキ | 2012年8月21日 (火) 23時03分

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